ニュース

2020年03月18日

【新型コロナウイルス感染症】高齢者が気を付けるべきポイントは 日本老年医学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中、先の見えない自粛生活が社会に広がっており、「動かないこと(生活不活発)」が増えている。
 日本老年医学会は高齢者向けに、フレイル(虚弱)を防止するためのアドバイスを公表した。
動かない時間を減らし、自宅でも運動を
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中、感染予防のため外出を控える人が増えたり、リモートワークを導入する企業が増えるなど、先の見えない自粛生活による不活動が社会に広がっている。

 こうした中、日本老年医学会は、高齢者の「動かないこと(生活不活発)」への注意を呼びかけるポスターの公開を公式サイトで開始した。生活不活発のためにフレイルが進むことに警鐘を鳴らしている。

 高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態は「フレイル」と呼ばれ、要介護予備群として注目されている。フレイルの段階で、食事や運動などで適切な対応を行えば、要介護となるのを防止でき、健康寿命を延ばせる。

 とくに2型糖尿病の人が年齢を重ねると、フレイルをきたしやすいことが知られている。高齢による身体活動量の低下、低栄養、高血糖や低血糖、合併症などが要因と考えられている。糖尿病とフレイルが併存すると、骨粗鬆症や骨折のリスクが高まるという報告もある。

 日本老年医学会では下記のように述べている――。
 型コロナウイルス感染症は、高齢者や糖尿病などの基礎疾患がある方は重症化しやすいことが明らかになっています。
 自分自身を守るために手洗いを中心とする感染予防が必要です。また、人が多く集まる場所を避けることなどが言われており、家に閉じこもりがちになりますが、高齢者にとっては合わせて生活不活発による健康への影響が危惧されます。
 生活不活発により、フレイル(虚弱)が進み、心身や脳の機能が低下していきます。
 動かない時間を減らし、自宅でもできるちょっとした運動でフレイルを予防しましょう。
生活不活発になると身体や頭の動きが低下
 ずっと家に閉じこもり、一日中テレビを見ていたり、ぼ~っとしていたり食事もたまに抜かしてしまう、誰かと話すことも少ない・・・こうした日々が続くと、フレイルが進みやすくなる。

 フレイルになると、体の回復力や抵抗力が低下し、疲れやすさが改善しにくくなる。歩くことや身の回りのことなど生活動作が行いにくくなり、インフルエンザなどの感染症も重症化しやすい傾向にある。

 2週間の寝たきりにより失う筋肉量は7年間に失われる量に匹敵するとも言われる。フレイルを予防し、抵抗力を下げないように注意することが必要だ。

 同学会がアドバイスする生活不活発への対策は以下の通り――。

● 座っている時間を減らしましょう
 その分、立ったり歩いたりする時間を増やすことも重要。テレビのコマーシャル中に足踏みしてみるなど身体を動かそう。

● 筋肉を維持しましょう
 関節も固くならないように気を付けてラジオ体操のような自宅でできる運動でも、筋肉の衰え予防に役立つ。スクワットなど足腰の筋肉を強めるレジスタンス運動も有効だ。

● 日の当たるところで散歩くらいの運動を心掛けましょう
 天気が良ければ、屋外など開放された場所で身体を動かそう。散歩はお勧めだ。ただし、人混みは避けよう。

● こんな時こそ、しっかりバランス良く食べましょう
 多様性に富んだ食事を3食欠かさず食べることを意識する。しっかりバランス良く食べて栄養をとり、身体の調子を整えよう。免疫力を維持することにも役立つ。さらに身体(とくに筋肉)を作る大切な栄養素であるタンパク質をしっかりとることが大切だ。
※食事の制限を受けている人はかかりつけ医の指示に従ってください。

● 毎食後、寝る前に歯を磨きましょう
 お口を清潔に保つことが、インフルエンザなどの感染症予防に有効。毎食後、寝る前の歯磨きを徹底しよう。義歯の清掃もとても大切だ。

● お口周りの筋肉を保ちましょう
 お口の不活動も問題になる。おしゃべりも大切だ。一日3食、しっかり噛んで食べよう。噛める人は意識して少し歯ごたえのある食材を選ぶことも大切。自粛生活で人と話す機会が減り、お口の力が衰えることも。電話も活用し、意識して会話を増やそう。鼻歌を歌う、早口言葉もお勧めだ。

● 孤独を防ぐ
 近くにいる者同士や電話などを利用した交流を高齢者では人との交流はとても大切。外出しにくい今の状況こそ、家族や友人が互いに支え合い、意識して交流しよう。ちょっとした挨拶や会話も大切。新型コロナウイルス感染症に関する正しい最新情報の共有も、トラブルや不安の解消にもつながる。

● 買い物や生活の支援
 困ったときの支え合いを食材や生活用品の買い物、病院への移動などに困った際に、助けを呼べる相手をあらかじめ考えておこう。事前に話し合っておくことが大切。

一般社団法人日本老年医学会

厚労省が「全国クラスターマップ」を公表

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、厚生労働省は「全国クラスターマップ」を作成して公開をはじめた。

 新型コロナウイルス感染症について、政府は自治体などに水際での対策の強化を要請している。

 現時点では、大規模な感染拡大が認められている地域はないが、複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模の患者クラスター(集団)が把握されている状態になっている。

 政府は「感染の流行を早期に終息させるためには、クラスター(集団)が次のクラスター(集団)を生み出すことを防止することが極めて重要」と強調。

 「全国クラスターマップ」では、3月17日時点で、8都道府県13ヵ所が記されている。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲