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2021年09月24日
「食べ過ぎ」だけが糖尿病の原因ではない? 米国栄養学会が「炭水化物-インスリンモデル」を提唱
「肥満の原因はカロリーの摂り過ぎだけではない」という研究報告が米国で発表された。
血糖を上げやすい食品の食べ過ぎ、とくに加工食品の食べ過ぎを特徴とする現代の食事スタイルが原因としている。
研究者は、従来の「エネルギーバランスモデル」に代わるものとして、「炭水化物-インスリンモデル」を提唱している。
「グリセミック インデックス(GI)」の低い食事は、糖尿病の人にも有用という研究も発表された。
血糖を上げやすい食品の食べ過ぎ、とくに加工食品の食べ過ぎを特徴とする現代の食事スタイルが原因としている。
研究者は、従来の「エネルギーバランスモデル」に代わるものとして、「炭水化物-インスリンモデル」を提唱している。
「グリセミック インデックス(GI)」の低い食事は、糖尿病の人にも有用という研究も発表された。
「食べ過ぎ」だけが糖尿病や肥満の原因ではない
米国疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、米国成人の40%以上が肥満で、20年間で1.4倍に増えている。肥満によって、心疾患、脳卒中、2型糖尿病、がんなどのリスクが高まる。
肥満は日本でも問題になっている。体格指数(BMI)が25以上の肥満の成人の割合は、男性33.0%、女性22.3%で、とくに40代~50代の男性ではほぼ4割に上る(日本ではBMIが25以上を肥満と判定している)。
米国の食事ガイドラインでは、体重を適正にコントロールするために、「食事で摂るエネルギーを減らし、身体活動により消費するエネルギーを増やす」ことが推奨されている。
日本の2型糖尿病の食事療法でも、基本となるのは、食事のエネルギー摂取量を適切にコントロールし、目標となる体重を維持することだ。肥満のある人は、食事制限などにより、まず体重の3%の体重減少を目指すことが勧められている。
これは、体重が増えるのは、エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回っている、つまり"食べ過ぎ"が原因となっているという、100年前に提唱された「エネルギーバランスモデル」にもとづいている。
確かに、炭水化物や脂肪の多い、おいしく安価で高カロリーの加工食品が簡単に手に入る現代社会では、多くの人がエネルギーを必要以上に摂取している。これに、座ったままの時間が長い運動不足の生活スタイルが加わると、体重のバランスは簡単に崩れてしまう。
しかし、「食事のエネルギー摂取量を減らして、運動や身体活動を増やすべきだと、医療や公衆衛生の分野で繰り返し唱えているにもかかわらず、肥満は着実に増えています。これには、何か別の原因があるはすです」と、ハーバード公衆衛生大学院栄養学部のデビッド ラディック教授は言う。
食事の量を制限するだけでは食事療法は長続きしない
「グリセミック インデックス(GI)」が糖尿病の食事療法を改善?
The carbohydrate-insulin model: a physiological perspective on the obesity pandemic(American Journal of Clinical Nutrition 2021年9月13日)
Low-glycemic diet reduces cardiometabolic risks for people with diabetes: U of T study(トロント大学 2021年8月12日)
Effect of low glycaemic index or load dietary patterns on glycaemic control and cardiometabolic risk factors in diabetes: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials(British Medical Journal 2021年8月5日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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