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2023年09月04日

ウォーキングの歩数を1000歩増やしただけでも糖尿病リスクは低下 「毎日忙しい」という人も取り組める

 ウォーキングなどの身体活動を増やすことが、糖尿病の血糖管理の改善や、健康増進につながることは理解していても、「毎日忙しい」などの理由で実行できないでいる人は多い。

 「1日1万歩」を達成するのが無理という人も、1日にわずか1,000歩多く歩いただけでも、死亡リスクを大幅に減らすことができることが、22万人超を対象とした研究で明らかになった。

 糖尿病のリスクがあり、血糖値が上がりやすい人は、食後に軽く歩くだけでも、リスクを減らすのに役立つという研究も発表されている。

「1日1万歩」は無理? それなら1000歩増やすことを目標に

 糖尿病の血糖管理を改善するための運動療法として、ウォーキングが勧められることが多く、「1日1万歩を目標に」と言われることも多い。しかし、運動をする習慣のない人が、1日に1万歩を歩くのは簡単なことではない。

 そんな人に朗報がある。欧州心臓病学会(ESC)の発表によると、歩けば歩くほど健康上のメリットは大きくなり、1日に1万歩くらいまでは、歩数を増やすほど死亡リスクは低下するものの、それが無理という人も、少し歩数を増やしただけで健康増進の効果を得られるという。

 「1日のなかで空いた時間をみつけて、いま以上に多く歩くことを心がけることが大切です」と、ポーランドのウッチ医科大学心臓病学部のマチェイ バナッハ教授は言う。

 「歩数を1日に1,000歩増やすと、なんらかの原因で死亡するリスクは15%減少することが分かりました。それが無理でも、1日500歩増やしただけで、心血管疾患による死亡リスクは7%減少します」としている。

わずか4000歩のウォーキングで健康リスクは低下

 研究グループは、17件の研究に参加した22万6,889人のデータを解析した。参加者の平均年齢は64歳で、51%は男性だった。参加者を7年間(中央値)追跡して、1日の歩数と健康への影響について調べた。

 「年齢や住んでいる地域、気候などに関係なく、男性と女性の両方で、歩数が多いほど健康的であることが示されました」と、バナッハ教授は言う。

 「ただし、死亡リスクを減らすために必要な歩数は、考えられているほど多くなく、1日にわずか4,000歩を歩いただけでも、心血管疾患による死亡リスクを減らすことにつながります」。

 研究では、1日の歩数を3,967歩以上に増やすと、あらゆる原因で死亡するリスクは低下しはじめることが分かった。

 さらに、歩数の上限については個人差があるものの、60歳未満の人では、1日の歩数を7,000歩から1万3,000歩に増やすと、早期死亡のリスクは49%も低下することが示された。

 高齢者にもウォーキングはベネフィットをもたらす。毎日6,000歩から1万歩を歩いている高齢者では、死亡リスクは42%も減少した。

座ったまま時間が長いと心臓病リスクは上昇

 一方、座ったまま時間の長い、運動不足の生活スタイルは、心血管疾患のリスクの上昇と密接に関係していることも分かった。

 心筋梗塞や脳卒中などは、糖尿病の深刻な合併症のひとつだ。糖尿病合併症を防いだり、進行を遅らせるためにも、運動を習慣として続けて、血糖・血圧・脂質を良好に管理することが必要になる。

 世界保健機関(WHO)は、運動不足を世界の死因の第4位に位置づけている。新型コロナのパンデミック以来、運動不足の傾向はますます強まっている。

 世界の4分の1の人が運動不足で、男性の4人の1人、女性の3人の1人は、運動不足のために不健康になっているという。裕福な国ほど運動不足の人が増え、37%が推奨されている運動レベルを満たしていない。

 「今回の研究では、1日の歩数をどこまで増やすと、健康効果を最大に高められるかについては、明確な証拠は得られませんでした」と、バナッハ教授は指摘する。

 「ただし、はっきりと言えるのは、食事や運動などの生活スタイルを改善することは、心血管リスクを軽減し、寿命を延ばすのに役立ち、どんな先進的な治療薬よりも効果が高い可能性があることです」としている。

食後のわずか2分間のウォーキングで糖尿病リスクは低下

 血糖値が上がりやすく、2型糖尿病のリスクのある人は、食後に軽く歩くだけでも、糖尿病リスクを減らすのに役立つという別の研究を、アイルランドのリムリック大学が発表している。

 食後にわずか2~5分間、軽いウォーキングをするだけでも、座ったまま過ごすのに比べ、良好な血糖管理につながるという。

 とくに食後や、机に座ったりソファに腰を下ろしたりなど、座ったまま過ごす時間が長引いたときには、それを中断して、わずか2~5分の軽い運動をするだけでも、血糖管理を改善する効果を期待できる。

 「座ったまま過ごす時間が長引いたときは、ときどき立ち上がって、とくに食後は、短い時間でも歩いてみるだけで、驚くほど良い効果を得られます」と、同大学体育・スポーツ科学部のエイダン バフィー氏は述べている。

World's largest study shows the more you walk, the lower your risk of death, even if you walk fewer than 5,000 steps (欧州心臓病学会 2023年8月8日)
The association between daily step count and all-cause and cardiovascular mortality: a meta-analysis (European Journal of Preventive Cardiology 2023年8月9日)
The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis (Sports Medicine 2022年2月11日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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