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2018年10月25日

コンタクトレンズを装着するだけで血糖値を持続的にモニタリング

 名古屋大学は、世界最小クラスの発電・センシング一体型血糖センサーを新たに開発し、コンタクトレンズ方式の持続型血糖モニタリング装置の試作に成功したと発表した。外部からの無線給電などが不要で、コンタクトレンズを装着するだけで持続的に血糖値をモニタリングできるという。
無線給電が不要の世界最小センサーを開発 名古屋大学
 糖尿病治療や予防では、患者自身が血糖値を持続的に把握しコントロールすることが重要だ。血糖測定では、皮下にセンサーを埋め込む侵襲性(体内に傷をつける)のあるデバイスが主流となっているが、より低侵襲で低コストの持続型血糖モニタリングの実現が期待されている。

 一方、血糖濃度と相関のある涙液糖濃度に着目した低侵襲のコンタクトレンズ型持続血糖モニタリング技術も注目を浴びているが、これまで開発された技術は、無線電力伝送により電気を供給しており、給電専用のメガネ型端末を使用する必要があり、就寝時や運動時の測定が難しいという欠点があった。

 研究グループは、これらの欠点を克服し、発電・センシング一体型血糖センサー(発電とセンシングを同時に行うセンサー技術)を開発し、外部からの電気供給を必要としない持続型血糖モニタリングコンタクトレンズを試作した。

 血糖濃度と相関のある涙液糖濃度によってグルコース発電素子から出力電圧が変化し、半導体集積回路を用いてこの出力電圧を無線発信頻度へと変換することで、発電とセンシングの同時動作を実現するのに成功した。
涙液に含まれる糖をモニタリング 発電・送信も最小の電力で駆動
 世界最小クラスの固体素子型グルコース発電素子とサブ平方ミリサイズで超低消費電力の半導体無線送信器回路技術を開発。発電とセンシングを同時に行う固体素子型グルコース発電素子は、0.6ミリメートル角と世界最小クラスで、涙液に含まれる糖(グルコース)をもとに1ナノワット以上の電力を生成する。

 また、データを送信する半導体無線送信器回路技術についても、従来の1万分の1程度の0.27ナノワットで駆動させることに成功した。

 この2つの技術を融合し、涙液に含まれる糖をモニタリングしながら、必要な電力を生成することも可能になった。これらにより、給電用のメガネ型端末も不要になり、コンタクトレンズを装着するだけで持続的に血糖値をモニタリングすることが可能となる。

 研究グループはこの研究により、低侵襲かつ低コストでの持続型血糖モニタリングが実現され、持続型血糖モニタリングコンタクトレンズの高性能化、低価格化により、より多くの人が簡便に自身の血糖値を把握できるようになるのを目指しているという。

 研究は、名古屋大学大学院工学研究科の新津葵一准教授らの研究グループによるもので、研究成果は10月17日開催の国際会議「IEEE BioCAS 2018」で発表された。
名古屋大学大学院工学研究科
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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