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2024年02月20日

糖尿病の人は歯周病にご注意 1日2回の「うがい」で血糖管理が改善 口のなかの悪玉菌を減らせる

 糖尿病とともに生きる人が歯周病になると、歯周炎になりやすい。そうなると血糖管理が難しくなることが知られている。

 殺菌・消毒効果のあるうがい薬でうがいをする習慣があると、2型糖尿病の人の口のなかの悪玉菌が減り、血糖管理を改善できる可能性があることが明らかになった。

 「殺菌・消毒効果のあるうがい薬で、1日に2回以上のうがいをするという簡単な方法で、口腔衛生を改善できます」と、研究者は述べている。
歯周病になると血糖管理が難しくなる
 糖尿病とともに生きる人が歯周病になると、歯周炎になりやすい。そうなると血糖管理が難しくなることが知られている。

 歯周病は、プラーク(歯垢)にひそむ歯周病菌が、歯茎や歯を支える骨に炎症をおこす病気。炎症が進行すると、歯を支えている歯槽骨や歯根膜などが壊され、さらに重症化すると、歯が抜け落ちてしまう。歯周病は歯を失う原因の第1位になっている。

 口のなかのケアが不十分な場合や、糖分をとりすぎたときに、プラークは増えていく。プラークによって歯ぐきに炎症が起こり、腫れた状態になると、歯肉炎になる。
口のなかの健康を良好に保つとHbA1cや血糖値が改善
 歯周病は、歯にまつわる病気だけでなく、全身にさまざまな影響を及ぼすことが分かってきた。歯周病菌の刺激によって、脳や心臓の血管が動脈硬化になりやすくなる。

 歯周病によって生じる炎症物質は、血糖値も高くしてしまうため、糖尿病のある人は血糖の管理が難しくなる。また、この炎症物質は脂肪をためこみやすい体内環境にするため、肥満にもなりやすいとされている。

 2型糖尿病とともに生きる人は、歯周病がある場合は、歯磨きなどの口腔ケアをより頻繁に行うと、1~2ヵ月の血糖を反映するHbA1cが改善し、糖尿病の管理が良くなるという報告を、米国歯科医師会(ADA)などが発表している。

 歯磨きや歯間ブラシなどによる口腔ケアの習慣があり、歯数を維持していることが、HbA1cや空腹時血糖値だけでなく、24時間の血糖変動の質の良さとも関係することが示されている。

 逆に、血糖管理がうまくいっていない患者ほど、歯の喪失リスクがより高まることも報告されている。毎日きちんと歯磨きをすることが大切だ。

糖尿病の人は「うがい薬」でうがいをすると血糖管理が改善
うがいをすると口のなかの悪玉菌を減らせる
 殺菌・消毒効果のあるうがい薬でうがいをする習慣があると、2型糖尿病の人の口のなかの悪玉菌が減り、人によっては血糖管理を改善できる可能性があることが、大阪大学の研究で明らかになった。

 殺菌・消毒効果のあるうがい薬でうがいをすることで、歯周炎に関連する細菌の数が減り、血糖管理が大幅に改善する患者もいるとしている。

 研究は、大阪大学大学院歯学研究科および口腔全身連関学共同研究講座の又吉紗綾氏や仲野和彦教授らによるもので、研究成果は、科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

 「歯周炎、つまり歯の周囲の組織の病気に、毒性の強い3種類の細菌が関連しています」と、又吉氏は言う。

 その3種類の細菌は、「ポルフィロモナス ジンジバリス」「トレポネーマ デンティコラ」「タンネレラ タンネレラ フォーサイシア」と呼ばれている。

 研究グループは、38歳~84歳の173人の患者を対象に、1年間にわたり毎月または隔月で唾液と血液のサンプルを採取し、口腔内の細菌種について調べ、HbA1cなどとの関連を調査した。
殺菌力のあるうがい薬がおすすめ
出典:大阪大学、2024年
 その結果、殺菌・消毒効果のあるうがい薬で、1日に2回以上のうがいを6ヵ月間続けると、とくに比較的若い人では、口のなかの悪玉菌が減り、血糖管理も大幅に改善することが示された。

 「ただし、水道水でうがいをした6ヵ月間の期間は、悪玉菌や血糖管理に影響はあらわれませんでした」と、研究者は言う。

 とくにグルコン酸クロルヘキシジンを含むうがい薬は殺菌力があり、歯周病の原因菌が増えるのを防ぐ効果を期待できるという。この成分を含むうがい薬や洗口液は、薬局などで購入できる。

 口のなかの健康状態が良くないと、2型糖尿病やアルツハイマー病などの深刻な病気のリスクが上昇することは、これまでも報告されている。

 「クロルヘキシジン配合のマウスウォッシュを用いたうがいは、家庭で行うことのできる口腔ケアのなかでも簡便であり、日々の習慣にとりいれやすいものです」と、研究者は述べている。

 「2型糖尿病の人が、歯科医院でのプロフェッショナルケアに加えて、クロルヘキシジン配合のマウスウォッシュを用いたうがいを積極的に日常の口腔ケアへ取り入れることで、歯周病の改善だけでなく、歯周病によって引き起こされる血糖値の上昇の改善にもつながることが期待されます」としている。

出典:大阪大学、2024年

Oral Health and Diabetes (米国糖尿病学会)
Diabetes and Gum Disease (米国糖尿病学会)
A Scoping Review of the Relation Between Toothbrushing and Diabetes Knowledge, Glycemic Control, and Oral Health Outcomes in People With Type 2 Diabetes (Diabetes Spectrum 2023年6月5日)

大阪大学歯学部・大学院歯学研究科
大阪大学口腔全身連関学共同研究講座
Gargling away the bad bacteria in type 2 diabetes (大阪大学 2024年2月14日)
Effects of mouthwash on periodontal pathogens and glycemic control in patients with type 2 diabetes mellitus (Scientific Reports 2024年2月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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