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2021年09月21日

夫婦で生活スタイルを共有 家族は糖尿病・肥満・メタボも共有しやすい 励まし合い生活改善を

 夫婦や配偶者では生活スタイルを共有することが多く、健診などでの検査値が似ており、片方が肥満や2型糖尿病であると、もう片方も類似した生活習慣病にかかりやすいという調査結果を、東北大学とオランダのフローニンゲン大学が発表した。
 「夫婦いっしょに保健指導を受け、そして夫婦で励まし合い、競争し合うことにより、効果的な生活習慣の変容を期待できます」としている。
 日本・オランダに在住している夫婦をペアで約3万組調査した。
夫婦は生活もいっしょ、病気もいっしょ?
 夫婦では、生活習慣や体重・腹囲、血圧・コレステロール、高血圧・糖尿病・メタボなどの疾患が類似しやすいことが、東北大学とオランダのフローニンゲン大学Lifelinesの調査で明らかになった。

 夫婦ペアでは、遺伝的には類似性が低いが、生活習慣は類似性が高いという。公的バイオバンクを利用した、一般地域住民の夫婦ペア約3万組を対象に調査した、国際共同研究の成果だ。

 「心血管・代謝疾患を予防するための新たな方策として、夫婦いっしょの保健指導、そして夫婦での励まし合い、競争し合いを行うことで、生活習慣を効果的に改善できると期待されます」と、研究グループは述べている。

 研究成果は、欧州動脈硬化学会(EAS)が発行している医学誌「Atherosclerosis」にオンライン掲載された。
日本・オランダでのバイオバンクを利用した国際共同研究
 研究グループは今回の研究で、配偶者同士の生活習慣や検査値、疾病の有無など、心血管・代謝疾患のリスク因子の類似性を2国間で調査し、比較し、配偶者同士の類似性を定量化することを目指した。

 日本の東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)地域住民コホート研究から5,391ペアが、オランダのLifelines研究からは2万8,265の配偶者ペアが研究に参加した。

 心血管・代謝疾患のリスク因子となる検査値について、配偶者同士の類似性を評価した。分析では、配偶者の年齢を考慮した相関分析またはロジスティック回帰分析を使用した。

 その結果、喫煙・飲酒・運動などの生活習慣、体重、腹囲、肥満度(BMI)、血圧、総コレステロール・中性脂肪・HDL-コレステロール・LDL-コレステロールなどの検査値、高血圧・糖尿病・メタボの疾患について、配偶者同士の類似性が確認された。
夫婦は高血圧、糖尿病、メタボなどの疾患も共有しやすい
 配偶者同士の類似性は、両コホート調査のすべての心血管・代謝疾患のリスク因子および疾患で確認された。

 検査値の夫婦同士の類似性としては、相関係数は0.032から0.263の範囲であり、体重や腹囲で相関係数が高い値が示された。

 生活習慣の夫婦同士の類似性について、現在喫煙のオッズ比は約5倍、現在飲酒、運動習慣で2倍以上と、配偶者同士の類似性が示された。

 疾病については、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの年齢調整オッズ比は、いずれも約1.5倍であり、夫婦同士の類似性が示された。

喫煙や飲酒、運動習慣などの生活スタイルは夫婦で似やすい
夫婦では2型糖尿病やメタボなども類似しやすい

出典:東北大学東北メディカル・メガバンク機構、2021年
夫婦でいっしょに生活改善に取り組み、励まし合うと効果的
 研究グループは、日本人とオランダ人の2国の集団間で、ほとんどの心血管代謝疾患のリスク因子に類似性が示されたことにより、疾患予防として以下のような新たな施策が考えられるとしている。

▼ 健康診断などで夫婦いっしょに保健指導を行う(問題認識の共有)
▼ 夫婦で励まし合い、競争し合うよう誘導する(日常生活での健康管理)

 「こういった施策で効果的な生活習慣の変容ができる可能性があります。また、遺伝要因よりも環境要因を共有する夫婦の類似性の結果から、環境要因と疾病の関連をより明確化できる可能性があります」と、研究グループでは述べている。

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)
Spousal similarities in cardiometabolic risk factors: A cross-sectional comparison between Dutch and Japanese data from two large biobank studies(Atherosclerosis 2021年8月26日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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