ニュース
2014年11月20日
運動をしているのに体重が減らない? 効果的なダイエット方法が判明

アリゾナ州立大学の研究チームは、体格指数(BMI)が25以上の過体重の女性81人を対象に実験を行った。実験に参加した女性は1年以上、運動する習慣がなく、体脂肪率は平均で38%だった。
参加者に、1回30分のランニングマシンによる有酸素運動に週に3回取り組んでもらい、最大酸素摂取量(VO2max)の80%程度の「ややきつい運動」を続けてもらった。
また、12週間の運動プログラムを続けている間、研究チームは食事については「なるべくふだん通り、食べたいものを食べて良い」と指導した。
その結果、運動を行うことで、体重が減りやすい女性と、減りにくい女性に分かれることが判明した。プログラムに参加した女性の30%では、平均して体重が11.7kg、体脂肪が11.8kg、それぞれ減少していた。70%の女性では体重が変化しないか増えていた。
「食事のコントロールが伴わないと、体重は減らないことが多いのです。ただし、良い知らせもあります。減量に成功する人には共通する条件がみられることです」。
体重が減ったグループでは、体重の測定を毎日行い、自分の体重の増減を気にかけている女性が多かったという。
「運動をする習慣がなかった人が新たに運動に取り組みはじめたときは、体重を少なくとも1日1回以上はかると効果的です。体重計をバスルームに置いて、毎日の体重の推移を記録し、体重が増えたときは何が原因かを思い返すことが重要です」と、ガエサー教授は説明する。
一方、体重が減らなかったグループでは、「運動をしたのだから、いつもより多く食べても良い」と考え、食事の摂取カロリーを増やした女性が少なくなかったという。
なお、運動を続けた女性のほとんどは、12週間の研究の終了後も「体調が良くなった」と答え、自主的に運動を続けているという。「体重の変化に関わらず、フィットネスが健康に良いことは確実です」と、ガエサー教授は述べている。

運動の量を増やして、カロリーを燃焼しやすいコンディションを維持できれば、体重は減りやすくなる。
これから運動を始めるという人にとって、もうひとつ効果的な方法がある。まとめて30分の運動の時間をとるのではなく、朝・昼・晩と1日3回10分間ずつといったように、運動時間を小分けにする方法も効果的だという。
ガエサー教授らは過去に行った研究で、最大酸素摂取量(VO2max)の60~65%の「中程度の運動」を1回10分、1日に3回取り組むことで、収縮期血圧(最高血圧)がどれだけ下がるかを調べた。
ウォーキングマシンで1回10分の運動をした場合、1日に行う回数を増やすと、1日30分のまとまった時間の運動をした場合に比べ、血圧はより低下することが判明した。
このやり方であると、食事の管理が伴わないと体重を減らすのは難しいが、筋力の増加は期待できるという。
筋肉は、体を動かしていないときでも、脂肪の数倍のカロリーを消費しているので、筋肉をつけることで体の基礎代謝量を増やせる。
腹筋運動(レジスタンストレーニング)を取り入れれば、運動によって腹部の脂肪が少なくなり、腹部を細くする部分やせが可能になる。
健康増進プログラムでは「1日に必要な運動時間は30分程度」と指導されることが多いが、多忙なビジネスパーソンにとって、毎日30分の運動時間を確保し続けるのは難しい。
そんなときは、昼の休憩時間の空いた時間に、1回10分だけでも良いので、ウォーキングなどの運動をはじめてみてはいかがだろう。
Predictors of fat mass changes in response to aerobic exercise training in women(Journal of Strength & Conditioning Research 2014年10月28日)
Effects of Fractionized and Continuous Exercise on 24-h Ambulatory Blood Pressure(Medicine & Science in Sports & Exercise 2012年12月)
運動療法の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消
- 「ラジオ体操」で糖尿病を改善 取り組みやすく続けやすい運動 フレイル対策の効果を検証
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」
- 運動が糖尿病や肥満の人の脳を活性化 ウォーキングなどの運動が脳のインスリンの働きを改善
- 握力が低下している人は糖尿病リスクが高い 握力や体力を維持して糖尿病リスクを減少
- 糖尿病があると脳の活動が低下しやすい? 脳の老化は健康的なライフスタイルにより防げる