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2022年10月11日

「理想の体重」を維持すれば糖尿病リスクは減少 体重管理では運動が効果的

 肥満のある人は体重を減らすことで、長期的な健康上の利益を得られ、とくに4.5kg以上の減量に成功した人は、その後の体重増加が少なく、2型糖尿病のリスクも減少することが、約20万人を対象とした長期的な研究で示された。

 体重管理は、肥満と肥満に関連する疾患を予防・改善するための効果的な戦略となりえるとしている。さらに、体重管理と肥満の改善にもっとも効果的なのは運動であることも示された。

 肥満のある人は、体重を数キログラム減らしただけでも、健康上のメリットを得られ、それを維持することでメリットを持続できるという。

 ただし、体重減少は肥満の人には有益だが、もともと痩せている人にとっては逆効果になる可能性もあるという。肥満を改善するための介入は、それを必要としている人をよく見極めて行う必要があると、研究者は指摘している。

肥満のある人は体重を減らすと2型糖尿病のリスクが減少

 「肥満は、2型糖尿病などのリスクを高める可能性があります。体重の長期的な変化と、2型糖尿病の発症リスクについては、まだ十分に解明されていません」と、米国のハーバード公衆衛生大学院で栄養疫学を研究しているチー ソン氏は言う。

 「しかし、肥満のある人が体重を適正にマネジメントすることは、肥満や肥満に関連する疾患を予防したり改善するための効果的な戦略となりえます」としている。

 ハーバード公衆衛生大学院の研究グループは、24歳~78歳の男女約20万人を対象に、計画的に体重を減らすことは、その方法や戦略に関係なく、肥満のある人に長期的な健康上の利益をもたらす可能性があることを明らかにした。

 研究は、1988年~2017年に実施された、「看護師健康調査(NHS)」「看護師健康調査II(NHSII)」「医療専門家追跡調査(HPFS)」という3件の前向きの長期コホート研究を解析したもの。研究の対象となったのは女性が多く、男性は14.2%だった。

運動は肥満を改善するためにもっとも効果がある

 とくに、肥満があり、4.5kg以上の減量に成功した人は、体重を減らさなかった人に比べ、その後の体重増加が少なく、2型糖尿病のリスクも低かった。

 体重を4.5kg以上と大幅に減らすのに成功した人の減量の方法は、▼低カロリーの食事、▼運動の習慣化、▼食事と運動の組合せ、▼節食、▼一般向け減量プログラムへの参加、▼薬物療法、▼市販のサプリメントや健康食品の利用などさまざまだった。研究グループは、減量の方法を7つのカテゴリーに分類して解析した。

 とくに運動は、肥満のある人の長期的な体重管理と肥満の改善にもっとも効果的であることが示された。運動に取り組んだ肥満のある人は、4年間で平均して体重を4.2%減らしていた。運動により、過体重の人も体重を2.5%減らし、痩せている人も0.4%減らした。

 一方、市販されているサプリメントや健康食品の利用と節食の組合せは、あまり効果がなく、肥満に人は体重を0.3%減らしたものの、過体重の人は2%、痩せている人は3.7%、逆にそれぞれ体重を増やした。

痩せている人が体重を減らすと逆に糖尿病リスクは上昇

 肥満のある人が体重を減らすのに成功した場合、24年後も2型糖尿病のリスクは減少していたが、運動により21%減少し、食事や薬物療法により13%減少するなど、取り組んだ方法により幅があった。

 過体重の人の場合は、2型糖尿病のリスクは、運動により9%減少したが、薬物療法では逆に42%増加した。

 逆に、もともと痩せていた人は、体重減少を試みると、長期的には体重増加と2型糖尿病のリスクの上昇をまねくおそれがあることも示された。やせている人はとって減量は逆効果になる可能性があるという。

 研究では、痩せている人が運動により体重を減らすと、2型糖尿病のリスクは9%上昇し、薬物療法や健康食品などでは54%上昇した。痩せている人が体重を減らすと、糖尿病リスクを高めてしまう場合があるという。

肥満のある人は体重を数キロ減らしただけでもメリットが

 「減量は、過体重や肥満の人では有益であると考えられますが、痩せている人では同じような利益を得られない可能性があります。痩せている人が減量を試みると、かえって体重増加や2型糖尿病のリスクが高まってしまうおそれがあります」と、ソン氏は指摘する。

 「とくに若い女性で、肥満ではないのに熱心に体重を減らすことを求めるケースがみられますが、残念ながらこれは健康に悪影響をもたらおそれがあります。やはり健康的な体重を維持することが重要で、減量のための戦略は、医学的に必要とみられる人にのみ行った方が良いかもしれません」。

 「嬉しいことに、肥満のある人は体重を数キログラム減らしただけでも、明らかに健康上のメリットを得られ、それを維持することでメリットを持続できることも明らかになりました」としている。

Weight loss beneficial for individuals with obesity, but not for the lean (PLOS Medicine 2022年9月27日)
Weight loss strategies, weight change, and type 2 diabetes in US health professionals: A cohort study (PLOS Medicine 2022年9月27日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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