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2014年11月24日
ウォーキングが脳の健康を促進 今日からできる脳のアンチエイジング
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脳の大脳皮質は「灰白質」と「白質」で構成される。灰白質には情報を出す「神経細胞」がつまっており、白質には神経細胞から出てきた情報を伝達するための「神経線維」がつまっている。
ウォーキングなどの運動を行っている人の脳では、白質病変が起こりにくいことが、イリノイ大学の研究で明らかになった。運動を習慣として行うことで認知機能の衰えを抑制できることが知られるが、そのメカニズムが脳イメージングによって解明された。
この研究では、60~78歳の男女88人を対象に1週間にわたって、起床時に活動量計を装着してもらい、1日の運動量を測定し、さらにMRI検査で脳の神経の走行や白質の病変について詳しく調べた。測定にはテンソル画像という神経の走行を詳しく分析できる新しい検査法を用いた。
その結果、ウォーキングなどの適度の運動をする習慣のある人では、白質病変が少ないことが分かった。
ウォーキングをしている人では、側頭葉と白質の接続が健全に保たれていた。側頭葉は、記憶や言語、視聴覚情報の処理に深く関与している。
一方で、あまり運動をしないで、座ったまま過ごす時間が長い人では、海馬と白質の構造的な接続が良好ではなかった。海馬は学習と記憶に深く関与している。
米国の運動ガイドラインでは、ウォーキングなどの活発な運動を週に150分以上行うことが勧められている。
「運動を続けることで、脳の血液の流れが良くなり、白質の衰えを抑えることができます。年齢が高くなると認知能力が衰えていくのは自然な現象ですが、運動によって最小限に抑えることができます」と、研究者はアドバイスしている。
運動は、高齢者だけでなく、子供の脳の健康にも良い効果をもたらす。イリノイ大学の研究チームは、9~10歳の子供を対象とした研究も行った。
白質はコンパクトにまとまっていると、速くより効率的な神経活動が可能になる。24人の子供の脳をMRI検査で調べたところ、よく運動をしている子供では、白質の組織がより線維状でコンパクトになり、脳にとって好ましい状態になっていることが判明した。
よく運動をしている子供は、認知機能が改善されている可能性があると、研究者は指摘している。
Study links physical activity in older adults to brain white-matter integrity(イリノイ大学 2014年9月17日)
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