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2023年09月06日

8つの健康的な生活スタイルで糖尿病リスクを最小に 生活改善は薬よりも効果が高い 人生をより充実させるために

 食事や運動などの生活スタイルを改善すると、2型糖尿病のリスクが58%減少することが明らかになった。

 8つの健康的な生活スタイルを実行すると、心臓血管が健康になり平均余命を5年以上延ばせることも、別の大規模な研究で確かめられている。

 健康的な8つの生活スタイルとは、▼健康的な食事、▼運動を習慣として行う、▼健康的な体重を維持する、▼血糖値を管理する、▼コレステロールや中性脂肪を管理する、▼血圧値を下げる、▼タバコを吸わない、▼睡眠を改善する。

健康的な生活スタイルをもつ人は糖尿病リスクが低下

 健康的な生活スタイルをもっている人は、糖尿病リスクが低下し、健康に長生きできる可能性が高くなることが、大規模な研究で明らかになった。研究は、米国心臓学会(AHA)の年次学術集会で発表された。

 同学会は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの慢性疾患を予防・改善し、心臓の健康を維持しながら長生きするために、8つの健康的な生活スタイルを提唱している。

 健康的な8つの生活スタイルとは、▼健康的な食事、▼運動を習慣として行う、▼健康的な体重を維持する、▼血糖値を管理する、▼コレステロールや中性脂肪を管理する、▼血圧値を下げる、▼タバコを吸わない、▼睡眠を改善する。

 「高血糖や脂質異常、高血圧などになりやすい人も、健康的な生活スタイルを実行していると、いつまでも若々しく、元気に長生きできる可能性が高まります」と、マイアミ大学ヘルスシステムの内分泌代謝科専門医であるロナルド ゴールドバーグ氏は言う。

糖尿病予備群の段階で血管の老化ははじまっている

 2型糖尿病の人の多くは、ある日突然、血糖値が高くなるわけではない。多くの場合、何年もかかってゆっくりと血糖値が高くなり、糖尿病にいたる。

 血糖値が高めの状態が続く予備群の段階で、全身の血管にダメージがもたらされる。血管の老化である動脈硬化は、糖尿病予備群の段階からすでに生じているという。

 「糖尿病予備群の段階で、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクは上昇し、さらに2型糖尿病を発症すると、時間の経過とともにこれらの疾患のリスクはさらに高まります」と、ゴールドバーグ氏は説明する。

 糖尿病と診断されるずっと前の段階から、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、働きにくくなる変化が生じていると考えられている。

 なるべく人生の早い段階で、食事や運動などの生活スタイルを改善することが重要になる。

血糖値が高めの人を3年間追跡して調査

 「2型糖尿病の人は、そうでない人に比べて、心臓病や脳卒中などで死亡するリスクが2倍に高まります。さらに、2型糖尿病の人は、過体重や肥満、高血圧、高コレステロールなど、他の心血管疾患の危険因子を抱えていることが多くみられます」と、ゴールドバーグ氏は言う。

 研究グループは、米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の支援を受けて実施された大規模研究である「糖尿病予防プログラム(DPP)」に参加した成人3,234人を対象に、21年間追跡して調査した。参加者の研究開始時の平均年齢は51歳だった。

 DPPは、1996年~2001年にかけて全米の27施設で実施された、糖尿病予備群と判定された人の糖尿病発症を予防あるいは遅らせる方法を探るために実施されたランダム化比較試験。

 参加した人は、体格指数(BMI)が24以上と肥満気味で、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の負荷後2時間の血糖値が140~199mg/dLで、糖尿病と判定されるほどではないものの食後に血糖値が上がりやすく、さらに空腹時血糖値が95〜125mg/dLでやはり血糖値が高めの人。

食事や運動などを改善した人は糖尿病リスクが58%減少

 その結果、食事や運動などの生活スタイルを改善し、体重を7%減少することを目標とした群は、2型糖尿病の発症リスクが58%減少したことが分かった。

 「糖尿病予備群の段階では、なんの症状もありません。糖尿病のリスクが高いと指摘されても、"まだ糖尿病になったわけではないから、いまは生活を変える必要はない"と思っている人もいるかもしれません」と、ゴールドバーグ氏は言う。

 「しかし、食事や運動、減量などをきちんと行った人は、行わなかった人に比べて、2型糖尿病のリスクが大幅に減ることが示されました。糖尿病を予防・改善するために、毎日の生活改善がとても重要です」としている。

生活改善は薬よりも効果が高い

 研究では、薬によって2型糖尿病の発症を予防する方法も検討された。血糖値を下げる飲み薬であるメトホルミンを1日2回、3年間服用した人は、服用しなかった人に比べ、糖尿病の発症リスクが31%減少した。

 メトホルミン(ビグアナイド薬)は、2型糖尿病の治療に広く利用されている薬で、肝臓などで作用し、肝臓で糖を作る「糖新生」を抑えることで血糖を下げると同時に、血糖値を下げるインスリンの効きを良くする。

 「薬による2型糖尿病の発症予防の効果も、ある程度は認められましたが、生活スタイルの改善をしっかり行った方が、より効果が高いことが示されました」と、ゴールドバーグ氏は指摘する。

 「薬を飲んでいたとしても、食事や運動などの生活スタイルを改善しない場合には、十分な効果は発揮されません。健康で長生きするために、生活スタイルを改善することは大切です」。

 「健康的な生活スタイルは、すでに2型糖尿病を発症した人とも共通するものです。糖尿病によって引き起こされる合併症である、心血管疾患、腎臓病、網膜症、神経障害などを防ぐためにも、8つの生活スタイルを実行することが重要です」としている。

健康的な8つの生活スタイルにより心臓血管も健康に

8つの生活スタイルで健康に

 ▼健康的な食事、▼運動を習慣として行う、▼健康的な体重を維持する、▼血糖値を管理する、▼コレステロールや中性脂肪を管理する、▼血圧値を下げる、▼タバコを吸わない、▼睡眠を改善するという、健康的な8つの生活スタイルを実行していると心臓血管が健康になり、寿命を延ばせることが、別の大規模な研究でも確かめられている。

 研究グループは、研究開始時に心血管疾患、2型糖尿病、がん、認知症を発症していなかった英国の成人13万6,599人を対象に調査した。

 米国心臓学会(AHA)が定めた推奨に従い、心臓血管の健康状態をスコア化した。100点中50未満のスコアは「心臓血管の健康状態が悪い」、50点~80点未満は「中間」、80点以上は「理想的」と判定した。

 その結果、心臓血管の健康状態がもっとも良いと判定された群は、もっとも悪いと判定された群に比べ、平均余命がそれぞれ男性で5.2年、女性で6.3年、それぞれ長くなることが分かった。

 生活スタイルが健康的で、心臓血管の健康状態が良い人は、寿命のうち心血管疾患・糖尿病・がん・認知症の影響を受けないでいられる期間が、男性では76%、女性では83%に上った

 「中高年になっても心臓血管の健康を高く維持できていると、心血管疾患だけでなく、糖尿病・がん・認知症といった深刻な病気の影響も抑えられることが分かりました」と、米ノースウェスタン大学予防医学部の教授で米国心臓学会の会長であるドナルド ロイド-ジョーンズ氏は言う。

 「年齢を重ねてもいつまでも若々しく、より健康に長生きし、残りの人生を充実したものにするために、いますぐ行動をはじめることが必要です」としている。

Lifestyle changes, meds effective to prevent or delay Type 2 diabetes; no change in CVD (米国心臓学会 2022年5月23日)
Effects of Long-term Metformin and Lifestyle Interventions on Cardiovascular Events in the Diabetes Prevention Program and Its Outcome Study (Circulation 2022年5月23日)
Heart-healthy lifestyle linked to a longer life, free of chronic health conditions (米国心臓学会 2023年3月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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