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2022年10月11日
緑茶やウーロン茶などを毎日飲むと糖尿病リスクは減少 1日に何杯飲むと良い?
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緑茶、ウーロン茶、紅茶などを毎日4杯以上飲んでいると、2型糖尿病のリスクが17%低下することが、日本人を含む100万人以上を対象とした研究で示された。
研究者は「今回の研究は観察研究であり、お茶を飲むことと2型糖尿病リスクの低下の因果関連を証明したものではないことに注意が必要です」としながらも、「お茶を飲む習慣が2型糖尿病リスクの低下に寄与している可能性は高いと考えられます」と指摘している。
お茶を1日に4杯以上の飲むと10年間で糖尿病リスクが17%低下
緑茶、ウーロン茶、紅茶などを毎日4杯以上飲んでいると、2型糖尿病のリスクが17%低下することが、日本人を含む100万人以上を対象とした研究で示された。 研究は、中国の武漢科技大学などによるもの。詳細は、スウェーデンのストックホルムで9月に開催された欧州糖尿病学会(EASD)年次総会で発表された。 研究グループは、8ヵ国の100万人以上の成人を対象とした19件のコホート研究を系統的にレビューしメタ解析した。その結果、緑茶、ウーロン茶、紅茶を適度に飲む習慣は、2型糖尿病の発症リスクの低下と関連していることが明らかになった。 お茶を1日に4杯以上の飲んでいると、平均10年間で、2型糖尿病のリスクは17%低下するという。お茶には抗酸化物質などが含まれる
お茶は発酵の度合いにより、さまざまな種類のものがある。緑茶は不発酵茶で、ウーロン茶は半発酵茶、完全に発酵させると紅茶になる。茶葉は発酵が進むにつれて、成分のカテキン(タンニン)が酸化し、赤くなっていく。 研究では、お茶はどの種類であっても、糖尿病リスクの低下と関連していることが示された。 「緑茶やウーロン茶、コーヒーなどのお茶には、さまざまな抗酸化物質、抗炎症物質、抗がん物質が含まれており、お茶を飲む習慣が健康に有益である可能性があることは、これまでの研究でも報告されています」と、武漢科技大学内分泌・代謝科のシャオイン リー教授は言う。 「しかし、お茶を飲む習慣と2型糖尿病のリスクとの関連については、よく分かっていませでした。これまでに発表されたコホート研究やメタ解析では、一貫性のない結果が示されていました」としている。中国の成人5,000人超を10年間追跡して調査
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100万人以上が対象の研究でも糖尿病リスクは低下
研究グループは次の段階として、お茶を飲む習慣と2型糖尿病のリスクとの関連を調査した、18歳以上の成人100万人以上を対象に、8ヵ国で2021年9月までに実施されたコホート研究の系統的レビューを行った。やはり、用量反応メタ分析を実施した。 コホート研究が行われたのは、中国、米国、日本、フィンランド、英国、シンガポール、オランダ、フランスの8ヵ国。 さまざまな種類のお茶(緑茶、ウーロン茶、紅茶)について、お茶を飲む頻度(1日1杯未満、1~3杯、1日4杯以上)に分けて、2型糖尿病のリスクとの関連を調べた。 その結果、メタ解析により、お茶を飲む習慣と2型糖尿病のリスクとの間に直線的な関連性があり、お茶を毎日4杯以上飲んでいる人は、まったく飲まない人に比べ、2型糖尿病のリスクが17%低下したことが明らかになった。毎日1~3杯飲んでいる人でも、糖尿病リスクは4%低下した。 この関連性は、飲んであるお茶の種類、男性か女性か、どの国に住んでいるかに関係なくみられ、糖尿病リスクに影響しているのは、摂取しているお茶の量である可能性が示唆された。お茶に含まれるポリフェノールなどが作用?
「研究では、お茶を飲む習慣は、2型糖尿病のリスクを減らすのに有益であることが示唆されました。ただし、お茶を1日4杯以上と高用量飲んでいる場合にのみあてはまりました」と、リー教授は述べている。 「お茶に含まれるポリフェノールなどの特定の成分が、血糖値の上昇を抑えている可能性はありますが、その効果を得るためには、十分な量の生理活性化合物が必要になると考えられます」としている。 リー教授は、「今回の研究で重要な発見がありましたが、観察研究であり、お茶を飲むことと2型糖尿病リスクの低下の因果関連を証明したものではないことに注意が必要です」としながらも、「お茶を飲む習慣が2型糖尿病リスクの低下に寄与している可能性は高いと考えられます」と指摘している。 「これらの観察研究の背後にある、正確なお茶の用量とメカニズムを解明するために、さらに研究を行う必要があります」と付け加えている。 Drinking plenty of tea may reduce the risk of developing type 2 diabetes, finds study in over a million adults (Diabetologia 2022年9月17日)[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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