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2024年04月30日
連休中は糖尿病の管理を乱しやすい 「8つのヒント」で連休を上手に乗り切る
連休は、ふだんどおりの生活スタイルを維持するのが難しく、糖尿病の管理を乱しやすい時期だ。
この時期を上手に乗り切るために、簡単に実行できる「8つのヒント」をご紹介する。
実は連休中はストレスを感じやすい時期
米国心臓学会(AHA)が2023年に1,000人の成人を対象に行った調査では、3分の2に近い63%の人は、連休中はふだんよりも「ストレスを感じやすい」と回答した。 この時期に、仕事・家庭・食事・運動・毎日の日課・お金などのバランスをとるのを困難に感じ、いつも以上にストレスを抱えてしまう人が多いことが示された。 さらに、71%の人が連休中はリラックスしながら楽しめる時間をとりにくいと感じている。さらに半数以上の51%は、連休中にたまったストレスを解消するのに数週間かかると回答し、とくに子供のいる家庭では1ヵ月以上かかると回答した。 ふだんは食事や運動などの健康的な生活を実行できている人でも、連休中はそれらを維持するのが難しくなる場合がある。困難に感じることとして、「健康的な食事」(69%)、「運動の習慣」(64%)、「睡眠」(56%)をあげる人が多かった。 「連休中に健康的な生活スタイルを維持するのが難しいと感じている人が多くいます。この時期に健康を維持するために、慢性的なストレスなどの危険因子を適正に管理することも重要となります」と、ベイラー医科大学心臓学部のグレン レヴィン教授は言う。連休中には糖尿病の管理が難しくなる
連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」
米国糖尿病学会や英国糖尿病学会(Diabetes UK)などは、連休を健康的に過ごすために、次の対策をアドバイスしている。
1 |
連休中をどう過ごすか計画を練る |
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事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、カレンダーや手帳に書き留めておくと、健康的な食事や運動のための時間を確保できるようになる。
2 |
生活リズムを乱さないように計画的に |
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概日リズムを調整している「体内時計」は、生活習慣から大きな影響を受けている。体内時計がストレスに大きく影響することが研究で確かめられている。ストレスをためないことが大切だ。
体内時計を乱さないために、次のような工夫が役立つ――。
▼なるべく毎日決まった時間に起床・就寝する、▼食事の時間はなるべく通常の生活に合わせる、▼毎日同じ時間帯に運動する、▼毎日一定の時間、屋外で過ごす、▼散歩などリラックスできることをする、▼十分な睡眠をとる、▼昼寝をする場合は30分以内にとどめる。
3 |
食べすぎたカロリーを燃焼するのは大変 |
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1日の食事で脂肪の多い食品を500kcal分余計にとる生活が続くと、とりすぎたカロリーは1週間で3,500kcalになり、2週間で体重が1kg増える計算になる。
増えすぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変だ。食べすぎを防ぐことが、肥満を避けるためのもっとも有効な手段となる。
会食などの予定があるときは、食欲を管理しやすくするために、野菜や低糖質の食品、全粒粉パンなどを軽く食べてから出かけるようにし、空腹の状態では行かないようにしよう。
4 |
運動を続ける |
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30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2~3回とりいれても良い。
ウォーキング以外でも、掃除などの家事、家族との散歩、ガーデニング、サッカーなどの遊び、子供や孫と遊ぶなど、生活活動も運動になる。
運動を続けるために、一緒に運動する仲間をつくり励ましあったり、家族と一緒にウォーキングなどをすると効果的だ。
糖尿病性神経障害や網膜症など、糖尿病の合併症がある人は、運動を避けた方が良い場合もある。どのように運動をしたら良いかを、事前に主治医と相談しておくと良い。
5 |
自分が何を食べたいのか考えよう |
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料理を皿に盛るときはなるべく小さいお皿を選ぼう。皿が小さいと食事の量を抑えられ、満足感も得やすいという研究結果がある。
揚げ物やバターたっぷりの高カロリーの食品を避けて、肉や魚でも、できるだけシンプルに調理されたものを選ぼう。サラダはヘルシーと思いがちだが、油分たっぷりのドレッシングをかけると高カロリーになるので注意が必要だ。
パーティーなどの目的は、食べることだけではなく、人との会話や交流だ。片手にお皿、もう片方に飲み物となると、人と話すのも大変になる。そう意識しておけば、食べすぎや飲みすぎを防げる。
6 |
食物繊維を十分にとる |
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食物繊維が豊富に含まれる野菜を食べれば、満腹感を得やすくなり、食べすぎを抑えられる。100gの生の野菜に2~3gの食物繊維が含まれている。茹でてかさを減らせば、野菜をたくさん食べられる。
3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪)の中で、血糖を上昇させやすいのは炭水化物だ。食後の血糖値の上昇を抑えるために、玄米や全粒粉など食物繊維が含まれる精製されていない穀類をとったり、炭水化物をタンパク質や脂肪と同時にとり、消化・吸収を遅くする工夫をするのも良い。
7 |
ストレスをためない |
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連休中の休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作りすぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。
たとえ計画通りに1日を過ごせないときでも、くよくよと悩まないようにし、家族や仲間とともに過ごす時間を楽しもう。次の日から、食事や運動、血糖自己測定などの日課を取り戻せば、休日を有意義に過ごせる。
睡眠を十分にとることも大切だ。睡眠不足になると、高脂肪・高糖質の食品を食べたくなり、血糖管理を良好に保つのが難しくなる。7~8時間の睡眠時間を目安に、余裕をもって1日を過ごそう。
8 |
体重を毎日はかる |
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多くの人がこの時期に体重を平均1.5kg以上増やすという。体重を増やさない人でも、平日は食べすぎないようにしても、週末には食べすぎてしまい、食事の管理を相殺するというサイクルを繰り返すことが多い。
「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切だ。体重を決まった時間に毎日はかることを習慣にすれば、体重を管理しやすい。体重計を台所や冷蔵庫のそばに置いて体重を毎日はかり、減量に成功した人もいる。 New Survey: 79% of survey respondents overlook their health needs during the holidays; find the holidays more stressful than tax season (米国心臓学会 2023年12月18日)
Survey: Holidays Place Extra Stress on People Managing Type 2 Diabetes (米国糖尿病学会 2021年12月14日)
7 Tips to Stay on Track with Your Diabetes Management During the Holidays (米国糖尿病学会)
Want to stay healthy over the holidays? (ハーバード大学医学部 2022年11月22日)
Healthy eating through the holidays (ハーバード大学医学部 2021年11月5日)
Healthy Eating on Holiday (英国糖尿病学会)
Holiday (米国糖尿病教育者協会)
Holidays and Diabetes (ラッシュ大学)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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