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2023年01月12日

糖尿病があると命に関わる血栓症のリスクが1.4倍に上昇 どうすれば予防できる?

 糖尿病とともに生きる人は、血栓症の発症リスクが高いという調査結果が発表された。糖尿病があると「静脈血栓塞栓症」のリスクが1.4倍に上昇するという。

 血栓症は、血管内に血のかたまり(血栓)ができ、血管がつまってしまう病気。

 血栓症を予防するための方法も提案されている。テレビを見たり、コンピュータの前で何時間も仕事をするなど、座ったままの時間が長い人は注意が必要だ

糖尿病の人は血栓症のリスクが高い

 糖尿病とともに生きる人は、「静脈血栓塞栓症(VTE)」の発症リスクが高いという調査結果が発表された。静脈血栓塞栓症は、ときには命に関わることもある危険な病気だ。

 「静脈血栓塞栓症」は、主にふくらはぎや太もも(下肢)の血管に、血のかたまり(血栓)ができ、血管がつまってしまう病気。

 足から心臓へと血液を戻す血管に、血栓ができてつまる「深部静脈血栓症」と、下肢にできた血栓が、血流にのって肺まで運ばれ、肺の血管をつまらせる「肺血栓塞栓症」が知られている。

 深部静脈血栓症の症状は、下肢の痛み・はれ・色が悪くなる(赤みがある)など、肺血栓塞栓症の症状は、呼吸が苦しい・冷や汗が出る・動悸がする・胸の痛みなどだが、症状がでないものもあり、人によってさまざまだ。

 深部静脈血栓症は、「エコノミークラス症候群」としても知られており、長時間の飛行機旅行など、体を動かさない状態が長く続くと起こりやすくなる。ただし、飛行機に乗らなくても起こりえるので、油断はできない。

糖尿病があるとリスクは1.4倍に上昇

 オーストリアのウィーン医科大学による今回の研究では、糖尿病のある人が、静脈血栓塞栓症を発症するリスクは、男性で1.3倍、女性で1.52倍、それぞれ高いことが明らかになった。研究グループは、糖尿病と判定された18万34人の男女を対象に調査した。

 「40歳を過ぎると、静脈血栓塞栓症を発症するリスクは相対的に高くなります。今回の研究では、とくに女性でリスクが高いことが分かりました」と、ウィーン医科大学内分泌代謝学のカロラ ダイシンガー氏は言う。

 「糖尿病のある50代の女性が静脈血栓塞栓症を発症するリスクは、糖尿病のない同年配の女性に比べ、1.65倍に高まることが示されました。その年齢層の女性は更年期の影響を受けやすいことが知られています」としている。

 研究は、オーストリアの2003年~2014年の、約4,500万件の医療ビッグデータを活用したもの。糖尿病の人の数は、男性は10万9,295人、女性は7万739人だった。

 「静脈血栓塞栓症を発症するリスクは通常は、男女ともほぼ同じぐらいと考えられていますが、糖尿病であることは、そのリスクを平均して1.4倍に高めることが明らかになりました」としている。

糖尿病のある人は静脈血栓塞栓症を発症するリスクが上昇

出典:Complexity Science Hub Vienna、2023年

どうすれば血栓症を予防できる?

 それでは、静脈血栓塞栓症を発症しやすいのは、どのような人だろう? どうすれば予防できるのだろうか?

 基本的には、長い時間、同じ姿勢でいると、下肢の血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなる。そのため、血栓ができないように、とくに脚を動かすことをふだんから心がけることが予防策になる。

 米国のミネソタ大学による別の研究では、テレビを見過ぎているなど、座ったままの時間が長い人は、致命的な血栓症を発症するリスクが1.7倍以上に高まることが分かった。とくに日本を含むアジア系の人で、血栓ができやすいことが示された。

 「座ったままの時間が長引いたときは、立ち上がって運動をしたり、体を動かすことで、予防の効果を期待できます」と、研究者はアドバイスしている。

 研究グループは、米国で1987年に開始された大規模調査に参加した、45歳~64歳の1万5,158人の米国人のデータを解析した。

 「運動を習慣として行っている人でも、テレビ視聴や仕事など、長時間座りっぱなしの時間が長引くと、血栓症のリスクが高まります。テレビを見過ぎるのを避け、運動や身体活動を習慣として行い、健康的な体重に管理することは、血栓症を予防するのに有益です」としている。

テレビを長時間見るときは、休憩をとり体を動かすことが大切

 欧州心臓病学会(ESC)が発表した別の研究でも、血栓症を予防するために、テレビを長時間見るときは、休憩をとり体を動かすことが効果的であることが示された。

 「テレビを見ていたり、コンピュータの前で何時間も仕事をしているなど、座ったままの時間が長くなる場合は、30分ごとに立ち上がってストレッチをしたり、家や職場の周りを少し歩くなどして、体を動かすことをお勧めします」と、英国のブリストル大学臨床科学のセトール クヌーソル氏は言う。

 研究では、テレビの視聴時間が1日に4時間以上の人は、2.5時間未満の人に比べ、血栓症のリスクが35%高いことが示された。

 研究グループは、3件の研究から、静脈血栓塞栓症の既往のない40歳以上の男女13万1,421人のデータを解析した。平均追跡期間は5.1年~19.8年で、この期間中に964人が静脈血栓塞栓症を発症した。

 「窮屈な姿勢で長時間も座っていると、血液がうまく循環しなくなり四肢にたまりやすくなり、血栓症を引き起こす原因になります。テレビを長時間見る人は、スナックやジャンクフードを食べるのを好んで食べている傾向があり、これは血栓症だけどなく、肥満や糖尿病のリスクも高めるので、とくに避けるべきです」としている。

Diabetes mellitus: Women are at higher risk of venous thromboembolism than men (Complexity Science Hub Vienna 2023年1月3日)
Diabetes mellitus is associated with a higher relative risk for venous thromboembolism in females than in males (Diabetes Research and Clinical Practice 2022年12月)
Watching too much television could cause fatal blood clots (Springer 2018年2月21日)
TV viewing and incident venous thromboembolism: the Atherosclerotic Risk in Communities Study (Journal of Thrombosis and Thrombolysis 2018年2月21日)
TV watching linked with potentially fatal blood clots (欧州心臓病学会 2022年1月20日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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