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2023年10月05日

「大豆」が糖尿病リスクを減少 コレステロールや中性脂肪が改善 糖尿病合併症の予防にも 日本食は大豆食品が多い

 日本には、豆腐・納豆・枝豆・厚揚げ・がんもどき・おから・豆乳・蒸し大豆・みそ・しょうゆなどの大豆食品が多い。

 日本食が世界的に人気の高い理由のひとつは、大豆食品をよく食べるからだ。

 大豆を食べている人は、コレステロールや中性脂肪の値が下がり、糖尿病リスクも減少するという研究が発表されている。

 動物性食品を食べすぎている人は、一部を豆腐や納豆などの、植物性タンパク質が豊富に含まれる大豆食品に置き換えると、バランスの良い食事になり、健康につながりやすいことが証明されている。

大豆をよく食べている人はコレステロールが改善

 カナダのトロント大学の研究によると、大豆タンパク質を多くとっている人は、コレステロール値が低い。大豆は「グリセミック インデックス(GI)」も低く、血糖値を上げにくいという。

 研究チームは、46件のランダム化比較試験を解析した。大豆をよく食べている人は、総コレステロールと悪玉のLDLコレステロールの値がそれぞれ低い傾向があることが示された。

 「グリセミック インデックス(GI)」は、食後の血糖値の上昇しやすさを示す尺度。糖質が多く食物繊維の少ない食品や飲料は、GI値が高く、食後の血糖値を上げやすい。

 たとえば、玄米や麦ごはん、雑穀などの全粒穀物は、白米などの精製された穀物よりも食物繊維が多く含まれ、GI値が低いことが知られている。大豆もGI値が低く、血糖値を上げにくい。

 「大豆が2型糖尿病の予防・改善に対して、直接的な効果があるかについてはまだ十分に分かっていませんが、大豆は植物性タンパク質と食物繊維の優れた供給源になります」と、同大学栄養科学部のデイビッド ジェンキンス教授は指摘する。

 「糖尿病の人には、タンパク質と食物繊維を十分にとることが勧められます。大豆には、植物性タンパク質に加え、健康に有用なビタミンやミネラルなども含まれています」としている。

糖尿病性腎症の予防にも役立つ可能性

 米国のイリノイ大学による別の研究では、2型糖尿病のある人が大豆タンパクを摂取すると、尿中の不要なタンパク質が大幅に減少し、血中の善玉のHDLコレステロール値が上昇することが示されている。

 「大豆を含む、バランスの良い食事をとることが、血中脂質プロファイルの改善に加えて、糖尿病性腎症などの合併症の予防に役立つ可能性があります」と、同大学栄養学部のジョン アードマン教授は述べている。

 研究グループは、2型糖尿病の治療を受けている53歳~73歳の14人の男性を対象に、大豆から作られたバニラ風味の大豆タンパク、あるいは動物性タンパク質であるカゼインのいずれかを摂取してもらった。

 その結果、大豆タンパクを摂取した人は、腎機能の悪化を示すタンパク尿の排泄が9.5%減少し、善玉のHDLコレステロールの値が4.3%改善された。

 アードマン教授らによる別の研究では、大豆タンパクを1日に25gとると、悪玉のLDLコレステロールを最大で8%低下させる効果を期待できることが示されている。

 「大豆には、健康を維持するのに十分な量の必須アミノ酸が含まれています。動物性食品の代わりに、大豆タンパクを含む植物性食品を十分にとることが、糖尿病性腎症の予防に役立つ可能性があります」と、アードマン教授は指摘している。

脂肪肝や動脈硬化の予防にもつながる

 イリノイ大学の最新の研究では、大豆タンパクが、悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪の値を下げ、肝臓の健康も改善し、脂肪肝や動脈硬化の予防に役立つメカニズムが解明された。

 「大豆食品をよく食べている人は、コレステロールなどの脂質の検査値が良い傾向があることが知られています。米国食品医薬品局(FDA)は、大豆タンパクの健康機能を食品に表示することを認めています」と、同大学食品科学・人間栄養学のエルビラ デ メヒア教授は言う。

 「大豆に含まれるタンパク質が影響している可能性があります。今回の研究では、大豆の19種類の組成を調べ、どの成分がとくに効果が高いのかを分析しました」としている。

 その結果、大豆に含まれるタンパク質である「グリシニン」や「β-コングリシニン」に、悪玉コレステロールや中性脂肪を低減させている可能性が示された。

 「今回の研究で、消化管で消化された大豆ペプチドは、脂質の蓄積を50%~70%減らすことが示されました。これは脂質異常症の治療薬に匹敵するものです」と、メヒア教授は指摘している。

Heart-Healthy Effects of Soy Consistent Over Time, U of T Meta-Study Finds (トロント大学 2019年6月27日)
Cumulative Meta‐Analysis of the Soy Effect Over Time (Journal of the American Heart Association 2019年6月27日)
Isolated soy protein shown to benefit type 2 diabetics, study indicates (イリノイ大学アーバナシャンペーン校 2004年7月30日)
A soybean protein blocks LDL cholesterol production, reducing risks of metabolic diseases (イリノイ大学アーバナシャンペーン校 2023年1月23日)
Soy Protein and Cardiovascular Disease: A Statement for Healthcare Professionals From the Nutrition Committee of the AHA (Circulation 2000年11月14日)
A soybean protein blocks LDL cholesterol production, reducing risks of metabolic diseases (イリノイ大学アーバナシャンペーン校 2023年1月23日)
Selected Soybean Varieties Regulate Hepatic LDL-Cholesterol Homeostasis Depending on Their Glycinin:β-Conglycinin Ratio (Antioxidants 2022年12月22日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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