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2020年02月26日
肥満やメタボが脳の老化を加速 食事や運動など生活改善が決め手に
肥満やメタボリックシンドロームなどの代謝異常のある人は、脳の老化が速く進行し、脳機能が低下している可能性があるという研究が発表された。「認知症を予防するために、早期から食事や運動などの生活スタイルを改善し対策することが必要です」と研究者は強調している。
脳の健康を維持するために肥満やメタボに早期から対策
肥満や代謝異常のある人は、認知機能にも異常があらわれやすく、食事や運動などの生活スタイルを改善し、肥満やメタボリックシンドロームに早期から対策することが、脳の健康を維持するために必要であることが新たな研究で示された。
肥満やメタボリックシンドローム、高血圧、高血糖などの代謝異常を組み合わせてもっていると、心臓病、2型糖尿病、脳卒中などのリスクが上昇する。米国の成人の4人に1人がメタボに該当する。
米国のハーバード大学の研究チームは、37~55歳の参加者2,170人(平均年齢46±9歳、女性が54%)を対象にMRIと認知機能テストを施行。その結果、代謝異常や肥満のある人、あるいはその両方のある人では、もっとも健康的な参加者に比べて、脳機能が低下していることが示された。
研究では、メタボリックシンドロームの構成因子(高血圧、高血糖、高中性脂肪、低HDLコレステロール)が2つ以上が該当する場合、あるいは2型糖尿病、高血圧、高コレステロールの治療薬を服用している場合を「代謝異常あり」と判定した。
関連情報
肥満や代謝異常のある人は脳の総容積が減少している
「代謝異常や肥満が脳機能の低下にも関連するという事実は、公衆衛生に影響を及ぼすものです」と、ハーバード大学ベス イスラエル デアコネス医療センターのレベッカ アンゴフ氏は言う。
「これは、保健指導や医療に関わる専門職が、患者に生活スタイルを改善するよう説得し、予防に取り組むよう導くことが重要であることを示しています」。
研究は、米国で1940年代から行われている、心筋梗塞や脳卒中の効果的な予防策を調べるための大規模研究である「フラミンガム心臓研究」の一環として行われた。研究チームは、糖尿病や脳卒中、認知症などの神経学的疾患のない人を対象に調査した。
MRI検査の結果、代謝異常のみられた人ではみらなかった人に比べて、脳の総容積が少なく、実質的に脳が小さいことが明らかになった。
アンゴフ氏は「代謝異常でみられる脳の総容積の減少は、ニューロンや支持細胞の喪失につながる脳全体の損傷を示すものです。加齢や血流の低下、アルツハイマー病などの疾患により、脳の縮小が起こることがあります」と指摘している。
肥満や代謝異常のある人は認知テストでも不利
ベビーブーム世代の認知症の予防が課題に
心疾患のリスクと脳の健康とは関連が深いことを示した研究が多く発表されている。「心血管のリスクを減らすために生活習慣を改善することが、医療介入や認知症のリスクも減らす可能性があります」と、アルバート アインシュタイン医科大学健康行動学部のワイリー ロゼット教授は言う。
「具体的には、野菜や果物、全粒穀物、魚が多く、不飽和脂肪が多い食事スタイルが、脳の健康にも良いことが明らかにされています。50歳以上の人ではこれらに加えて、ウォーキングなどの中強度で適度な運動を続けることが、脳機能を改善するために効果的です」。
米国人の10人に4人がBMIが30以上の肥満だ。米国でも人口の多いベビーブーム世代が高齢化し、認知機能の低下のリスクが高まっている。そうした高齢者の脳の健康を維持することは喫緊の課題になっている。
「高齢化にともない、健康的な食事と運動の習慣化を促進するキャンペーンが必要になっています。そうした対策がベビーブームの記憶力の低下を遅らせらることにつながると期待しています」と、ロゼットは述べている。
Obesity, other factors may speed up brain aging(米国心臓学会 2019年11月21日)Relations of Metabolic Health and Obesity to Brain Aging in Young to Middle-Aged Adults(Circulation 2019年11月11日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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