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2020年02月27日

1型糖尿病を根治する先進的な研究を支援 新たな研究助成を募集 日本IDDMネットワーク

 1型糖尿病の根治を目指す認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」は、新たな研究助成課題を募集している。これまでに実施したクラウドファンディングも、着実に成果を上げている。
【募集中】1型糖尿病の治療・根治・予防
を目指す研究を助成
 1型糖尿病患者・家族を支援する活動をしている認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」(理事長:井上龍夫、本部:佐賀市)は、1型糖尿病の治療・根治・予防を目指す最先端の研究に対し研究助成課題を募集している。

 第14回目となる2020年は、自身が1型糖尿病で、プロ野球の阪神タイガースの選手である岩田稔氏とその応援者からの寄付による「岩田稔基金」400万円と、遺産による寄付「柳瀬美穂1型糖尿病研究基金」400万円を加え、過去最高の助成総額1,000万円を予定している。

 日本IDDMネットワークは、全国の1型糖尿病の患者・家族を支援し、一刻も早い「根絶(=予防+治療+根治)」の実現により1型糖尿病による生涯の負担から解放することを目的に活動している認定NPO法人。

 同NPO法人は、2005年に「1型糖尿病研究基金」を設立、2014年より佐賀県庁への「日本IDDMネットワーク指定ふるさと納税」に取り組み、これまで66件、3億5,000万円の研究費助成を行ってきた。

 財源としているのは、1型糖尿病の患者や家族、支援者からの基金への寄付と、佐賀県庁へのふるさと納税だ。先進研究の推進や治療法の開発のために活動しており、「日本の寄付文化を変えた」と大きく注目されている。

 今回の研究課題募集では、2025年まで継続する研究助成を予定している。同NPO法人は「若手研究者の方々が安心して基礎研究に携われる一助にもなれば幸いです」と述べている。

応募期間:2020年3月15日(日)まで
選考結果:2020年4月20日(月)までに文書などで応募者へ通知
助成する研究課題の随時募集も開始
 1型糖尿病は、インスリンを産生するβ細胞が攻撃・破壊されることで発症する疾患。原因不明で、小児期に突然発症することが多い。現在の医療では、生涯にわたり毎日4~5回の注射、またはポンプによるインスリン補充が必要となる。

 糖尿病の大半を占め生活習慣病と言われる2型糖尿病に対し、1型糖尿病の日本での年間発症率は10万人当たり1~2人と希少であり、患者と家族の精神的・経済的負担は大きい。

 1型糖尿病の「根絶(=予防+治療+根治)」を目指す日本IDDMネットワークは、助成する研究課題の随時募集も開始した。支援対象となるのは、1型糖尿病に関する研究に取り組んでいる研究者または団体。詳しくは同NPO法人のホームページに掲載されている。

「低血糖激減プロジェクト」を実施中 支援を呼びかけ
 日本IDDMネットワークが現在、取り組んでいるクラウドファンディングは「低血糖激減プロジェクト」だ。村田敬・国立病院機構京都医療センター糖尿病センター医長が中心となり、全国の糖尿病専門医の協力を得て実施される。

 低血糖はインスリン治療の深刻な副作用であり、患者にとって危険であり、生活の質(QOL)も大きく低下させる。この研究は、「FreeStyle リブレ」を用いて、低血糖予防の教育方法を確立し、1型糖尿病患者の低血糖を減らすというもの。

 1型糖尿病を完全に治すことができる治療法が確立する日がくるまで、患者がインスリン注射を必要とする状況は続く。そのため、まずは患者の大きな負担となっている低血糖の予防方法を確立することが重要だ。

 この支援は、佐賀県庁への「日本IDDMネットワーク指定」ふるさと納税、または日本IDDMネットワークへの直接の寄付によって受け付けられている。

「針を刺さない血糖値センサー」は目標を達成
 同NPO法人がこれまでに実施したクラウドファンディングのプロジェクトの1つに、「採血なしに血糖値を測定するセンサー技術の開発」がある。これは、最先端レーザー技術を応用し、中赤外レーザーを指にあてるだけで血糖値を測定するというもの。

 血糖値を測定するために血糖自己測定(SMBG)が広く行われているが、指などを針で刺して採取した血液を測定するため、煩わしさとともに苦痛やストレスなどがある。

 この「針を刺さない血糖値センサー」のクラウドファンディングは2019年9月まで実施され、目標を達成。昨年12月に2,500万円の助成を行った。

「バイオ人工膵島移植」の研究開発も支援
 同NPO法人は、福岡大学などの研究チームが取り組んでいる「バイオ人工膵島移植」の研究開発も支援している。この研究は再生医療に包括されており、1型糖尿病を根治するための、もっとも早く実現が可能な先端研究とみられている。

 「バイオ人工膵島移植」は、ヒト移植用に無菌状態で飼育されたブタの膵島細胞をカプセルに閉じ込め、患者の腹腔内に移植する治療法。移植した膵島がインスリンを分泌する。1型糖尿病を根治させるための新たな選択肢になる。

 「バイオ人工膵島移植」のクラウドファンディングは2020年1月まで実施され、目標を達成している。

1型糖尿病の新たな治療法の確立を目指して 国内初の臨床試験を実施
 1型糖尿病の原因となる自己免疫を薬剤で抑える新たな治療法の確立を目指し、富山大学附属病院の中條大輔特命教授らの研究チームが研究を進めている。新たな治療法は病気の進行を防ぎ、症状を改善することが期待され、現在、安全性と有効性の検証を行っている。

 免疫修飾療法とは、体の免疫の状態を調整する治療。発症して間もない1型糖尿病患者を対象に、薬剤を用いた免疫修飾療法を行うことで自己免疫を制御し、自分のインスリンを減らさずに維持することを目的としている。

 昨年3月に日本IDDMネットワークが1,100万円の助成を行い、今年度から臨床試験が本格的に実施されている。

「1型糖尿病研究基金」のサポートを呼びかけ
 日本IDDMネットワークが支援している研究は「完全に自動化されたインスリンポンプ」「針を刺す必要のない血糖値センサー」「1型糖尿病を発症させるウイルスを特定し発症を未然に防ぐワクチンの開発」など、実現が期待されている画期的な研究が多い。

 ふるさと納税の運営母体は自治体であり、クラウドファンディングでは具体的な寄附金の使い道を指定して寄附ができ、税金の控除も受けられ、お礼の品をもらうこともできる。また、認定NPO法人である日本IDDMネットワークへの寄付は、税制優遇の対象となる。

 同NPO法人は、1型糖尿病の根治治療が1日も早く実現するよう、研究のサポートをする募金を呼びかけ、支援するサポート会員も募集している。 1型糖尿病の根治治療が1日も早く実現するよう、研究のサポートをする募金を呼びかけている。

インスリンポンプ・ SAP・CGM情報ファイル
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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