ニュース

2023年07月11日

糖尿病のある人に最適な運動はどれ? 運動の効果を高める5つの方法

 2型糖尿病の人の血糖管理への運動の影響を調べた結果、それぞれの人に合わせて運動の種類やタイミングを調整すると、さらに効果をえられることが明らかになった。

 「どんな運動であっても、またどんなやり方でも、何もしないでいるのに比べ、糖尿病を改善する効果をえられます」と、研究者は指摘している。

 「しかし、たとえばウォーキングなどとチューブ運動などの筋トレを組み合せてみたり、仕事の合間や午後の空いた時間に運動をしてみたり、なるべく食後に体を動かすよう心がけるなど、ちょっとした工夫を重ねるだけで、運動の効果をさらに高められます」としている。

運動には1人ひとりに最適なアプローチがある

 糖尿病とともに生きる人にとって、運動はいつどのように行っても、どのような運動でも、プラスの効果を期待できるが、なかなか運動療法の成果をえられないという人は、やり方を工夫してみるとよいかもしれない。

 2型糖尿病の人の血糖管理への運動の影響を調べた結果、それぞれの人に合わせて運動の種類やタイミングを調整すると、さらに健康増進の効果をえられることが米国のラトガース大学の研究で明らかになった。

 「ほとんどの人は運動が自分の健康にとって良いことだと知っていますが、運動には最適なアプローチがあることに気付いていない人も多く見受けられます」と、同大学運動・健康学科のスティーブン マリン氏は言う。

 研究グループは今回、2型糖尿病の人にとっての、有酸素運動や筋力トレーニングのそれぞれの有用性、運動するのに最適な時間帯、運動を食前に行うべきか食後に行うべきか、運動の効果をえるためにまず体重を減らした方がよいかなど、運動のベネフィットを包括的に検証した。

 研究は、国内外の2型糖尿病と運動療法についての研究を集めてメタ解析したもの。研究成果は、「American Journal of Medicine」に掲載された。

運動の効果を高める5つの方法

 研究の結果、多くの人にあてはまる運動の秘訣として、次のことが明らかになった。

有酸素運動の習慣化はすべての人にとって良い
 ウォーキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、心拍数を高め、体の酸素利用を促し、血糖値の管理を改善するのに役立つ。
 ただし、筋肉が減っていたり、低下している人では、思うように運動の効果をえられないこともある。そういう人は、有酸素運動に合わせて、筋肉を増やすレジスタンス運動も行うと、効果をより高められる。

レジスタンス運動を組み合せてみる
 多くの人は筋肉が20代をピークに減少していく。ダンベル体操、バンドやチューブを使った筋トレ、自分の体重を利用する自重トレーニング、自宅や職場でできるスクワットなど、筋肉に抵抗をかけて行うレジスタンス運動により、筋肉を鍛えることができる。
 2型糖尿病の人が運動をして、筋肉を強くすると、血糖値を下げるインスリンが効きやすい体に変わっていき、血糖管理がより改善する。

運動の前後にストレッチも行う
 筋肉や関節を伸ばすストレッチ運動で筋肉をほぐすことで、体の可動域が広がり、ケガ防止にもつながる。ストレッチで、肩こりや腰痛、変形性関節症などの症状も緩和できる。リラックス効果もあるので、毎日行うと快眠にもつながる。

1日の空き時間に運動をする
 1日にまとまった運動の時間をとれないという人は、時間を分割して短い時間の運動を何度か行うと、1日でかなりの運動量になる。3分でも良いので、空いた時間ができたら体を動かしてみよう。
 秘訣となるのは、座ったまま過ごす時間が長引いた場合には、立ち上がって体を動かすようにすること。座ったままの時間を減らして、1日中体を動かしていると、血糖管理とインスリン値も改善しやすい。

運動をする時間帯を変えてみる
 運動をしていても、血糖管理がなかなか改善しないという人は、運動を行う時間を変えてみる。午後や夜早い時間など、1日の遅い時間に運動を行うと、血糖管理が良くなり、インスリン感受性も改善したという報告がある。

仕事の合間や午後の空いた時間、食後に運動をしてみる

 「どんな運動であっても、またどんなやり方で運動を行っても、何もしないでいるのに比べ、糖尿病を改善する効果をえられます」と、マリン氏は指摘する。

 「しかし、たとえばウォーキングなどの有酸素運動と、チューブ運動などの筋トレを組み合せてみたり、仕事の合間や午後の空いた時間に運動をしてみたり、なるべく食後に体を動かすよう心がけるなど、ちょっとした工夫を重ねるだけで、運動の効果をさらに高められます」としている。

 運動を続けていれば、体脂肪を減らし、筋肉量を増やすことができるので、肥満やメタボのある人も、それが妨げになることはない。肥満のある人も、体重が減るのを待たないで、いますぐ運動をはじめるべきだとしている。

 米国疾病予防管理センター(CDC)によると、3,700万人以上の米国人が糖尿病で、うち90~95%が2型糖尿病で、インスリン抵抗性がみられる。

より適正化した運動処方と実践的なアドバイスを

 インスリン抵抗性は、体内でインスリンは作られているが、肥満や運動不足などを原因に、その効果を十分に発揮できなくなり、血糖値が上がりやすくなった状態。

 運動や身体活動は、インスリンに対する体の感受性を高め、インスリン抵抗性を解消するのに効果的だ。運動を続けていると、体の細胞は血液中のブドウ糖をより効果的に利用できるようになり、血糖値が下がりやすくなる。

 マリン氏らは、運動がインスリン感受性を改善する効果について研究しており、どのような運動や身体活動がインスリンの働きを高めるかを調べているという。

 「運動療法は糖尿病の治療法では第一選択としてみなすべきです。ただし、最適な運動療法のやり方は1人ひとり異なり、同じ人でも年齢によって効果的な運動のやり方は変わっていきます。より適正化した運動処方と実践的なアドバイスを提供できるようにすることが目標です」としている。

For Type 2 Diabetics Who Exercise, Some Approaches Are Better Than Others (ラトガース大学 2023年6月28日)
The importance of exercise for glycemic control in type 2 diabetes (American Journal of Medicine Open 2023年6月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲