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2016年03月11日
ゆっくり吸収されるカロリーで最強を目指す スローカロリー研究会
「一般社団法人スローカロリー研究会」(理事長:公益財団法人結核予防会理事・総合健診推進センター長・宮崎滋氏)が3月1日に東京で「第2回講演会」を開催した。
ゆっくりと糖質が消化吸収される「スローカロリー」が肥満や生活習慣病の予防・改善につながり、日本人の食生活の課題を解決する鍵となる可能性がある。「スローカロリー研究会」は、糖質の“質”に注目し、健康的な生活スタイルを提案する取り組みを行っている。
ゆっくりと糖質が消化吸収される「スローカロリー」が肥満や生活習慣病の予防・改善につながり、日本人の食生活の課題を解決する鍵となる可能性がある。「スローカロリー研究会」は、糖質の“質”に注目し、健康的な生活スタイルを提案する取り組みを行っている。
スローカロリー研究会が提唱する「スローカロリー」は、糖質の消化・吸収速度がゆっくりであることを示す。カロリーがゆっくり吸収される食品を選ぶことで、糖質の吸収が遅くなり肝臓への糖流入速度が遅くなる。血糖値がゆっくり上昇・低下し、インクレチンの分泌を高めて適量のインスリンの分泌が促され、内臓脂肪の蓄積が抑制され、糖尿病の発症、血糖の上昇を抑制することができる。
食事のバランスを考え肥満や生活習慣病を予防・改善
糖質は生きるために必要なエネルギー源
「スローカロリー研究会」は生活習慣病予防の観点から、糖質の「質」に着目し、どのような糖質をどのように食べるか、どのように代謝されるのかを検討することを重要なテーマとしている。また、糖質の「量」の観点から、食べ過ぎず偏り過ぎない食事スタイルを提案し、糖尿病の食事療法で応用されている「カーボカウント」まで視野を広げて検討している。
食事の量を「腹七~八分目」、つまり適度に制限した方が長生きすることを示した研究がいくつか公表されている。加えて重要なのは食事の質で、消化吸収が遅いグリセミック指数(GI)の低い玄米や全粒粉などの食材は、腸でゆっくり消化吸収されるため、肝臓への糖流入速度が遅く、血糖値の急速な上昇を抑えられると注目されている。ごはんを中心とし食物繊維が多くとれる日本食は理にかなっているといえる。
糖質制限ダイエットを行う人もいるが、過剰な糖質制限によって、必要な栄養素のひとつを極端に減らすと栄養バランスを欠くことになる。また、急な食事制限をすると、タンパク質がエネルギー源として分解されるようになり筋肉量が減ってしまい、その結果、かえって代謝が低下して太りやすい体質になるおそれがあるという。
「人はそれぞれの生活環境の中で、年齢や体調、趣向に合った食を選択しなくてはなりません。中でも、糖質は私たちが生きるために必要なエネルギー源であり、思考や活動のために中心的な役割を果たしています。糖質摂取量が極端に落ちると、思考力や活動力も落ち、栄養バランスが崩れてきます。むしろ、糖質を適切に摂取することが必要です」(宮崎氏)。
日本人の食文化はもともとスローカロリーだった
家森幸男・武庫川女子大学国際健康開発研究所教授は、世界中の国々で、24時間にわたる尿を採取し、客観的な栄養マーカーを調べる方法で評価を行ってきた。「世界ではスローカロリーとは逆の食生活が急速に広がっています。例えばアフリカの都市部では高カロリーの清涼飲料やファストフードの摂取が増え、結果として肥満が増えています。インド、インドネシア、スリランカなどの国でも同様の傾向がみられます」と、家森氏は言う。
スローカロリーで生活習慣病を予防・改善する
「人類の食文化を考えると、活動するために脳や筋力の“エネルギー源としての糖質”が必要不可欠です。しかし、世界中で食の欧米化が進んでしまい、脂質を過剰に摂取し、糖質の消化吸収が速い “ファストカロリー”の食が急速に広がり肥満や生活習慣病が急増しています。糖質の消化吸収に注目し“スローカロリー”に変えていくことで、生活習慣病を確実に減らせる可能性があります」と家森氏は指摘する。
家森氏らの調査では、世界の都市部に住む人ではマグネシウムの摂取量が減少しており、マグネシウムを十分に摂取している人は少ない人に比べて肥満が少なく、血圧値やコレステロール値も低いという結果が得られた。マグネシウムは「ATP(アデノシン三リン酸)」によるエネルギー生成を助ける働きをし、不足すると細胞の中にナトリウムが蓄積され、結果として血圧が上昇しやすくなる。
マグネシウムは食物繊維と関係が深く、マグネシウムの多い食品の多くに食物繊維も豊富に含まれる。米は精白しなければ5倍のマグネシウムが含まれ、魚や海藻類、大豆、ナッツ類にも多く含まれる。伝統的な日本食はマグネシウムや食物繊維を十分に摂取するために有利だといえる。
パワーリフティングのチャンピオンが語るスローカロリーのメリット
バーベルを肩に担いでしゃがみ、立ち上がるスクワット。ベンチ台に横になり、胸の上でバーベルを持ち上げるベンチプレス。床に置いたバーベルを垂直に持ち上げるデッドリフト。これら3種目の重量を競い、合計重量で優勝を決める競技が“パワーリフティング”だ。この競技の第一線で活躍するのが大谷憲弘氏。2015年に行われた選手権大会の74kg級では日本新記録を樹立し、2年連続で優勝した。
トレーニングをするうえで欠かせないのが、トレーニングを通して糖質とアミノ酸を摂取することだ。アスリートにとって、運動時のパフォーマンスを向上するために栄養管理が重要となる。カロリー、炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂り、ビタミン、ミネラル、水分を適切に補給することが、体を理想的に機能させるために欠かせない。
減量時に筋肉を維持するには、タンパク質の補給と運動が大切だが、糖質(炭水化物)の影響も大きい。運動時のエネルギー源となるのは糖質だ。糖質をカットし過ぎるとエネルギー不足で力が出ず、疲れが抜けず、十分なトレーニングができなくなるおそれがある。
スローカロリー効果的な摂取の方法
「パラチノース」はスローカロリーの代表的な食品
スローカロリーの代表的な食品として「パラチノース」がある。パラチノースは砂糖由来の糖質で、カロリーは砂糖と同じ4kcal/gだが、消化吸収速度が砂糖の約5分の1と遅い。パラチノースを含む糖質は「スローカロリーシュガー」という名前で商品化されているほか、スポーツドリンクやプロテイン食品などスポーツ関係のさまざまな食品にも使われている。
「パラチノース」摂取による血糖値およびインスリン分泌の変化は2型糖尿病でも緩徐であり、健常者のインスリン抵抗性を軽減させることが研究で確かめられている。また、肥満者にパラチノースを長期摂取させた研究では、内臓脂肪面積を有意に減少することが示された。さらに、「パラチノース」を摂取すると、血糖値を下げるホルモンである「グルカゴン様ペプチド(GLP)-1」の分泌が促進されたことが報告されている。
一般社団法人 スローカロリー研究会
スローカロリー研究会は、スローカロリーの有用性について調査・研究を進め、健康づくりのための食生活を指導する医療・保険指導従事者と一般生活者に向けて、その知識を普及することを目的に2015年に設立された。 「スローカロリー」は、多くの効用があることがさまざまな研究で明らかになっている。同研究会はその活用についてさらに検証し、データを蓄積していくことを活動目的としている。糖質をどのように摂取するか、関連領域の専門家の視点からその可能性を見出していく活動を展開している。
一般社団法人 スローカロリー研究会
スローカロリー研究会は、スローカロリーの有用性について調査・研究を進め、健康づくりのための食生活を指導する医療・保険指導従事者と一般生活者に向けて、その知識を普及することを目的に2015年に設立された。 「スローカロリー」は、多くの効用があることがさまざまな研究で明らかになっている。同研究会はその活用についてさらに検証し、データを蓄積していくことを活動目的としている。糖質をどのように摂取するか、関連領域の専門家の視点からその可能性を見出していく活動を展開している。
一般社団法人 スローカロリー研究会
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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