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2019年08月19日
認知症を防ぐための10の方法 糖尿病や高血圧の治療をすることが重要
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- ライフスタイル 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症 運動療法 食事療法
生活スタイルを改善することで、認知機能や認知症のリスクを低下できるという研究が、アルツハイマー病協会の国際会議で発表された。
同協会は「認知症を予防するための10の方法」を提唱している。
同協会は「認知症を予防するための10の方法」を提唱している。
生活スタイルを改善し認知症を予防
健康的な食事や運動、認知刺激などの生活スタイルによって、認知機能や認知症のリスクを低下できるという研究が、米ロサンゼルスで7月に開催された「2019年アルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2019)」で発表された。
認知症の遺伝因子や汚染など環境因子があっても、生活スタイルを改善することでリスクを低下でき、記憶力を改善できる可能性がある。
「AAIC」はアルツハイマー病などの認知症に焦点をあてた世界最大級の国際会議で、アルツハイマー病協会の研究プログラムの一環として開催されている。認知症についての新しい知見を生みだし、共同研究コミュニティーを育成する場として活用されている。
「AAIC 2019」では、生活スタイルと認知症のリスクについて調査した5件の研究が報告された。いずれも、健康的な生活スタイルによって認知機能や認知症のリスクを低下できることを示した内容だ。
健康的な生活スタイルとは、▼運動を習慣として行う、▼健康的な食事をする、▼喫煙しない、▼アルコール摂取を中等度に抑える――いったことで、いずれもすぐに実行可能なことばかりだ。
研究では主に次のことが明らかになった――。
* 4つか5つの健康的な生活スタイルを実行すると、何もしないか1つだけを実行した場合に比べ、アルツハイマー型認知症リスクを60%低下できる。
* 健康的な生活スタイルを実行すれば、アルツハイマー病の遺伝的リスクを相殺できる可能性がある。
* 支援を受けて認知刺激を通じて認知予備力を高めれば、脳の老化を抑えられる可能性がある。
* アルコールの過剰摂取は、とくに中年女性の認知症リスクを大きく高める。
* 若年期~中年期に喫煙習慣があると、早ければ40歳代から認知障害があらわれる可能性がある。
認知症を予防するための10の方法
生活スタイルを改善することで、認知機能低下のリスクを軽減できることを示した研究は増えている。いくつものポイントを組み合わせることで、脳と体に多くの利益をもたらすことができる。生活改善の取り組みのが遅すぎたり早すぎたりすることはない。
アルツハイマー協会(Alzheimer's Association)は、認知症リスクのある人々の記憶・思考スキルを守るために、生活スタイルを複合的に改善する10項目の方法を公表している。
● 健康的な食事
野菜や果物を十分に摂り動物性脂肪を控えめにした栄養バランスの良い食事は、認知機能低下のリスクを減らすために役立つ。食事と認知機能についての研究は始まったばかりだが、地中海ダイエットやDASHダイエット(高血圧に対策するための食事療法)などが、認知症リスクを減らすのに有用という研究が報告されている。
● 適度な運動
運動は心拍数を上げ、心血管運動を高め、脳と体への血流を増加させる。運動は糖尿病や高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症などの予防・改善に良いだけでなく、認知症予防の観点からも勧められる。
● 高血圧や糖尿病を治療する
肥満、高血圧、糖尿病などは、心血管疾患と脳卒中の危険因子となるだけでなく、脳の健康にも悪影響をもたらす。これちらの疾患の治療をしっかとり続けることが重要となる。
● 禁煙する
喫煙が認知機能低下のリスクを高めることはほぼ確実だ。禁煙すれば、認知症リスクを喫煙しない人と同等に減少できる。たばこを吸う習慣のある人は、いますぐ禁煙しよう。
● 睡眠をチェック
不眠症や睡眠時無呼吸症候群などが原因で十分な睡眠を得られないと、記憶や思考に問題が生じる可能性がある。睡眠障害がある場合はきちんと治療をしよう。
● メンタルヘルスを大切に
うつ病の既往と認知機能低下は関連しているという報告がある。うつ病や不安症などて精神的健康に問題がある場合は治療を受けよう。ストレスを上手にコントロールしよう。
● 社会的な交流も効果的
社会的な交流を保つことで、脳の健康を維持できる可能性がある。社会活動や地域活動に積極的に参加したり、友人や家族との交わりをつくることは、メンタル面にも良い影響をもたらす。
● 知的な刺激を得る
ワクワクするような知的な趣味は、あなたの脳に短期的・長期的な利益をもたらすかもしれない。ガーデニングをする、家具を作る、アートを鑑賞する、ジグソーパズルに挑戦するなど、なんでも良いので楽しめることに取り組もう。
● 学習する機会を見逃さない
人生のあらゆる局面で教育は、認知機能低下と認知症のリスクを減らすのに役立つ。地元のコミュニティセンター、教育機関、インターネットのオンライン学習などの機会を見逃さないようにしよう。
● 交通事故に注意
交通事故のよる脳損傷は、認知機能低下と認知症のリスクを高める可能性がある。運転するときはシートベルトを着用し、バイクや自転車に乗るときはヘルメットを着用し、転倒を防ぐための措置をしよう。
健康的な生活スタイルにより認知症リスクを下げられる
アルツハイマー型認知症のリスクを60%減少
複合的な生活改善介入により、認知症リスクを下げられることを示した研究は増えている。シカゴのラッシュ大学医療センターの助教授であるクロディアン ダハナ氏らは、「シカゴ健康・加齢プロジェクト(CHAP)」の1,431人、「ラッシュ記憶・加齢プロジェクト(MAP)」の920人のそれぞれのデータを解析した
研究チームは、健康的な食事、少なくとも週に150分以上の中程度から活発な運動、禁煙、軽度から中等度のアルコール摂取、認知刺激活動とった5項目の生活スタイルによって、アルツハイマー病のリスクをどれだけ下げられるかを調べた。
CHAPで9年、MAPで6年の追跡期間中に、それぞれ293人(21%)と229人(25%)がアルツハイマー型認知症を発症。4~5項目の生活スタイルを実行している人は、0~1項目しか実行していない人に比べ、アルツハイマー型認知症のリスクが60%減少することが明らかになった。
認知症のリスクを下げる生活スタイルの実行数が1つ増えると、現在どれだけ実行しているかに関わらず、アルツハイマー型認知症のリスクをさらに22%減少できることも明らかになった。
ダハナ氏は「アルツハイマー型認知症のリスクを減らすために、健康的な生活スタイルを複合的に実行することが重要です。米国人は健康的な生活スタイルへの執着が弱い傾向があります。認知症の発症に生活習慣が深く関わることを広く認知してもらう必要があります」と述べてる。
「この研究で、アルツハイマー型認知症のリスクを下げるには、健康的な生活スタイルを複数、実践することが重要であることが明らかになりました。米国では健康的な生活スタイルへのこだわりが弱いので、こうした生活スタイル因子の宣伝を公衆衛生政策の主要目標にすべきです」。
認知症の遺伝的な要因は相殺できる
健康的な生活スタイルによって遺伝的な要因を相殺でき、アルツハイマー病を予防できるという研究も報告された。
エクセター大学医学部のエルズビエタ クズマ氏らは、英バイオバンクに登録された60歳以上の成人19万6,383人のデータを解析。
遺伝的リスクを評価するため、アルツハイマー病ゲノムワイド研究調査にもとづく多遺伝子リスクスコア(PRS)を使用。参加者を認知症の遺伝的リスクが高い、中程度、低いグループに分け、さらに食事、運動、喫煙、アルコール摂取などにより、生活スタイルが好ましい、中程度、好ましくないグループに分けた。
8年間(中央値)の追跡期間に1,769例人が認知症を発症。研究チームは、遺伝的リスクが高く、生活スタイルが好ましくない人は、遺伝的リスクが低く、生活スタイルが好ましい人に比べ、認知症の発症リスクがほぼ2.83倍に上昇することが示された。
さらに、遺伝的リスクが高い人が好ましい生活スタイルを続けた場合、好ましくない生活スタイルを続けた場合に比べ、認知症のリスクが32%減少することも判明した。
「健康的な生活スタイルの順守が、遺伝的リスクにかかわらず、認知症リスクの低下と関連していることが明らかになりました。認知症の遺伝的なリスクがある人も、生活改善という実行可能な取組みをすることで、認知症を予防できる可能性があります」と、クズマ氏は言う。
2019年アルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2019)AAIC 2019 Highlights New Research Showing Healthy Lifestyle May Offset Environmental and Genetic Risk of Alzheimer's Disease(アルツハイマー協会 2019年7月14日)
U.S. POINTER(アルツハイマー協会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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