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2019年03月01日

糖尿病と食事 やってみると簡単 自己管理に要する時間は1日15分以内

 2型糖尿病や肥満に対策し、体重をコントロールするために、食事を管理することが重要だ。食事の自己管理は面倒で時間がかかると思っている人が多いが、実際にやってみると、はるかに容易にできることが、米国のバーモント大学とサウスカロライナ大学の研究で明らかになった。
 減量に成功した人が1日に自己管理に費やした平均時間は、たった14.6分だという。
食事療法では自己管理が大きな比重を占める
 米国では肥満の増加が深刻な社会問題になっている。政府の調査によると、米国の成人の40%近くが肥満で、8年前に比べ6ポイントも増加した。肥満は2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、心血管疾患、がんなどの慢性疾患に関連しており、40〜85歳の米国人の死亡の18%の原因になっている。

 肥満を解消するために、食事を管理し、運動不足を解消する必要がある。しかし、食事を自己管理するのは、面倒で煩わしい、時間もかかると思っている人が多い。減量に挑戦し失敗した人からは、集中力を持続するのが難しいという声が聞かれる。

 しかし、バーモント大学とサウスカロライナ大学の研究によると、ある工夫をすれば、食事の自己管理を取り組みやすくなるという。

 「体重を減らしたいと望む人が、もっとも成功しやすい方法は、1日を通してカロリーと脂肪の摂取量をコントロールし、記録することです。スマートフォンのアプリを利用するのも効果的です」と、バーモント大学の栄養食品科学部のジェーン ハーヴェイ氏は言う。
やってみると食事の管理は難しくない
 研究には、BMI(体格指数)の平均が35.8の米国人142人が参加した。スマートフォンのアプリを利用し、食事の自己管理に6ヵ月間取り組んでもらった。参加者は、摂取した食品や飲料の量やカロリー、脂質、調理方法などを毎日記録した。訓練を受けた管理栄養士によるオンラインのグループセッションにも24週にわたり参加した。

 その結果、減量に成功した参加者が1日に自己管理に費やした時間の平均は14.6分であることが判明した。実際に自己管理にどれくらいの時間がかかるのかを定量化したのはこの研究がはじめてだ。

 慣れてくると自己管理に要する時間は少なくて済むことも分かった。もっとも減量に成功したグループは体重を10%減らし、プログラムの開始時に自己管理に1日に23.2分を費やしていたが、6ヵ月後には14.6分に短縮された。

 「糖尿病や肥満の食事療法では、自己管理が大きな比重を占めます。食事を自分で管理しなければならないと言われると、たいていの人は面倒で嫌なことだと思います。しかしオンラインのアプリを利用すれば、実際にはそれほど時間を要さないことが分かりました」と、ハーヴェイ氏は言う。
自己管理はシンプルに、しかし毎日続ける必要がある
 体重コントロールを成功させるための秘訣は、費やした時間の長さではないことが判明した。肝心なのはログインの頻度だという。

 「もっとも成功した人は、食事の自己管理を1日3回以上行い、1回あたりに時間をそれほどかけずに継続できた人です。費やされた時間や詳細な情報は必ずしも重要ではなく、自己管理という行為自体が違いを生むとみられます」と、ハーヴェイ氏は指摘する。

 一方で、より詳細で多くの情報をアプリに書き込んだ参加者は、良​​い結果を得られない傾向がみられた。

 食事管理のためのアプリやWebプログラムも進歩している。食事記録を簡単に入力できるアプリが開発され、自己管理に必要な時間が短縮されたことも大きく影響している。最近のアプリには、食事管理に取り組む患者の目標設定を支援する機能が付いているものもある。

 保健指導を行うとき、専門家の多くは「週に合計200分の運動をしましょう」「食事内容をすべて記録しましょう」と指導することはできでも、それにどれくらいの時間がかかるのかは分かっていない。「多くの患者は治療に対して前向きの気持ちをもっています。そうした患者を支援するツールを利用できれば、成功に導くのが容易になります」と、ハーヴェイは言う。

 米国では「LoseIt」「Calorie King」「My Fitness Pal」などのオンライン機能の付いた食事管理アプリが広く利用されている。こうしたアプリは患者に動機付けを与え、モチベーションを高めるよう工夫されている。「こうした新しいツールは効果的で、使いこなすのは意外なほど簡単です」と、ハーヴェイ氏は付け加えている。

Is the Most Effective Weight-Loss Strategy Really That Hard?(バーモント大学 2019年2月25日)
Log Often, Lose More: Electronic Dietary Self‐Monitoring for Weight Loss(Obesity 2019年2月25日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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