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2020年11月10日
糖尿病の人は「オンライン診療」をどう思っている? 「利用したい」が46% 「利用したくない」が54%
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響を受けて、通院を抑制した人が全体で25%に上るなか、糖尿病のある人の78%は「以前と比べて通院頻度は変わらなかった」ことが、健康保険組合連合会(健保連)の調査で分かった。
「オンライン診療」については、糖尿病のある人の46%が「利用したい」、54%が「利用したくない」と考えており、二分されていることが分かった。
「オンライン診療」については、糖尿病のある人の46%が「利用したい」、54%が「利用したくない」と考えており、二分されていることが分かった。
かかりつけ医がいる人では通院を抑制した割合が低い
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大期における患者の受診意識についての調査結果を、健康保険組合連合会(健保連)が発表した。
調査は、国民の医療機関へのかかり方をはじめ、自身の体調や意識などにどのような変化があったのかを知るために実施。9月に全国の20~70代の男女4,623人を対象にアンケート方式で行ったもの。
COVID-19の拡大以前の2019年12月時点で、糖尿病などの持病の治療のために、医療機関に定期的に通院していた人3,500人(持病あり群)と、それ以外で、COVID-19の拡大以降の2020年2月時点で、医療機関の受診を考えるような体調不良を経験した人1,123人(持病なし・体調不良あり群)が含まれる。
その結果、持病あり群のうち、緊急事態宣言下に通院の抑制(頻度減+通院とりやめ)をした割合は24.7%だった。
ただし、持病あり群のうち、「病気になるといつも相談し、診察を受ける医師がいる」と答えた人では、通院を抑制した割合は20.3%と少なかった。そうした「かかりつけ医」のいる人では、COVID-19以前に比べ通院頻度が変わっていない割合が高い。
糖尿病のある人の78%が「以前と比べて通院頻度は変わらない」
糖尿病のある人(416人)だけに限ってみると、感染拡大以前と比べて、「通院する頻度は変わらなかった」が77.6%で、「通院する頻度を少なくしていた(通院間隔を長くしていた)」は17.5%だった。「通院するのをやめていた」という人は2.6%と少なかった。
糖尿病のあり定期的に通院している人の通院頻度の変化(感染拡大前と比べて)
新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が出ていた頃(2020年4~5月)
新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が出ていた頃(2020年4~5月)

出典:健康保険組合連合会、2020年
通院を抑制した理由は全体でみると、「医療機関でCOVID-19に感染するかもしれないと思ったから」(69.2%)、「外出自体をしないようにしていたから」(24.9%)といった、感染を警戒したとみられる回答が多く、次いで「普段よりも長い日数分の薬の処方を受けていたから」(19.9%)、「電話やオンラインで診療を受けていたから」(7.3%)が多かった。
持病あり群のうち、通院を抑制(頻度減+通院とりやめ)した人の69.4%は「とくに体調が悪くなったとは感じない」と回答した。そうした人の通院を抑制した理由としては、「普段よりも長い日数分の薬の処方を受けていたから」(84.2%)、「電話やオンラインで診療を受けていたから」(80.0%)、「他の人に新型コロナウイルスを感染させるかもしれないと思ったから」(76.1%)が多く挙げられた。
糖尿病のある人の46%がオンライン診療を「利用したい」
再診時の「オンライン診療」に対しては、持病あり群の全体の51.1%と「とても利用したいと思う・利用したいと思う」と回答し、およそ半数の人が「オンライン診療」に関心を寄せていることが分かった。
オンライン診療では、電話やスマホ、インターネットといった通信機器を使い、医療機関に相談や受診ができる。電話やオンラインによる服薬指導も受けられる。
オンライン診療は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、「時限的・特例的な対応」として規制が緩和された。
糖尿病のある人に限ってみると、再診時の「オンライン診療」について、「とても利用したいと思う」(7.0%)、「利用したいと思う」(39.2%)、「あまり利用したいとは思わない」(42.1%)、「まったく利用したいとは思わない」(11.8%)という結果になり、利用したいという人と、利用したくない人とで二分されていることが分かった。
オンライン診療は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、「時限的・特例的な対応」として規制が緩和された。
糖尿病のあり定期的に通院している人のオンライン診療(再診時)に対する希望

出典:健康保険組合連合会、2020年
「オンライン診療」に対しては全体的に、現役世代を中心に高い関心が示され、高齢者では低調となった。「利用したい」という人の割合は、30代で42.0%、40代で41.3%、50代で39.0%、60代で33.1%、70代で29.4%だった。
COVID-19を契機に自分の健康に関心をもつようになった人も多い
COVID-19の拡大を契機に、病気や健康にかかわる意識はどのように変化したか? 全体の39.2%が「以前に比べ、生活習慣病の予防に関心をもつようになると思う」と答え、23.5%が「以前に比べ、医療機関を受診するかどうかを慎重に考えるようになると思う」と回答した。
健保連では今回の超結果を受け「身近な医療機関を中心とした"かかりつけ医"の普及を促し、患者の継続的な治療や管理を担いつつ、医薬品の適切な長期処方やオンライン診療などの方法を組み合わせ、患者が適正に受診できる仕組みが必要とされている」と述べている。
健康保険組合連合会(健保連)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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