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2022年12月23日
年末年始は糖尿病の管理を乱しやすい 「8つの対策」で上手に乗り切る
年末年始は、ふだんの生活スタイルを維持するのが難しく、糖尿病の管理を乱しやすい時期。この時期を上手に乗り切るために、簡単に実行できる8つの対策をご紹介する。
糖尿病の人にとって年末年始はストレスの多い時期
糖尿病とともに生きる人にとって、年末年始や連休は、血糖管理や体調管理が難しくなる時期だ。年末年始は、ふだんと違う慌ただしい日が続くので、「ストレスを感じる」という人が少なくない。 新型コロナの拡大の影響を受け、感染を防ぐため、大勢で集まって祝うのをやめて、換気の悪い狭い場所を避けたり、旅行を断念したり、外出を自粛している人も多い。いつもと違う年末年始を迎え、戸惑っている人も多いかもしれない。 米国糖尿病学会(ADA)と米国心臓学会(AHA)は、2型糖尿病とともに生きる45歳以上の米国成人1,000人以上を対象にオンライン調査を行った。 その結果、2型糖尿病の人のほぼ半数(49%)は、年末の連休はふだんの日に比べて、糖尿病の管理が難しい時期と感じていることが分かった。 食事を上手に管理できていると感じている人は、平日であれば4分の3(73%)に上るが、年末になり休日が続くと、その割合は半分(52%)にまで落ち込むことも示された。糖尿病のケアは休むことなく続くハードワーク
連休を健康に過ごすために、具体的にどうすれば良いのかが分からず戸惑っているという人は28%、新型コロナの感染を予防するために大人数での集会を避けているため、友人や知人に会いにくいと感じている人も14%に上った。コロナ禍で経済的に不安な状態にあるという人も15%いた。 「糖尿病とともに生きる人々は、心臓病、脳卒中、腎臓病などの深刻な合併症を予防するために、糖尿病を良好に管理する必要があります。食事療法や運動療法を行い、服薬や注射をきちんと守るのは、1年間休むことなく続くハードワークのようなものです」と、コロラド大学医学部内分泌学科のロバート エッケル教授は言う。 「糖尿病のケアは特別なことをしているわけではありせん。糖尿病とともに生きる人にとって、健康的な生活スタイルや環境は、友人やご家族など、周囲にいるすべての人にとっても大切なものです」としている。年末年始を「8つの対策」で上手に乗り切る
年末年始を上手に乗り切るための8つの対策
1 年末年始をどう過ごすか計画を練る
年末年始は生活が不規則になりがちで、ふだん通りの食生活を続けるのが難しくなる。仕事の片付け、忘年会や新年会など、子供の相手をして過ごす時間が増えるなど、ストレスがたまりやすい時期でもある。
事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、カレンダーや手帳に書き留めておくと、健康的な食事や運動のための時間を確保できるようになる。
事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、カレンダーや手帳に書き留めておくと、健康的な食事や運動のための時間を確保できるようになる。
2 生活リズムを乱さないようにする
年末年始は生活が乱れやすい時期だ。とくにコロナ禍では、自宅で過ごす時間が長くなり、生活リズムがいっそう乱れやすい。
睡眠や体温、血圧、ホルモン分泌など体の基本的な機能はおよそ24時間のリズムを示す。この1日周期のリズムは「概日リズム」と呼ばれる。概日リズムを調整している「体内時計」は、生活習慣から大きな影響を受けている。
ストレスは体内時計にも大きく影響するので、ストレスをためないようにすることが大切だ。体内時計を乱さないために、次のような工夫が役立つ――。
睡眠や体温、血圧、ホルモン分泌など体の基本的な機能はおよそ24時間のリズムを示す。この1日周期のリズムは「概日リズム」と呼ばれる。概日リズムを調整している「体内時計」は、生活習慣から大きな影響を受けている。
ストレスは体内時計にも大きく影響するので、ストレスをためないようにすることが大切だ。体内時計を乱さないために、次のような工夫が役立つ――。
- なるべく毎日決まった時間に起床・就寝する
- 食事の時間はなるべく通常の生活に合わせるようにする
- 毎日同じ時間帯に運動する
- 3密を避けながら、毎日一定の時間、屋外で過ごす
- 散歩などリラックスできることをする
- 十分な睡眠をとる
- 昼寝をする場合は30分以内にする
3 運動を続ける
運動や身体活動は自然なストレス解消法になる。血糖や血圧の良好な管理や、肥満の予防・改善にもつながり、多くの健康上のメリットがある。
30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2~3回とりいれても効果がある。
ウォーキング以外でも、掃除などの家事、家族との散歩、ガーデニング、サッカーなどの遊び、子供や孫と遊ぶなどなどの生活活動も立派な身体活動になる。
運動を続けるために、一緒に運動する仲間をつくり励ましあったり、家族と一緒にウォーキングしたり、冬でも利用できる場所を確保するなどして対策しよう。
30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2~3回とりいれても効果がある。
ウォーキング以外でも、掃除などの家事、家族との散歩、ガーデニング、サッカーなどの遊び、子供や孫と遊ぶなどなどの生活活動も立派な身体活動になる。
運動を続けるために、一緒に運動する仲間をつくり励ましあったり、家族と一緒にウォーキングしたり、冬でも利用できる場所を確保するなどして対策しよう。
4 食べ過ぎたカロリーを燃焼するのは大変
会食やパーティーが続くと、自分がどれだけ食べたかを把握するのが難しくなる。パーティーでは多くの料理が出るので、つい食べ過ぎてしまうという人は多い。
1日の食事で脂肪の多い食品を500kcal分余計にとる生活が続くと、摂り過ぎたカロリーは1週間で3,500kcalになり、2週間で体重が1kg増える計算になる。
増え過ぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変だ。食べ過ぎを防ぐことが、肥満を避けるためのもっとも有効な手段となる。
会食などの予定があるときは、空腹の状態で行くとつい食べ過ぎてしまうので、食欲をコントロールしやすくするために、野菜や低糖質の食品、全粒粉パンなどを軽く食べてから出かけるようにする。
1日の食事で脂肪の多い食品を500kcal分余計にとる生活が続くと、摂り過ぎたカロリーは1週間で3,500kcalになり、2週間で体重が1kg増える計算になる。
増え過ぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変だ。食べ過ぎを防ぐことが、肥満を避けるためのもっとも有効な手段となる。
会食などの予定があるときは、空腹の状態で行くとつい食べ過ぎてしまうので、食欲をコントロールしやすくするために、野菜や低糖質の食品、全粒粉パンなどを軽く食べてから出かけるようにする。
5 自分が何を食べたいのかを考えよう
脳が満腹であると感知するために、食べはじめてから20分以上の時間が必要だ。食事では、なるべくゆっくり味わいながら食べよう。
料理を皿に盛るときはなるべく小さいお皿を選ぶ。皿が小さいと食事の量を抑えられ、満足感も得やすいという研究結果がある。
揚げ物やバターたっぷりの高カロリーの食品を避けて、肉や魚でも、できるだけシンプルに調理されたものを選ぼう。サラダはヘルシーと思いがちだが、油分たっぷりのドレッシングをかけると高カロリーになるので注意が必要だ。
パーティーなどの目的は、食べることだけではなく、人との会話や交流。片手にお皿、もう片方に飲み物となると、人と話すのも大変になる。そう意識しておけば、食べ過ぎや飲み過ぎを防げる。
料理を皿に盛るときはなるべく小さいお皿を選ぶ。皿が小さいと食事の量を抑えられ、満足感も得やすいという研究結果がある。
揚げ物やバターたっぷりの高カロリーの食品を避けて、肉や魚でも、できるだけシンプルに調理されたものを選ぼう。サラダはヘルシーと思いがちだが、油分たっぷりのドレッシングをかけると高カロリーになるので注意が必要だ。
パーティーなどの目的は、食べることだけではなく、人との会話や交流。片手にお皿、もう片方に飲み物となると、人と話すのも大変になる。そう意識しておけば、食べ過ぎや飲み過ぎを防げる。
6 食物繊維を十分に摂る 糖質を摂り過ぎない
食物繊維が豊富に含まれるカット野菜などを、台所のすぐ手が届く場所に置いておくと、野菜の不足を補うことができる。
食物繊維は、食物が胃から小腸へ移動する時間を遅らせ、吸収を遅くする。糖質を含む食品がゆっくり吸収されるようになるので、インスリンの分泌が食べた分に追いつかない体質の人でも、食後の血糖値上昇をある程度抑えることができる。
食物繊維が豊富に含まれる野菜を食べれば、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを抑えられる。100gの生の野菜に2~3gの食物繊維が含まれている。茹でてかさを減らせば、野菜をたくさん食べられる。
また、餅、マッシュポテト、カレー、詰め物、ディナーロール、アップルパイ、デザートなどには多くの糖質が含まれるので、注意が必要だ。
3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪)の中で、血糖を上昇させやすいのは炭水化物だ。食後の血糖値の上昇を抑えるために、玄米や全粒粉など食物繊維が豊富に含まれる精製されていない穀類を摂ったり、炭水化物をタンパク質や脂肪と同時に摂り、炭水化物の消化・吸収を遅くする工夫が役立つ。
食物繊維は、食物が胃から小腸へ移動する時間を遅らせ、吸収を遅くする。糖質を含む食品がゆっくり吸収されるようになるので、インスリンの分泌が食べた分に追いつかない体質の人でも、食後の血糖値上昇をある程度抑えることができる。
食物繊維が豊富に含まれる野菜を食べれば、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを抑えられる。100gの生の野菜に2~3gの食物繊維が含まれている。茹でてかさを減らせば、野菜をたくさん食べられる。
また、餅、マッシュポテト、カレー、詰め物、ディナーロール、アップルパイ、デザートなどには多くの糖質が含まれるので、注意が必要だ。
3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪)の中で、血糖を上昇させやすいのは炭水化物だ。食後の血糖値の上昇を抑えるために、玄米や全粒粉など食物繊維が豊富に含まれる精製されていない穀類を摂ったり、炭水化物をタンパク質や脂肪と同時に摂り、炭水化物の消化・吸収を遅くする工夫が役立つ。
7 ストレスをためない 睡眠を十分にとる
ストレスによって、血糖管理や、肥満やメタボに悪影響が出てくるおそれがある。ふだん通りの食事を続けられなくなったり、アルコールを飲み過ぎたり、運動不足が続くことも、ストレスの原因になる。
年末年始の休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作り過ぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。
たとえ計画通りに1日を過ごせないときでも、くよくよと悩まないようにし、家族や仲間とともに過ごす時間を楽しもう。次の日から、食事や運動、血糖自己測定などの日課を取り戻せば、休日を有意義に過ごせる。
睡眠を十分にとることも大切だ。睡眠不足になると、高脂肪・高糖質の食品を食べたくなり、血糖コントロールを良好に保つのが難しくなる。7~8時間の睡眠時間を目安に、余裕をもって1日を過ごそう。
年末年始の休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作り過ぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。
たとえ計画通りに1日を過ごせないときでも、くよくよと悩まないようにし、家族や仲間とともに過ごす時間を楽しもう。次の日から、食事や運動、血糖自己測定などの日課を取り戻せば、休日を有意義に過ごせる。
睡眠を十分にとることも大切だ。睡眠不足になると、高脂肪・高糖質の食品を食べたくなり、血糖コントロールを良好に保つのが難しくなる。7~8時間の睡眠時間を目安に、余裕をもって1日を過ごそう。
8 体重を毎日はかる
年末年始は、体重コントロールが難しい時期だ。「食べ過ぎ」がもっとも起きやすいのがこの時期であることが、ハーバード公衆衛生大学院の調査で明らかになっている。
多くの人がこの時期に体重を平均1.5kg以上増やすという。体重を増やさない人でも、平日は食べ過ぎないようにしても、週末には食べ過ぎてしまい、食事のコントロールを相殺するというサイクルを繰り返すことが多い。
「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切だ。体重を決まった時間に毎日はかることを習慣にすれば、体重をコントロールしやすい。体重計を台所や冷蔵庫のそばに置いて体重を毎日はかり、減量に成功した人もいる。
Survey: Holidays Place Extra Stress on People Managing Type 2 Diabetes (米国糖尿病学会 2021年12月14日)多くの人がこの時期に体重を平均1.5kg以上増やすという。体重を増やさない人でも、平日は食べ過ぎないようにしても、週末には食べ過ぎてしまい、食事のコントロールを相殺するというサイクルを繰り返すことが多い。
「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切だ。体重を決まった時間に毎日はかることを習慣にすれば、体重をコントロールしやすい。体重計を台所や冷蔵庫のそばに置いて体重を毎日はかり、減量に成功した人もいる。
Holiday Meal Planning (米国糖尿病学会)
Want to stay healthy over the holidays? (ハーバード大学医学部 2022年11月22日)
Healthy eating through the holidays (ハーバード大学医学部 2021年11月5日)
Tips to cheat safely on your healthy diet (ハーバード大学医学部 2020年12月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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