ニュース
2021年04月13日
糖尿病や肥満は母から子へとうけつがれる 妊娠中の運動は子の肥満予防に メカニズムを解明

2型糖尿病や肥満が、母親から子へとうけつがれる悪循環があることが知られている。
母親の肥満や2型糖尿病であると、子も将来に糖尿病を発症するリスクが上昇する。
東北大学は、妊娠中の運動は子の肥満予防につながるメカニズムを明らかにしたと発表した。
胎盤から産生されるタンパク質が、親の運動情報を子に伝達していることを実証した。
糖尿病が母親から子へとうけつがれる悪循環を断ち切るため、妊娠期の運動と栄養を組み合わせた、次世代の予防医療の開発が期待される。
母親の肥満や2型糖尿病であると、子も将来に糖尿病を発症するリスクが上昇する。
東北大学は、妊娠中の運動は子の肥満予防につながるメカニズムを明らかにしたと発表した。
胎盤から産生されるタンパク質が、親の運動情報を子に伝達していることを実証した。
糖尿病が母親から子へとうけつがれる悪循環を断ち切るため、妊娠期の運動と栄養を組み合わせた、次世代の予防医療の開発が期待される。
糖尿病や肥満が母から子へとうけつがれる悪循環を断ち切るために
母親の肥満は子の将来の糖尿病リスクを増加させることが知られており、世代を超えた肥満や糖尿病の連鎖を防ぐことは重大な課題となっている。
2型糖尿病の有病数は2045年までに世界で6億3,000万人に達すると予想されており、肥満や糖尿病の病因に対する抜本的な介入が必要とされている。
近年、母親の2型糖尿病や肥満は、子が健康的な生活をしていても糖尿病のリスクを高めることが分かってきた。逆に、運動をした妊婦から生まれた子供は、将来に肥満や2型糖尿病になりにくくなると考えられている。
欧米やアジア諸国では出産可能年齢の女性の30%以上が肥満と判定されており、母親から子への肥満と糖尿病がうけつがれる悪循環は、個人の健康のみならず、社会経済へも大きな負担をもたらしている。
糖尿病の次世代伝播を防ぐ効果的な手段を確立できれば、生物医学と医療政策の両方に大きなインパクトをもたらすことができる。
そこで東北大学などの研究グループは、母親の妊娠中の運動が子の肝臓における糖代謝を向上させることで、将来肥満や糖尿病になりにくくなる分子メカニズムを解明した。
胎盤は、妊娠時に子宮内に形成され、母体と胎子を連絡する器官。妊娠中の運動は、マウスとヒトの胎盤で、スーパーオキシドジスムターゼ3(SOD3)というタンパク質の発現を増加させており、この胎盤由来のSOD3が母親の運動の有益な効果を子へ伝達していることを実証した。
研究は、東北大学学際科学フロンティア研究所の楠山譲二助教、理化学研究所の小塚智沙代基礎科学特別研究員、金沢医科大学の八田稔久教授ら、ハーバード医科大学ジョスリン糖尿病センターのLaurie Goodyear教授、コロラド大学、テキサス大学、オーフス大学、オタワ大学の国際共同研究グループによるもの。研究成果は、「Cell Metabolism」電子版に掲載された。
運動をしている妊婦ではSOD3量が上昇 親の運動情報は子に伝達される

出典:東北大学、2021年
Placental superoxide dismutase 3 mediates benefits of maternal exercise on offspring health(Cell Metabolism 2021年3月25日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病と肥満の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- テレビの視聴時間を減らすと糖尿病リスクは減少 遺伝的リスクのある人も心臓病や脳卒中を予防できる
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- 【世界肥満デー】内臓脂肪が増えると糖尿病リスクは上昇 肥満は脳のインスリンの働きを低下 認知症リスクが増加
- 糖尿病の人はビタミンやミネラルが不足 「食の多様性」が糖尿病リスクを下げる 食事バランスを改善
- 糖尿病の人は脂肪肝にご注意 ストレスはリスクを高める 緑茶を飲むと脂肪肝が減少
- 「玄米」で糖尿病を改善 食事では「低GI食品」を活用 血糖値を上げにくい新しい米を開発
- ヨーヨーダイエットが1型糖尿病の人の腎臓病リスクを上昇 体重の増減を繰り返すのは良くない