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2024年04月23日
わずか11分のウォーキングでも効果が 運動が心血管疾患リスクを23%低下 糖尿病が改善しストレス対策にも
活発なウォーキングを毎日11分間行うだけでも、死亡のリスクを減少できることが明らかになっている。
さらに、ウォーキングなどの運動を10年間にわたり続けている人は、心血管疾患のリスクが23%低いことが、5万人超の成人を対象とした調査で明らかになった。
運動を行う習慣は、ストレスに関連した脳の活動にも影響し、ストレスに対する耐性を強めるのに役立つという。
「ご自分ができる運動を何かみつけて、長く続けることが大切です」と、研究者はアドバイスしている。
「運動に慣れてきたら、少しずつ時間と強度を上げていくと、さらに効果を高められます」としている。
わずか11分間のウォーキングでも効果がある
英ケンブリッジ大学による研究で、活発なウォーキングを毎日11分間行うだけでも、死亡リスクを減少できることが明らかになっている。 運動ガイドラインでは、通常のウォーキングなどの中強度の運動であれば週に150分以上、息がはずみ、汗をかくくらいの活発な運動であれば週に75分以上行い、筋肉を高める筋トレも組み合わせることが勧められている。 「しかし、仕事、家事、子育て、介護などで毎日忙しく過ごしていて、運動のためにまとまった時間をとれないという人も多くいます」と、同大学医学研究評議会(MRC)で運動疫学を研究しているソーレン ブレイジ氏は言う。 「そういう人は、早歩きなどの中強度の運動を、1日にわずか11分行うだけでも、心臓病や脳卒中、がんなどのリスクを減らす効果を期待できることが示されました」としている。運動量を増やしていくと効果をさらに高められる
早歩きなどの活発な運動を11分、毎日行うと、週に75分の運動を行うことになる。これは推奨されている運動量の半分以下だが、続けていれば10人に1人の早期死亡を防げるという。 研究グループは今回、94件の大規模なコホート研究を対象とした196件の査読済み論文に対し、系統的レビューとメタ分析を行った。対象となった参加者の数は3,000万人以上に上るという。 その結果、推奨されている運動量の半分しかできていない人も、心血管疾患のリスクは5%、がんのリスクは3%、早期死亡のリスクは10%、それぞれ減少することが示された。 ただし、週に150分以上の中強度の運動といった、推奨されている運動量を満たしている人は、心血管疾患のリスクは11%、がんのリスクは5%、早期死亡のリスクは16%、それぞれ減少し、運動の効果はさらに高いことも分かった。自分ができる運動をみつけて長く続けることが大切
糖尿病の人にとっても、運動は重要だ。運動を行うと、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促され、血糖値が低下する。さらに運動を習慣化すると、血糖値を下げるインスリンが効きやすい体に変っていき、血糖管理が改善する。 「何か運動をすることは、それが目標に届かない運動量であっても、何もしないよりはずっと良いのです。とにかくご自分ができる運動を何かみつけて、長く続けることが大切です」と、ブレイジ氏はアドバイスしている。 「運動に慣れてきたら、少しずつ時間と強度を上げていくと、さらに効果を高められます」としている。運動を10年間続けると心筋梗塞リスクが23%減少
運動はストレスに関連した脳の活動にも影響
運動はストレスに関連した脳の活動にも影響
運動を続けている人は心筋梗塞リスクが低い
ウォーキングなどの運動を10年間にわたり続けている人は、狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが23%低いことが、5万人超の成人を対象とした別の調査で明らかになった。 運動は、脳内のストレスに関連するシグナル伝達を減少させることも分かった。うつ病や不安症などのメンタルヘルス不調のある人で、運動の予防効果はより大きいとしている。 「運動を行う習慣が、ストレスに関連した脳の活動にも影響し、とくにうつ病のある人では、心血管疾患のリスクを下げる効果が2倍になることが示されました」と、米マサチューセッツ総合病院の心臓血管画像研究センターのアーメド タワコル氏は言う。運動をしている人はストレスに対する耐性も強い
研究グループは今回、遺伝子や生活スタイル、生活環境などが健康にどのように影響しているかを調べる目的で実施している大規模研究「Mass General Brigham Biobank」に登録された、年齢の中央値が60歳の5万359人の男女のデータを解析した。 その結果、10年(中央値)の追跡期間に12.9%が心血管疾患を発症したが、活発な運動を習慣として続けている人は、心血管疾患を発症するリスクが23%低かった。 さらに、運動をしている人は、脳の前頭前皮質が活発に機能しており、ストレスに対する耐性が強い傾向があることも分かった。前頭前皮質は、思考や意思決定、創造性、社会的行動、主観的幸福感などにも関わるとみられている。 「運動を習慣として行うと、ストレスに関連した脳の活動にも影響があらわれ、それが心血管疾患の予防につながっている可能性があります」と、タワコル氏は指摘している。Non-occupational physical activity and risk of cardiovascular disease, cancer and mortality outcomes: a dose-response meta-analysis of large prospective studies (British Journal of Sports Medicine February 2023年2月28日)
Physical Activity Reduces Stress-Related Brain Activity to Lower Cardiovascular Disease Risk (マサチューセッツ総合病院 2024年4月16日)
Effect of Stress-Related Neural Pathways on the Cardiovascular Benefit of Physical Activity (Journal of the American College of Cardiology 2024年4月23日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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