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2024年02月22日

「ジャガイモ」は糖尿病の人が食べても大丈夫? 工夫して食べれば健康的 ポテト料理はここに注意

 ジャガイモには糖質が多く含まれるので、「糖尿病の人はジャガイモを食べない方が良い」と考えている人は多い。

 しかし、茹でたジャガイモも含め、ジャガイモを使った料理の多くは、多くの人にとって安全だという報告が発表された。ジャガイモは栄養価が高く、利用しやすい食材なので、積極的に使った方が良いとしている。

 バランスの良い食事の一部として、ジャガイモを取り入れると、2型糖尿病の人の血糖管理が改善するという研究も発表されている。
「ジャガイモは食べない方が良い」は本当?
 ジャガイモには糖質が多く含まれるので、「糖尿病の人はジャガイモを食べない方が良い」と考えている人は多い。

 しかし、ジャガイモは栄養価が高い食材なので、食べすぎには注意が必要となるものの、適量を積極的に食べた方が良いという研究を、米国のアルバート アインシュタイン医科大学が発表した。

 茹でたジャガイモも含め、ジャガイモを使った料理の多くは、多くの人にとって安全だとしている。ジャガイモは栄養価が高く、利用しやすい食材なので、積極的に使った方が良いとしている。

 蒸したジャガイモ100gのカロリーは76kcal、炭水化物は18g含まれる。ただし、イモ類に含まれる糖質はデンプンが多く、ジャガイモも白米に比べると血糖値を上昇させにくいとされている。食物繊維も3.5g含まれる。

 デンプンは、ブドウ糖が多数つながった構造をしており、消化に時間がかかるため、比較的ゆっくりと血糖を上げる。

 そのほかにも、ビタミンC、ビタミンB、カリウム、マグネシウムなどの大切な栄養素も含まれる。ジャガイモは可食部だけではなく、皮にも栄養が多く含まれている。
ジャガイモを食べないと不足する栄養素が
 「食事で、ジャガイモなどのデンプン質の含まれる野菜を食べないようにして、代わりに小麦や米などの穀類を食べると、1日にカリウムは21%、ビタミンB6は17%、ビタミンCは11%、食物繊維は10%、それぞれ摂取量が減少することになります」と、同大学で栄養学を研究しているキース アヨーブ氏は言う。

 ジャガイモ・サツマイモ・サトイモなどのイモ類は、エネルギーのもとになる糖質が含まれるだけでなく、体の調子を整えるビタミンやミネラルなども含まれるので、パンや米などとは区別して考える必要があるとしている。

 「ジャガイモのようなデンプン質を多く含むイモ類が不足すると、健康リスクが上昇するおそれがあります。たとえば、野菜などに含まれるカリウムは、ナトリウムを体の外に尿として排泄させる働きがあります」と、アヨーブ氏は指摘する。

 「カリウムをとることで、高血圧が関わる心臓病や脳卒中などの病気による死亡リスクが低くなると考えられます。腎臓病のある人などは、カリウムのとりすぎに注意が必要になることがあるものの、多くの人にとってカリウムを十分に摂取することが勧められます」としている。
油で揚げたフライドポテトは避けた方が良い
 ただし、油で揚げたフライドポテトや、バターや牛乳を加えたマッシュポテトなどは、高カロリーで脂肪も多く含まれるので、避けた方が良いとしている。100gあたりのカロリーは、フライドポテトは237kcal、マッシュポテトは357kcalにもなる。

 「食事療法では、栄養バランスと、食品の多様性を改善しながら、適量を食べて、食べすぎを抑えることが大切です。この3つがそろうと、ほとんどの人にとって健康的な食事スタイルになります」と、アヨーブ氏は言う。

 「野菜や穀物などを適切に組み合わせると、炭水化物・タンパク質・脂肪などの多量栄養素と、ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素を摂取できるようになります。デンプン質の食品とデンプン質でない食品を組み合わせて食べることも大切です」としている。

ジャガイモを取り入れると糖尿病の人の血糖管理が改善
ジャガイモを避ける理由はない
 ジャガイモは、日本でも1年を通して手に入りやすく、価格も安く比較的安定している。調理方法も、茹でる・蒸す・焼く・揚げるなど豊富にある。煮物や炒め物、カレーなど、さまざまなメニューに活用できるので人気が高い。

 オーストラリアン カソリック大学(ACU)の研究によると、バランスの良い食事の一部として、ジャガイモを取り入れると、2型糖尿病の人の血糖管理が改善する可能性がある。

 「ホウレンソウ・レタス・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワーなどの葉物野菜やアブラナ科野菜を多く食べている人は、2型糖尿病のリスクが低いことが報告されています。野菜を食べる食事スタイルは、糖尿病リスクを軽減するために重要と考えられます」と、同大学で栄養学を研究しているブルック デブリン氏は言う。

 「それでは、ジャガイモはどうでしようか? 低炭水化物ダイエットの人気が高まっており、糖質が含まれるジャガイモは、野菜のなかでは避けられている傾向がみられます」としている。

 デブリン氏は、「実際には、2型糖尿病の人がジャガイモを食べるのを避ける理由はないことが分かりました。ジャガイモは、血糖値に悪影響をもたらすことなく、健康的な食事の一部として利用でき、比較的少ないカロリーで大切な栄養素を摂取できます」と指摘している。
バランス良く食べることが大切
 研究グループは、2型糖尿病のある平均年齢58歳の男女24人を対象に、ランダム化クロスオーバー試験を実施した。炭水化物 50%、脂肪 30%、タンパク質 20%に調整した食事をとってもらい、ジャガイモ料理を食べた期間と食べなかった期間とで、血糖値の推移を比較した。

 その結果、ジャガイモ料理を食べた期間は、血糖値の上昇の指標となる血糖上昇曲線下面積(AUC)が少なく、夜間の血糖値が低くなる傾向がみられた。

 食後血糖値の上昇を示す指標として、「グリセミック インデックス(GI)」が知られている。GIは、摂取2時間までの血液中の血糖上昇をはかったもので、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示している。GI値が低いほど、血糖値の上昇がゆるやかになると考えられている。

 デブリン氏によると、ジャガイモは、精白された小麦粉で作られた白パンや、白米に比べると、GI値が比較的低いものの、やはり血糖値を上げやすい食品に含まれる。オーストラリアのシドニー大学によると、茹でたジャガイモのGI値は66であるのに対し、白パンは74、白米は77になっている。

 「食事でジャガイモだけを食べるのは勧められませんが、野菜や全粒穀物などと組み合わせて適量を食べると、バランスの良い食事になり、血糖値にも良い影響があらわれる可能性があります」と指摘している。

More than just carbs: starchy vegetables play an integral role in meeting nutrition needs (Alliance For Potato Research And Education 2023年10月25日)
Carbohydrate confusion and dietary patterns: unintended public health consequences of "food swapping" (Frontiers in Nutrition 2023年9月28日)
Potatoes do not need to be off-limits if you have type 2 diabetes, ACU research (オーストラリアン カソリック大学 2020年10月21日)
Lower nocturnal blood glucose response to a potato-based mixed evening meal compared to rice in individuals with type 2 diabetes (Clinical Nutrition 2020年10月8日)
Glycemic Index Search (シドニー大学)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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