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2023年12月05日

糖尿病とともに生きる 糖尿病は人生の妨げにならない WHOの「グローバル糖尿病コンパクト」

 世界保健機関(WHO)は、世界中で急増している糖尿病に対策するため、糖尿病の5つの世界目標「グローバル糖尿病コンパクト」を掲げ、「グローバル糖尿病サミット」も開催している。

 ポルトガルのリスボンで、糖尿病とともに生きるアレクサンドラさんの生活を紹介している。アレクサンドラさんは、インスリンポンプと持続血糖モニター(CGM)を使い、血糖値の管理をしている。

 「糖尿病を受け入れることができれば、糖尿病の管理は人生の妨げにはなりません。やりたいことはすべてできます」と、コメントしている。

糖尿病は私の人生にとって妨げにならない
糖尿病とともに生きる アレクサンドラさんの物語

 アレクサンドラさんは、ポルトガルのリスボンで、糖尿病の人がともに支えあうピアサポートのグループで、糖尿病に対処する方法を多くの人に教えている。

 ピアサポートには、「仲間同士の支えあい」という意味がある。同じような課題に直面している患者が集まり、たがいに支えあう活動のことだ。

 「とくに糖尿病と診断されて間もない人が、糖尿病を受け入れ、管理できるようなるよう支援しています。ほんとうにやりがいのある仕事です」と、彼女は言う。

 「糖尿病とともに生きる人のための組織的な活動が成功したときは幸せを感じます。時間をともに過ごすことで、私たちの生活が少し変わり、糖尿病についてもっと気軽に話せるようになると良いと思います」としている。

 アレクサンドラさんは、10歳のときに1型糖尿病と診断された。すると、両親は彼女に、糖尿病に対する最善の策として、スポーツをはじめるようアドバイスした。それは糖尿病を受け入れ、管理の方法を学ぶのにとても役立った。

 彼女は、糖尿病のサマーキャンプにも参加した。自分と同じ1型糖尿病のある子供たちや大人たちとの出会いは、彼女の人生を変えた。糖尿病とともに生きる方法と、糖尿病を受け入れる方法を、多くの人から学ぶことができた。

糖尿病とともに生きる
世界保健機関ヨーロッパ地域が公開しているビデオ

糖尿病は生活の妨げにならない やりたいことはすべてできる

 アレクサンドラさんは、ポルトガルで糖尿病ともに生きる110万人の成人の1人だが、その期間は28年間におよび、多くの人にとって先輩にあたる。

 「糖尿病の管理は、単にインスリンを毎日投与し、診療所で定期的に検査を受けて、合併症が起こっていないかを確かめることだけではありません。糖尿病の管理は、治療以上のものです」と、彼女は言う。

 「多くの人にとって糖尿病は一生続くものです。食事や運動、薬物療法など、自分で管理しなければならないことが多くあります。しかし最終的に、糖尿病を受け入れることができれば、そうした管理は生活の妨げにはなりません。やりたいことはすべてできるようになります」としている。

 いまでもスポーツは、彼女の生活の重要な一部だという。16歳まで水泳選手として活躍し、それ以降はオランダ発祥のボールスポーツであるコーフボールに取り組み、いまではコーチも務めている。

 体を動かし汗をかくことを習慣とするのは、健康を維持するのに役立つだけでなく、社会的にも精神的にも大きな変化をもたらすとしている。

糖尿病による制限はほとんどない 生活を楽しむこともできる

 アレクサンドラさんは、インスリンポンプと持続血糖モニター(CGM)で、血糖値の管理をしている。彼女がシャツをもちあげると、丸いプラスチックのボタンのようなセンサーが腰に装着されている。

 CGMは、皮下の間質液のグルコース濃度を測定し、連続して血糖値の変動を知ることができる機器。CGMにより、血糖の上下動などをモニターすることができ、夜間や早朝の低血糖や、食後の高血糖なども分かる。

 彼女は、ハンドバッグのなかにいつも、予備のインスリンペンや血糖自己測定器も入れているという。

 「私にとって、糖尿病であることによる制限はほとんどありません。ふつうに食事をし、朝は娘を学校におくり、仕事に行きます。それ以外にも、友達に会ったり、週にコーフボールを2回するなど、余暇も楽しんでいます」と、彼女は言う。

 新型コロナが拡大した時期、糖尿病などの慢性疾患をもつ人は感染症に対して脆弱であるため、公共交通機関の利用を避けるために、バイクの運転もはじめたという。

糖尿病のない人と同じように健康的に生きられる

 アレクサンドラさんは現在、ポルトガル糖尿病協会(APDP)で働いている。糖尿病と診断されて間もない人などに、インスリンの自己注射や血糖測定、合併症を防ぐための自己管理の仕方や、自分の体の状態を理解できるようになるためにアドバイスをしている。

 「糖尿病について毎日よく考えていますが、糖尿病を良好に管理できていて、糖尿病の合併症なども管理できていれば、糖尿病のない人と同じように、健康的に生きられます。糖尿病とともに生きる人の寿命は延びています。私は自分は健康な人と変わらないと感じています」と彼女は言う。

WHOの5つの世界目標
「グローバル糖尿病コンパクト」

 世界保健機関(WHO)は、世界中で急増している糖尿病に対策するため、糖尿病の5つの世界目標「グローバル糖尿病コンパクト」を掲げている。

 糖尿病とともに生きる人や、糖尿病医療に携わる医療従事者、政府関係者などが一堂に会する「グローバル糖尿病サミット」も開催している。

 糖尿病は世界的に増加しており、世界人口の6%に相当する4億2,000万人以上が、1型糖尿病あるいは2型糖尿病とともに生きている。その数は、1980年から4倍に増加し、2020年代の終わりまでに5億人を超えると予想されている。

 糖尿病以外の非感染性疾患(NCD)による早期死亡リスクは減少している一方で、糖尿病による早期死亡のリスクは、2000年~2016年に5%上昇した。糖尿病の対策は世界で喫緊の課題になっている。

糖尿病の5つの世界目標 WHOの「グローバル糖尿病コンパクト」

  • 糖尿病とともに生きる人の80%が糖尿病の適切な診断を受けられている
  • 糖尿病とともに生きる人の80%が血糖を良好に管理できている
  • 糖尿病とともに生きる人の80%が血圧を良好に管理できている
  • 40歳以上の糖尿病の人の60%がスタチンによる治療を受けられている
  • すべての1型糖尿病の人が、手頃な医療費でインスリン治療にアクセスでき、血糖モニタリングができている。

関連情報

"It's important to me that diabetes doesn't interrupt my life" Living with diabetes - Alexandra's story (世界保健機関 2023年11月27日)
First-ever global coverage targets for diabetes adopted at the 75th World Health Assembly (世界保健機関 2022年5月28日)

WHO Global Diabetes Compact (世界保健機関)
Global Diabetes Summit (世界保健機関)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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