ニュース
2015年11月26日
糖尿病の人は骨粗しょう症に注意 骨を丈夫にする食品が判明

骨粗しょう症は骨密度や骨質が低下することで起こる病気だ。骨粗しょう症があると、骨が弱くもろくなって骨折しやすくなる。高齢者に多い病気と思いがちだが、50歳代の比較的若い世代から注意が必要となる。特に女性の場合は、閉経により、50歳代を過ぎると骨密度は急激に低下していく。
エストロゲンは、女性らしい体をつくったり、排卵をコントロールしたりするホルモンだが、骨の健康にも深く関わっている。女性ではエストロゲンの分泌が減る閉経前後から骨量が急激に減少しやすい。「骨の代謝」が健康に保たれている状態では、古い骨を壊す「破骨細胞」と新しい骨を作る「骨芽細胞」がバランス良く働いている。骨粗しょう症は、この骨の代謝のバランスがくずれ、破骨細胞の働きが活発になり過ぎたり、骨芽細胞の働きが低下したりして骨量や骨質が低下することで起こる。
エストロゲンには、破骨細胞を減らして骨芽細胞を増やす働きがある。閉経後の女性ではエストロゲンの分泌が低下するため、これらのホルモンのバランスが崩れ骨量が減少しやすい。
閉経を迎えた女性だけでなく、30~40代の若い女性も注意が必要だ。この年齢の女性が過度のダイエットを行うと骨量が低下しやすく、また早期閉経の原因にもなる。

骨粗しょう症の発症リスクの高い女性が、大豆に含まれるタンパク質とイソフラボンを豊富に摂取すると、骨が丈夫になり骨粗しょう症を予防できるという研究が、国際内分泌学会の学術集会で発表された。
英国のハル大学の研究チームは、早期閉経を迎えた200人の女性を、(1)大豆タンパク質とイソフラボン66mgが含まれるサプリメントを服用するグループと、(2)大豆タンパク質のみのサプリメントを服用するグループに分けた。
研究チームは6ヵ月後に血液検査を行い、骨形成の指標となる血液の成分の変化を調べた。その結果、大豆タンパク質とイソフラボンの両方を服用したグループは、骨形成が改善し骨粗しょう症のリスクが低下していることが分かった。
「食事で大豆イソフラボンを摂取することは、女性の骨を健康に保つために効果的であることが判明しました。大豆イソフラボンには治療薬に匹敵する効果があります」と、ハル大学医学部のソーズカ サシヤペレン氏は言う。
イソフラボン66mgに相当する量は、水煮大豆100g、納豆2パック(90g)、豆腐1丁(300g)、豆乳2パック(400g)だ。「大豆食品をよく使う日本食は、イソフラボンが豊富に含まれます。それに比べると、欧米食ではイソフラボンを1日に2~16mgしか摂取できません」と、サシヤペレン氏は指摘している。
最近では、健康な人に比べ骨量が70%以上80%未満に低下した人でも、骨折を予防するために治療をはじめることが勧められている。しっかりした食生活や適度な運動を続けて、骨量を減らさないようにするのと同時に、婦人科系疾患がないかを確認しておくことも必要だ。
・ 食事のポイント
食事では、骨や筋肉をつくるのに必要な栄養素を積極的に摂ることが大切だ。カルシウムは骨の主成分となるため、しっかり摂取する必要がある。カルシウムを少なくとも1日600mg、閉経を迎えた女性は700~800mgを摂取するのが望ましい。
乳製品は特にカルシウムを吸収しやすい食品だ。乳製品を食べられない女性でも、骨まで食べることができる魚や、豆製品、緑黄色野菜などが供給源になる。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、サケ、サンマ、ウナギなどの魚類や干し椎茸などに多く含まれるので、積極的に摂ることが大切だ。また、納豆、ホウレンソウ、小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にも多く含まれるビタミンKには骨を作るのを促す働きがある。
さらにタンパク質は、筋肉や骨の成分であるコラーゲンを作るのに重要だ。こうした栄養素が不足しないよう、食事のバランスと摂取量に注意しよう。
・ 運動のポイント
運動により背筋・下半身の筋力をアップすると、骨密度を高めることができる。運動はバランス感覚を維持するためにも必要だ。また、骨を丈夫にするためには、骨に十分な刺激を与えることが必要で、特に骨に縦方向の刺激を加えると効果的だ。
骨を丈夫にするために、もっとも勧められるのはウォーキングなどの有酸素運動だ。姿勢をまっすぐにし、歩幅を広げてリズミカルに歩くことがポイントとなる。

骨粗しょう症 予防と治療ガイドライン(日本骨粗しょう症学会 2012年)
おすすめニュースの関連記事
- 糖尿病患者さんと医療スタッフのための情報サイト「糖尿病ネットワーク」がトップページをリニューアル!
- インスリン注射の「飲み薬化」を目指すプロジェクトが進行中!ファルストマと慶応大学の共同研究による挑戦[PR]
- 小倉智昭さんが当事者として腎臓病のことを医師に質問!
- 世界の8億人以上が糖尿病 糖尿病人口は30年で4倍以上に増加 半分が十分な治療を受けていない
- 【世界糖尿病デー】糖尿病の人の8割近くが不安やうつを経験 解決策は? 国際糖尿病連合
- 【インフルエンザ流行に備えて】糖尿病の人は予防のために「ワクチン接種」を受けることを推奨
- 【11月14日は世界糖尿病デー】世界の5億人超が糖尿病 「糖尿病とウェルビーイング」をテーマに参加を呼びかけ
- 特集コーナー『腎臓の健康道~つながって知る、人生100年のKidney Journey~』を公開
- 【座談会】先生たちのSAP体験談2 インスリンポンプの新機能を使って
- 糖尿病のインスリン療法(BOT)で注射量の調整を自分で行うことに不安を感じている人は半数 ネットワークアンケートより