ニュース
2019年03月01日
運転中の低血糖対策として「FGM」と「リアルタイムCGM」を容認 英国

英国で運転ガイドラインが改正され、インスリン療法を行っている糖尿病患者への要件が緩和された。「血糖自己測定(SMBG)」以外に、「フラッシュグルコースモニタリング(FGM)」や、「リアルタイム持続グルコース測定(CGM)」を利用している患者に対し、自動車やオートバイの運転を認める方針が打ち出された。
自分で低血糖を回避できることが大切
英国では、自動車やオートバイを運転する糖尿病患者は、インスリンを含む薬物治療により低血糖になる可能性がある場合は、運転免許証を取得するときなどに、インスリンで治療をしていることを英国運転免許庁(DVLA)に伝えることが義務付けられている。
無自覚低血糖は車の運転に支障を及ぼし、交通事故の原因になる可能性がある。低血糖のおそれのある患者は、自分の血糖値を把握しておき、自分で低血糖を回避できるようにしておく必要がある。
DVLAのガイドイランではこれまで、インスリン療法を行っている糖尿病患者に対し、運転を開始する2時間前に「血糖自己測定(SMBG)」を行い、運転中も2時間ごとに車を止めて休憩をとりSMBGを行うことを求めていた。
DVLAは2019年2月にガイドイランを改正し、「フラッシュグルコースモニタリング(FGM)」や、「リアルタイム持続グルコース測定(CGM)」を行っていれば、運転を認める方針を打ち出した。
関連情報
「FGM」「リアルタイムCGM」は生活を楽にする
「SMBG」はもっとも一般的に行われている方法で、患者自身が測定を行った時点の血糖値を簡便に知ることができる。しかし、インスリン療法中の患者の血糖変動は大きく、SMBGを行わない時間帯の血糖値が上昇傾向か下降傾向にあるかを把握するのは難しい。
一方、「FGM」は、間質液中のグルコース濃度を測定し、患者が必要に応じてスキャン操作を行ったときに、現在および過去のグルコース値の変動を表示する。FGMは日本でも2017年から保険適用になっている。
「リアルタイムCGM」は間質液中のグルコース濃度を継続的に自動測定し、グルコース値の変化を線状のグラフとして常時デバイス上に表示する。また、測定結果から低血糖や高血糖にいたることを予測してアラートを通知する機能もある。日本でもリアルタイムCGMの2機種が2018年12月より保険適用となった。
「FGM」や「リアルタイムCGM」であれば、患者自らが血糖変動を簡単に把握できるようになる。糖尿病患者の血糖コントロール改善に大きく寄与すると期待されている。
DVLAのチーフエグゼクティブのジュリー レナード氏は「運転をするときには安全性が最優先されますが、同時に簡便さも求められます。運転のための医療基準を検討しているDVLAの医療専門家のパネルは、常に進歩した技術をとりいれたいと考えています」と述べている。
英国糖尿病学会(Diabetes UK)のニッキー ジュール氏は「運転時の血糖値のモニタリングにおいて、FGMやリアルタイムCGMを選べるようになったのは、糖尿病患者にとって大きな勝利です。英国ではすでに数千人がFGMなどを利用しています。こうした革新的な技術は生活の質を向上させます。糖尿病患者は日々の血糖変動をモニタリングして、運転中も含めて安全に体の状態を管理する能力を高められます」と述べている。
Diabetes UKでは、糖尿病とともに生きる人々が公平に治療を受けられ、医療フィットネス基準を満たしていれば誰でも運転免許証を取得できるように、DVLAなどに働きかけているという。
低血糖が起きたときの対処法
DVLAは、低血糖を起こしやすい人は、必ずブドウ糖を多く含む食品を車内に常備し、空腹時の運転を避けることを求めている。また、運転時に低血糖の気配を感じたときは、ただちに車を路肩に寄せて止めて、SMBGを行い、得られた血糖値に応じて携帯しているブドウ糖を含む食品を摂取することを求めている。
さらに「FGM」や「リアルタイムCGM」を利用している場合でも、72mg/dL以下の低血糖が表示されたり、過去に低血糖を経験していれば、運転を中止し、SMBGを行い血糖値を確認することを求めている。バスやトラックの運転手は従来通りSMBGが必須だ。
日本では、2002年に改正された道路交通法で、車の運転に支障を及ぼす可能性がある疾患として無自覚低血糖が挙げられ、さらに2013年からは運転免許証の取得や更新時に虚偽申告をした場合の罰則規定が設けられている。医師が「運転中の意識消失などを防止するための措置を実行できているので、運転を控えるべきとはいえない」と診断したときに運転免許を取得できるようになっている。
New guidelines will make testing requirements simpler for drivers with insulin treated diabetes(英国政府 2019年2月14日)Flash glucose monitoring gets the green light for drivers with diabetes(英国糖尿病学会 2019年2月15日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
1型糖尿病の関連記事
- 腎不全の患者さんを透析から解放 「異種移植」の扉を開く画期的な手術が米国で成功
- ヨーヨーダイエットが1型糖尿病の人の腎臓病リスクを上昇 体重の増減を繰り返すのは良くない
- 世界初の週1回投与の持効型溶解インスリン製剤 注射回数を減らし糖尿病患者の負担を軽減
- 腎不全の患者さんを透析から解放 腎臓の新しい移植医療が成功 「異種移植」とは?
- 【1型糖尿病の最新情報】幹細胞由来の膵島細胞を移植する治療法の開発 危険な低血糖を防ぐ新しい方法も
- 若い人の糖尿病が世界的に増加 日本人は糖尿病になりやすい体質をもっている 若いときから糖尿病の予防戦略が必要
- 【1型糖尿病の最新情報】iPS細胞から作った膵島細胞を移植 日本でも治験を開始 海外には成功例も
- 1型糖尿病のランナーが東京マラソンを完走 CGMとインスリンポンプを組み合わせたシステムでより活動的に
- 運動に取り組み糖尿病を改善 血糖値が下がりすぎる低血糖にもご注意 1型糖尿病の人に最適な運動法は?
- 「スマートインスリン」の開発が前進 血糖値が高いときだけ作用する新タイプのインスリン製剤 1型糖尿病の負担を軽減