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2024年10月02日

ハム・ソーセージ・ベーコンの食べすぎが糖尿病リスクを上昇 加工肉を食べるとがんリスクも上昇

 ハム・ソーセージ・ベーコンなど「加工肉」を食べすぎると、2型糖尿病などのリスクが上昇するという研究が発表された。

 甘いスナック菓子、糖質を加えた飲料など超加工食品の利用を減らすと、さまざまな健康上のメリットを得られることも分かった。

 肉類は、タンパク質の供給源になり、体に必要な栄養素も含まれているが、食べすぎには注意した方が良さそうだ。

ハム・ソーセージ・ベーコンなど加工肉の食べすぎは糖尿病リスクを高める

 ハム・ソーセージ・ベーコンなど「加工肉」を食べる量を減らすと、2型糖尿病などのリスクを減らせるという研究を、英国のエディンバラ大学や米国のノースカロライナ大学が発表した。

 加工肉の消費量を3分の1減らすと、米国で10年間に多くの糖尿病を予防できる可能性があるという。

 研究グループは、加工肉の大量摂取と糖尿病や肥満症などの慢性疾患との関連を調べるため、米国国民健康調査(NHANES)に参加した8,665人のデータを解析し、米国成人2億4,000万人超に相当するシミュレーションを行った。

 その結果、加工肉を食べる量を減らすと、さまざまな健康上のメリットがもたらされることが明らかになった。加工肉には、体に悪い飽和脂肪酸、塩分、保存料、食品添加物などが加えられたものがある。

 米国人はとくに加工肉を多く食べている。加工肉の摂取量を30%減らすと、米国で10年間に35万件以上の糖尿病を予防できる可能性があることが示された。さらに、心筋梗塞などの心血管疾患の発症を9万2,500人、大腸がんの発症を5万3,300人減らせるとしている。

10%を加工度の少ない食品に置き換えると糖尿病リスクは減少

 ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉、甘いスナック菓子、糖質を加えた飲料などの超加工食品の利用を減らすと、さまざまな健康上のメリットを得られることが、英国のユニバーシティ カレッジ ロンドンの新しい研究でも示された。

 超加工食品の摂取量が10%増加するごとに、2型糖尿病のリスクは17%増加するという。

 一方、超加工食品の10%を、野菜・牛乳・ヨーグルト・チーズ・魚・卵など加工度の少ない食品に置き換えると、2型糖尿病のリスクは14%から18%減少した。

 研究グループは、欧州がん・栄養前向き(EPIC)研究に参加した欧州8ヵ国の31万1,892人を対象に、平均10.9年間にわたり超加工食品の摂取量と健康状態との関連を分析した。そのあいだに、1万4,236人が2型糖尿病を発症した。

 「良い知らせもあります。超加工食品を加工度の少ない食品に置き換えると、2型糖尿病のリスクは減少することも示されました」と、同大学肥満研究センターのサミュエル ディケン氏は述べている。

加工肉や赤肉を食べすぎるとがんのリスクも上昇
野菜なども食べることを推奨
日本人のためのがん予防法

 肉類は、タンパク質の供給源になり、鉄・亜鉛・ビタミンBなど体に必要な栄養も多く含まれているが、食べすぎには注意した方が良さそうだ。

 日本人の死因の第1位になっているがんは、さまざまな要因によって発症していると考えられており、そのなかには予防できるものも多く含まれる。

 国立がん研究センターは、日本人を対象とした研究結果から定めた、科学的根拠にもとづいた「日本人のためのがん予防法」を提示している。

 それによると、確実にがんのリスクになるとされている食品は少ないものの、牛・豚・羊などの加工肉や赤肉の食べすぎは、大腸がんなどのリスクを上げるとしている。

 塩分を多く含む食品も、胃がんなどのリスクを上げる可能性がある。そうした食品を食べすぎないようにした方が良さそうだ。

 一方、野菜など食物繊維を多く含む食品は、大腸がんのリスクを下げ、ウォーキングなど活発な運動・身体活動も、結腸がんのリスクを下げるとしている。

 野菜や果物には、カロテン・葉酸・ビタミン・イソチオシアネートなどさまざまな物質が含まれており、これらの成分が発がん物質を解毒する酵素の活性を高める、あるいは生体内で発生した活性酸素などを消去すると考えられている。

 「赤肉でも食べすぎには注意し、脂肪の少ないものを食べたり、野菜など植物性食品もとりいれたバランスの良い食事をすることが大切です」と、研究者は述べている。

Cutting processed meat intake brings health benefits (エディンバラ大学 2024年7月3日)
Estimated effects of reductions in processed meat consumption and unprocessed red meat consumption on occurrences of type 2 diabetes, cardiovascular disease, colorectal cancer, and mortality in the USA: a microsimulation study (Lancet Planetary 2024年7月)
Replacing ultra-processed foods in diet may reduce type 2 diabetes risk (ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2024年9月16日)
Food consumption by degree of food processing and risk of type 2 diabetes mellitus: a prospective cohort analysis of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) (Lancet Regional Health - Europe 2024年9月16日)

がんの発生要因 (国立がん研究センター がん情報サービス)
日本人のためのがん予防法 (国立がん研究センター がん対策研究所)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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