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2021年07月09日
「膵臓がん」で亡くなる患者を早期発見・個別治療で減らしたい クラウドファンディングへの参加を呼びかけ
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- 糖尿病とがん 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症
早期発見と治療が難しいがんのひとつとして知られる膵臓がん。
東北大学は、膵臓がんの「早期発見」と「個別治療の最適化」のための研究を推進している。
このほど研究資金を得るため、クラウドファンディングを開始した。1,500万円を目標に9月30日まで、広く寄付への参加を呼びかけている。
プロジェクト名は「早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい」。
東北大学は、膵臓がんの「早期発見」と「個別治療の最適化」のための研究を推進している。
このほど研究資金を得るため、クラウドファンディングを開始した。1,500万円を目標に9月30日まで、広く寄付への参加を呼びかけている。
プロジェクト名は「早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい」。
糖尿病はがんとも関連が深い
膵臓がんに罹患する人は年々増えている。国内で膵臓がんに罹患する人は年間に4万人、亡くなる人は3万5,000人に上る。膵臓がんは難治性のがんで、がんの根治度を示す指標である診断後の5年生存率はわずか8.5%、平均余命1年半程で、がんのなかでもっとも助かる可能性の低いがんだ。
膵臓がんに罹患する人は2030年には4万人に増えると予測されている。膵臓がんで亡くなる人を減らすためのカギは、「早期発見」と「個々の患者に合った治療」にある。研究チームはこの2つのカギを解明する研究を進めている。
がんは日本人の糖尿病患者の死因の第1位だ。糖尿病はがんとも関連が深い。糖尿病とがんの関係を検討するために、日本糖尿病学会と日本癌学会は合同で専門家による委員会を設立し調査を行った。
その結果、糖尿病は、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、乳がん、子宮内膜がん、膀胱がんのリスク上昇と関連していることが分かった。糖尿病のある人は、がんリスクが20%ほど高いという報告も、国内外で発表されている。
がんは早期に発見することが重要だ。厚生労働省では、胃、子宮頚部、乳房、肺、大腸についてのがん検診を推奨している。糖尿病の人はこうしたがん検診の機会を見逃さず、定期的に受けるようにしたい。
がんは早期に発見することが重要
膵臓は、体の奥深くにあり、主要な血管のすぐ近くにあり、十二指腸、胃、大腸、肝臓、副腎、腎臓といった重要な臓器にも隣接している。がんが大きくなると、こうした血管や臓器にがんが進展してしまうことが、治療を困難にしている。
そのため、膵臓がんを早期に発見することが重要だが、膵臓にがんができても、がんが小さいうちは症状が出ることが少ないことが、診断と治療開始が遅れる大きな要因となっている。
東北大学の研究チームが取り組んでいるのは、膵臓がんの「早期発見」の手法を確立することだ。
とくに膵臓がんの家族歴を有する人や、糖尿病、膵嚢胞をもつ人などを対象に、経過観察を行うことで早期に診断される患者は増えている。
しかし、さらに早期診断を効率良く行うためには、血液などを用いた新規マーカーの発見が望まれている。
膵臓がんを早期発見するために
胃がんや大腸がんは、内視鏡で直接観察できるため、微小な早期のがんでも診断することができるが、膵臓がんは、直接観察することが難しいため、CTやMRIなどの医療画像検査により診断されることがほとんどだ。しかし、そうした画像検査では、早期の膵臓がんは小さすぎて検出できないことが少なくない。
早期の膵臓がんがどのような特徴をもっているかを詳しく調べ、膵臓がんの存在を示す指標となる分子(バイオマーカー)が確立されれば、血液検査などから、早期の膵臓がんをみつけることが可能になる。
早期の膵臓がんに特徴的な遺伝子異常などを明らかにすれば、早期発見が可能になると考えられる。研究では、早期の膵臓がんの遺伝子変異の解析(エクソーム解析)を行い、特徴的な分子異常を解明して、特異的な診断バイオマーカーを発見することを目標としている。
個々の患者に合った、より負担が少なく、効率の良い治療の実現を目指して
さらに、治療にあたっては、膵臓がんには化学療法(抗がん剤を用いる治療)が効きにくいという課題がある。詳しく調べてみると、同じ治療法でも、ある程度効く場合とほとんど効かない場合がある。
効いている場合はその効果を持続させる方策が、また、効いていないがんについては効くようにする方策が、それぞれ必要とされている。
研究グループは、化学療法が効いている例と効いていない例について、それぞれ遺伝子変異を解析することで、治療の有効性に関わる遺伝子異常を明らかにすることを目標としている。
個々の患者で、膵臓がんに対して化学療法が効きやすいか効きにくいかを事前に知ることができれば、使う薬の種類や量を調整し、その患者に合った効果的な化学療法を選択することが可能になる。
将来的には、個々の患者に合った、より負担が少なく、効率の良い治療を行えるようにすることを目指している。
クラウドファンディングに協力を
遺伝子解析の技術は発達しており、大規模な遺伝子解析を比較的低コストで行えるようになってきた。東北大学では、関連する研究機関の協力のもと、まとまった数の検体解析を行う準備ができているという。
「膵臓がんで亡くなる方を減らしていくためには、(1)早期発見、(2)個々の患者さんへの治療の最適化の2つを高めていく必要があります。いまが研究を世界に先がけて実施する最大のチャンスです。公的な研究費では難しい迅速な研究資金の獲得のために、クラウドファンディングへのご協力をお願いします」と、東北大学医学部・医学系研究科 病態病理学分野の古川徹教授は述べている。
クラウドファンディング
「早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい」
(1) 膵臓がん早期発見を目指して、バイオマーカーを探索するための研究「早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい」
(2) 膵臓がん化学療法の個別最適化を目指して、バイオマーカーを探索するための研究 目標金額:1,500万円
寄付受付期間:2021年7月2日10時~2021年9月30日23時
※プロジェクトへのご寄附は、税制優遇の対象となります。 クラウドファンディングで集まったご寄付をもとに、2023年3月31日までに計220検体分のエクソーム解析を行うことをもって、プロジェクトは終了となります。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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