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2023年09月19日

高血圧と悪玉コレステロールの組み合わせは最悪 心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍に 糖尿病の管理も大切

 高血圧のある人が、悪玉のLDLコレステロールの値も高いと、心筋梗塞・狭心症・脳卒中などの心血管疾患のリスクが2倍超に上昇することが、大規模な調査で明らかになった。

 「検査で高血圧や脂質異常を指摘された人は、食事や運動などの生活スタイルを改善することが大切です」と、研究者はアドバイスしている。

 米国心臓学会によると、2型糖尿病ともに生きる人は、生活改善などにより、心血管疾患を最大で90%防ぐことができるという。糖尿病の治療も進歩している。

 実際には糖尿病の人の多くは、心血管疾患の危険因子を十分に管理できていないとしている。

血圧とコレステロールの値が高いと心血管疾患リスクが上昇

 高血圧のある人が、悪玉のLDLコレステロールの値も高いと、心筋梗塞・狭心症・脳卒中などの心血管疾患のリスクが18~20%上昇することが、6,674人を対象とした調査で明らかになったと、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 「高血圧は、よく知られている心血管疾患の危険因子です。また、LDLコレステロールは、必要なコレステロールを全身に運ぶ働きをしますが、増えすぎると動脈硬化を促進し、血管の老化が進みやすくなるため、悪玉と呼ばれています」と、アトリウム ヘルス ウェイク フォレスト バプテスト医療センターのリシ リキ氏は言う。

 「これまで脳卒中や心臓病を発症したことのない人でも、高血圧と高コレステロールが重なると、心臓病や脳卒中などの深刻な心血管イベントのリスクが大幅に上昇することが分かりました」。

 「健康診断などで高血圧や脂質異常を指摘された人は、食事や運動などの生活スタイルを改善することが大切です。健診を定期的に受けることも重要です」としている。

 米国心臓学会は、心臓血管の健康を改善するために、▼健康的な食事、▼運動の習慣化、▼禁煙、▼十分な睡眠、▼健康的な体重の維持、▼脂質・血糖、血圧の値の管理という、8つの健康的な生活スタイルを提唱している。

 これらの生活改善により、心臓血管の健康を改善でき、毎年多くの人の命を奪っている心筋梗塞・狭心症・脳卒中などを予防できることが分かっている。

高血圧と高コレステロールがある人は心血管疾患のリスクが2倍超に

 研究グループは今回、米国で実施されている大規模研究「多民族アテローム性動脈硬化症研究(MESA)」に参加した、6,674人の男女を14年間追跡して調査した。

 参加者は、多様な人種で構成されており、白人が38.6%、アフリカ系が27.5%、ヒスパニック系が22.1%、アジア系が11.9%だった。

 収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上、あるいは降圧薬の使用している場合を高血圧と判定した。

 なお米国心臓学会は、上の血圧が130mmHg以上、下の血圧が80mmHg以上でも「血圧高値」として、食事や運動などの生活改善が必要としている。

 研究グループは、参加者の血圧値とコレステロール値により、以下の4つのグループに振り分けた。なお、リポタンパク(a)は、悪玉のLDLコレステロールの一部で、動脈硬化を促進するとみられている。基準値は40mg/dL以下。

グループ1 (42.5%)高血圧なしリポタンパク(a)が50mg/dL未満
グループ2 (9.2%)高血圧なしリポタンパク(a)が50mg/dL以上
グループ3 (37.5%)高血圧ありリポタンパク(a)が50mg/dL未満
グループ4 (10.8%)高血圧ありリポタンパク(a)が50mg/dL以上

 解析した結果、心血管疾患イベントの発生率は、グループ1(高血圧も高コレステロールもない)と、グループ2(高血圧はないが高コレステロールはある)では、10%未満だった。

 しかし、グループ3(高血圧はあるが高コレステロールはない)では、発生率は1.66倍に上昇し、グループ4(高血圧と高コレステロールの両方がある)では、発生率は2.07倍ともっとも高かった。

糖尿病の管理も必要 心筋梗塞や脳卒中の90%は防げる

血糖値を適正に下げることも重要

 米国心臓学会(AHA)によると、心血管疾患を防ぐためには、血圧や脂質を下げるだけでなく、血糖値が高くなっている人は、血糖値を適正に下げることが重要だ。

 血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなっていたり、膵臓のβ細胞がインスリンを分泌する能力が低下したり失われたりすると、血糖値が上昇する。

 高血糖を放置したままでいると、心血管疾患のリスクが上昇する。2型糖尿病の成人は、そうでない成人に比べ、心臓発作、脳卒中、心不全などの心血管系の病気で死亡する可能性が2倍高いという報告がある。

 同学会などの調査によると、米国の2型糖尿病患者の多くは、心血管疾患の危険因子を十分に管理できていないという。

 「個々の患者さんが食事や運動などの生活スタイルを改善し、肥満も解消し、適切な薬物療法を続け、さらには社会経済や環境などの社会的な課題を解決することで、2型糖尿病の人は心血管疾患を最大で90%防ぐことができると考えられます」と、オハイオ州立大学内分泌・糖尿病・代謝学部のジョシュア ジョセフ氏は言う。

 「実際には米国では、血糖値や血圧値、コレステロール値を適切に管理していて、喫煙もしないという成人患者は、5人に1人未満と少ないのです」と、ジョセフ氏は指摘している。

新しい治療薬が登場し糖尿病の治療は進歩している

 2型糖尿病の治療薬では、GLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬などが登場しており、糖尿病の管理と合併症の予防・改善は以前より行いやすくなっているという。

 GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を刺激し、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑え満腹感を感じやすくするので、体重管理にも役立つ可能性がある。

 またSGLT-2阻害薬は、過剰なブドウ糖の尿中への排出を促し、血糖値を下げる。2型糖尿病の人で多くみられる心不全のリスクの低下や、腎機能の低下を防いだり遅らせる作用も期待されている。

 血糖値を適切に管理し、高血圧のある人は血圧も下げ、悪玉のLDLコレステロールなどの脂質も管理することで、糖尿病の合併症を抑制できる。

 「医師や医療従事者、患者さんが力を合わせて、個別化された治療を実現し、糖尿病とともに生きる人の健康リスクを減らすことが求められています」と、ジョセフ氏は述べている。

Combo of bad cholesterol and high blood pressure may increase heart attack or stroke risk (米国心臓学会 2022年12月13日)
Association of Lp(a) (Lipoprotein[a]) and Hypertension in Primary Prevention of Cardiovascular Disease: The MESA (Hypertension 2022年12月13日)
Most U.S. adults with diabetes aren't managing the risks for heart disease (米国心臓学会 2022年1月10日)
Comprehensive Management of Cardiovascular Risk Factors for Adults With Type 2 Diabetes: A Scientific Statement From the American Heart Association (Circulation 2022年1月10日)
Have diabetes? Make sure to manage cholesterol, too (米国心臓学会 2018年11月19日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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