ニュース
2021年05月10日
糖尿病の人は「腸内環境」が乱れやすい 植物性食品で「腸内細菌叢」を整える
野菜、果物、脂の多い青魚、マメ類、ナッツ類、食物繊維の多い全粒穀物、ヨーグルトなどの発酵乳製品などをよく食べている人は、腸内環境が良好で、炎症を抑える脂肪酸が多いことが明らかになった。
一方、ファストフードや加工食品、糖質の多い食品、アルコールなどをよく摂っている人の腸内では、炎症を促進する腸内菌が多いことも分かった。
一方、ファストフードや加工食品、糖質の多い食品、アルコールなどをよく摂っている人の腸内では、炎症を促進する腸内菌が多いことも分かった。
肥満やメタボの人は腸内環境が乱れやすい
食物繊維を多く含む植物性食品を豊富に摂ると、腸内細菌叢のバランスが良くなり、炎症をやわらげる働きをする腸内菌が増えるという研究を、オランダのフローニンゲン大学の研究グループが発表した。
一方で、動物性食品、加工食品、アルコール、糖質の多い食品を摂り過ぎていると、腸内細菌叢のバランスが悪くなり、炎症が促される可能性がある。食事内容を改善することで、体の炎症を抑えられる可能性がある。
腸内フローラは複雑な腸内微生物生態系、すなわち「腸内エコシステム」を形成している。腸内エコシステムは健康維持のために重要で、バランスが崩れると1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、炎症性疾患、不眠、うつ病など、さまざまな疾患に関わっていることが分かってきた。
これまで、肥満や2型糖尿病の人は腸内エコシステムが乱れやすいことや、内臓脂肪の多い人は腸内の善玉菌が減りやすいことなどが報告されている。腸内環境を健康的にコントロールすることで、インスリンを産生するβ細胞を増やしたり機能を改善できる可能性があることを示した研究もある。
腸内環境を改善すると腸内の炎症反応を抑えられるかを調査
ヒトの大腸内には、500~1,000種類もの腸内細菌がすみついている。この菌のかたまりを腸内細菌叢(マイクロバイオーム)という。マイクロバイオームは、炎症を抑える短鎖脂肪酸などの物質を供給し、宿主の全身の炎症反応に影響していると考えられている。
この腸内環境は免疫にも影響を及ぼし、バランスが崩れると、糖尿病や肥満、心臓病、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患まで、さまざまな炎症反応に影響すると研究グループは述べている。
しかし、毎日の食事パターンを改善することで、腸内細菌叢の組成に影響を及ぼし、腸内の炎症反応も改善できるかどうかはよく分かっていない。
そこで研究グループは、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群)のある患者と腸が正常の対照群、合わせて1,425人を対象に、毎日の食事、腸内細菌、腸内炎症の相互作用を調べた。
関連情報
健康的な食品で腸内環境を整えられる 炎症も抑えられる
ファストフードや加工食品ばかり食べていると腸内環境が乱れやすい
さらに、糖質の多い食品の摂り過ぎ、アルコール飲料の飲み過ぎも、腸内の"善玉菌"を減らす一因となっている可能性も示された。ただし、赤ワインを飲んでいる人は、短鎖脂肪酸を生成する菌が多い傾向がみられた。
「野菜、果物、魚、ナッツ類、食物繊維の多い全粒穀物などの植物性食品、ヨーグルトなどの発酵乳製品をよく摂っている人は、腸内細菌叢を介して腸の炎症反応を抑えられている可能性があります。一方で、高脂肪の加工肉、高カロリー飲料、アルコール飲料などは、炎症を促すおそれがあります」と、フローニンゲン大学消化器・肝臓学部のリンス ウィースマ教授は述べている。
「食事スタイルは、腸内細菌叢に強い影響をもたらします。プロバイオティクスのサプリメントなどを利用するよりも、まずは食事内容を見直すべきでしょう」との見方を示している。
「今回の研究は観察研究であり、原因を特定することはできません。さらに、食事を改善すると、腸内菌が反応するのにどれくらいの時間がかかるかは明らかになっていません」と、研究者は付け加えている。
Diet rich in animal foods, alcohol and sugar linked to 'inflammatory' gut microbiome(BMJ 2021年4月13日)Long-term dietary patterns are associated with pro-inflammatory and anti-inflammatory features of the gut microbiome(Gut microbiota 2021年4月2日)
'Ridiculously healthy' elderly have the same gut microbiome as healthy 30-year-olds(ウェスタン大学 2017年10月11日)
The Gut Microbiota of Healthy Aged Chinese Is Similar to That of the Healthy Young(米国微生物学会 2017年10月11日)
Several reasons why whole grains are healthy(デンマーク工科大学 2017年11月2日)
Whole grain-rich diet reduces body weight and systemic low-grade inflammation without inducing major changes of the gut microbiome: a randomised cross-over trial(Gut 2017年11月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
運動療法の関連記事
- 運動と食事スタイルの改善は妊娠糖尿病の予防に役立つ
- 【リーフレット公開中】1月23日は「一無、二少、三多の日」
2月1日から「全国生活習慣病予防月間2026」がスタート! - ウォーキングや家事がメタボの人の命を救う
- 糖尿病を予防するにはランニングよりも筋トレの方が効果的?
- 【毎年2月は全国生活習慣病予防月間】
2026年のスローガンは「幸せは足元から 多く動いて健康を実感」に決定! - ウォーキングはペースを速めるほど効果が大きい
- 健康効果を得るのに1日1万歩は必要ない
- 1日7000歩のウォーキングが糖尿病・がん・認知症などのリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- わずか10分間のウォーキングで糖尿病リスクが減少 どの年齢の人も運動をはじめると寿命を延ばせる
- 暑い夏の運動は涼しい夕方以降に ウォーキングが糖尿病や肥満を改善 週末1日だけの運動も効果は高い

医療・健康情報グループ検索