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2022年12月21日
歩数計を持ち歩くだけで糖尿病や肥満のリスクが低下 8000歩超で糖尿病リスクは大幅減少
![](https://dm-net.co.jp/calendar/2022ima/20221221-1.jpg)
歩数計アプリの入ったスマホや、市販の歩数計・活動量計を持ち歩いて、ただ歩数をカウントするだけでも、毎日続けていると、糖尿病リスクを低下できる可能性がある。
とくに1日に座ったままの時間が長い運動不足の人では、歩数を8,000歩以上に増やしただけでも、糖尿病リスクを大幅に減らす効果を期待できるという。
毎日の歩数をカウントするだけでも糖尿病リスクは減らせる
歩数計や活動量計を持ち歩いて、毎日の歩数をカウントし、少しずつ歩数を増やしていくと、2型糖尿病のリスクを減らせるという研究を、米国のヴァンダービルト大学医療センターが発表した。 ウォーキングの歩数を増やすと、糖尿病のリスクが低下するだけでなく、高血圧、肥満、睡眠時無呼吸症候群など、多くの人が罹患している慢性疾患のリスクも減らせるという。 「歩数計アプリの入ったスマートフォンや、市販の歩数計などのウェアラブルデバイスを持ち歩いて、歩数をカウントするだけでも、生活スタイルがより活動的になる人が多く見受けられます」と、同センター循環器内科のエヴァン ブリテン氏は言う。 「とくに1日に座ったままの時間が長い人では、歩数計を持ち歩くだけでも効果を期待できます。歩数が分かるスマホも多く出ているので、まずはご自分の歩数を記録することからはじめてはいかがでしょうか」としている。1日に8000歩以上を歩いている人は糖尿病や肥満のリスクが低下
研究グループは、米国国立衛生研究所(NIH)が主導して行われているコホート研究である「All of Us プログラム」に参加した6,042人の米国人のデータを解析した。 参加者に、Fitbitアクティブトラッカーを1日に10時間以上着用してもらい、身体活動を測定し、平均4年間の歩数などのデータと医療データとを突き合せた。 その結果、1日に8,200歩以上を歩いている人は、2型糖尿病、肥満、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病性障害のリスクが大幅に低いことが明らかになった。 たとえば、過体重の人が、毎日の歩数を6,000歩から1万1,000歩に増やすと、肥満のリスクを64%減らせることが示された。歩数計アプリの入ったスマホや歩数計・活動量計を活用
一方、1日の歩数を8,000歩~9,000歩以上に増やしても、2型糖尿病や高血圧のリスクは予想したよりも低下しなかった。運動をする習慣のない人は、1日1万歩の目標を達成できなくとも、歩数を8,000歩以上に増やしただけでも、糖尿病リスクを減らす効果を期待できそうだ。 なお、参加者の年齢は41歳~67歳で、体格指数(BMI)は24.3の標準体重から32.9の肥満まで幅広かった。1日あたりの平均歩数も5,867歩~9,824歩と幅があり、平均歩数は7,731歩だった。 「歩数計アプリの入ったスマートフォンや、市販のウェアラブルデバイスを活用して、得られた歩数や身体活動のデータを電子カルテ(EHR)に統合し、患者さんと医師などの医療従事者とで共有できるようにすると、治療の成果をより高められる可能性があります」と、ブリテン氏は指摘している。 「医師にとっても、それぞれの患者さんの臨床的特徴や運動がもたらすリスクなども考慮して、より効果的・安全に運動をするために、運動の量ややり方を調整するアドバイスができるようになるメリットがあります」としている。1日の歩数が多い人は糖尿病リスクが低い
糖尿病リスクを下げるために体を積極的に動かすことが重要
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Association of step counts over time with the risk of chronic disease in the All of Us Research Program (Nature Medicine 2022年10月10日)
Women who take more steps per day may have a lower risk of diabetes (米国内分泌学会 2022年12月13日)
Association of longitudinal activity measures and diabetes risk: an analysis from the NIH All of Us Research Program (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2022年12月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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