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2022年06月21日

コーヒーを飲む習慣があると空腹時血糖値が低下 コーヒーは糖尿病リスクを下げる? 日本人1万人を調査

 コーヒーを飲む習慣がある人は、そうでない人に比べ、空腹時血糖値が低い傾向があることが、国立がん研究センターなどが日本人9,855人を対象とした調査で明らかになった。

 コーヒーや緑茶が糖尿病リスクを低下するという報告は国内外に多い。ただし、そのメカニズムはよく分かっていないとしている。

コーヒーを飲む習慣のある人は空腹時血糖値が低下

 国立がん研究センターなどは、日本人を対象に、日常的に飲むコーヒーや緑茶などの飲料と血糖値の指標との関連を調査した。

 その結果、コーヒーを飲む習慣と空腹時血糖値の低下に、有意な関連がみられた。空腹時血糖値は、まったく摂取しない男性に比べ、コーヒーを1日に120mL~240mLを摂取する男性では1.8mg/dL、240mL以上を摂取する男性では1.9mg/dL、それぞれ低下した。コーヒーを飲むことで空腹時血糖値は、女性でも1.1mg/L、1.4mg/dLそれぞれ低下した。

 空腹時血糖値と統計学的に有意な関連がみられたのは、男女ともコーヒーのみだった。

 研究は、多目的コホート「JPHC研究」グループによるもの。研究成果は「Metabolism Open」に掲載された。

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 研究グループは、1990年と1993年に、岩手、秋田、東京、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の10保健所管内に居住する40~69歳の男女のうち、1998~2000年度に実施された糖尿病調査(ベースライン調査)に参加した住民のうち、空腹時の採血データのある9,855人を調査対象とした。

関連情報

お茶などの飲料の糖代謝への影響を調査 日本人約1万人が対象

 さまざまな飲料が糖代謝に影響をあたえることは知られており、これまでにも、多目的コホート研究を含む多くの調査で糖尿病との関連が報告されている。

 コーヒーの摂取は、糖尿病の予防的な効果があると報告されている一方、糖質の多い甘味飲料の摂取により、糖尿病のリスクが上昇することも報告されている。

 しかし、緑茶、ウーロン茶、紅茶や水などの、糖代謝への影響ははっきりと分かっていない。飲料の摂取に関する行動は複雑で、日常生活ではさまざまな種類の飲料を飲み、1つの飲料を嗜好することが他の飲料の摂取量にも影響をもたらす。

 そこで研究グループは、日常的に飲む飲料についてアンケート調査から1日の摂取量を算出し、血糖値の指標である、空腹時血糖値、HbA1cとの関連を横断的に調べた。

 研究では、糖尿病の診断を受けている人、糖尿病に対しての投薬を受けている人を除外し、空腹時に調査が行われた男性3,852人(平均年齢62歳)、女性6,003人(平均年齢61歳)を対象に解析した。

 アンケート調査から、コーヒー・緑茶・ウーロン茶・紅茶・フルーツジュース(果汁100%のリンゴ・オレンジジュース)・ソフトドリンク(コーラやエネルギードリンク)・水の1日の摂取量を算出し、少ない順に並べ、人数がなるべく均等になるようにグループに分けた。そして、もっとも摂取量が少ないグループを基準として、各グループの空腹時血糖値の平均値との差を算出した。

ただしHbA1cは少し上昇 食後血糖値が影響?

 その結果、前述の通り、コーヒーのみ、空腹時血糖値との有意な関連がみられた。

 しかし、1~2ヵ月の血糖値の平均があらわれるHbA1cについては、コーヒーを飲んでいると上昇することが示された。コーヒーをまったく摂取しない人に比べて、1日240mL以上摂取する人は、HbA1cが0.06%高いという結果になった。

 水については、まったく摂取しない人に比べ、1日500mL以上を摂取する人は、HbA1cが0.06%低いという結果になった。

 女性では、ウーロン茶と紅茶でも有意な関連がみられた。ウーロン茶をまったく摂取しない女性に比べ、1日60mL以上を摂取する女性は、HbA1cが0.05%高いという結果になった。

 紅茶をまったく摂取しない女性に比べ、1日60mL未満を摂取する女性と、60mL以上を摂取する女性は、HbA1cが、どちらの群も0.04%高かった。

アルコールを飲み過ぎると、お茶の効果は相殺される?

 今回の調査により、男女ともに、コーヒーの摂取量が多いと空腹時血糖値が低いという関連が明らかになった。

 一方、HbA1cについては、コーヒーの摂取量が多い男性ではわずかに上昇する傾向があり、空腹時血糖値とは相反する結果となった。また、コーヒーを飲んでいると、長期的には糖尿病リスクが低下するという報告は国内外で多く、この点でもHbA1cに関しては、予想に反する結果になった。

 この理由については、「HbA1cは過去1~2ヵ月間の血糖値の平均をあらわす指標で、空腹時と食後の血糖値も反映されることが影響している可能性があります」としている。

 また、とくに女性ではウーロン茶や紅茶の摂取量が多いほど、アルコール摂取量が多い傾向がみられた。飲酒による食後血糖値の上昇などが、お茶を飲むメリットを相殺している可能性があるという。

 「今後は、飲料の種類/量だけでなく、カフェインなどの飲料の成分にも焦点をあて、エビデンスを蓄積することが、飲料の摂取と血糖値との関連について解明する手がかりとなると期待されます」と、研究グループは述べている。

コーヒーを飲む習慣のある人は男女ともに、空腹時血糖値が低いことが示された
空腹時血糖値と有意な関連がみられたのは、男女ともコーヒーのみだった

出典:国立がん研究センター、2022年

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
Cross-sectional associations between the types/amounts of beverages consumed and the glycemia status: The Japan Public Health Center-based Prospective Diabetes study (Metabolism Open 2022年6月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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