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2014年07月02日
減量バトルに参戦 目的意識をもつとダイエットに成功しやすい

成人の死因の上位を占める心臓病(心筋梗塞や狭心症)や脳卒中(脳梗塞や脳出血)などに、肥満と動脈硬化が大きく関わっている。さらに、肥満は多くのがんのリスクを高めることも指摘されている。
また、年齢とともに筋肉量や骨量が減り、からだを支える力は弱くなっていく。そこに肥満が加わると、骨や関節への負担が大きくなり、腰痛や膝痛などの関節障害を起こしやすくなる。
女性がダイエットに取り組む理由は、「美容のため」、「体型の維持のため」、「スタイルを良くするため」などが多い。一般的に中高年の男性は、自分の容姿について無頓着である傾向が強く、そのためダイエットに取り組む意欲は女性に比べると希薄だ。
しかし、男性がダイエットに挑戦するときに、「健康増進のため」という目的意識をしっかりもつと、成功しやすいことが明らかになった。
スコットランドのアバディーン大学のアリソン アブネル教授らは、欧米を中心に行われた60件以上研究を調べ、1万5,000人以上の男女を対象に解析した。
その結果、「男性は減量プログラムになかなか関心を示さないが、なぜ減量が必要になるかを知り目標を設定すると、積極的に参加するようになり長続きする」という結論を導き出した。

・ 男性の減量には動機付けが必要
医療機関で検査を受け、高血圧や糖尿病、脂質異常症に関わる検査値が悪化していのが判明すると、中高年の男性の多くは「なんとかしなければならない」という意欲をもつ。検査値を改善するために具体的な目標をもつと、減量に取り組みやすくなる。
・ 食事と運動の両方が大切
体重を減らすために必要なことは、食事を見直しカロリー摂取量をコントロールすることと、運動を習慣化しカロリー消費量を増やすこと。食事と運動が合わさることで、確かな効果を得られる。体重だけでなく、2型糖尿病のリスクを減らすことにもつながる。
・ 運動だけでは不十分
「運動をしているから大丈夫」と思うのは間違い。統計調査では、運動をする習慣のある男性でも、食事のカロリーコントロールが伴わないと、減量効果がなかなか現れないことが示されている。
・ 1食だけ減らすやり方でも大丈夫
1日3食のうち1食だけカロリーを減らすやり方でも、続ければ減量効果を得られる。「夕食だけ量を減らしてみる」というやり方でも大丈夫。ただし、他の2食で食べ過ぎないようにし、朝食はきちんととった方が良い。
・ 「肥満」だけでなく「やせ」にも注意
やせすぎている男性でも、生活習慣病のリスクは高まることが確かめられている。太りすぎずやせすぎず、標準体重を維持することが大切だ。
・ しっかりとした減量プログラムが必要
女性を対象とした減量プログラムを提供する民間の商業サービスは多くあるが、その多くは根拠(エビデンス)が不足している。男性は効果がはっきりと予測できる減量プログラムを好む。
・ グループで減量に取り組むと効果的
男性のみを対象とした集団プログラムも効果的だ。欧州では、サッカーなどの集団球技を取り入れた運動プログラムが人気を集めている。グループで取り組めば、参加者が互いに励まし合うことができる。
肥満は世界的に増えている。世界保健機関(WHO)によると、世界の2億人の男性、3億人の女性が肥満で、過体重の成人の数は14億人に上る。「世界中で肥満対策は大きな課題となっています。効果的な減量プログラムを運営することが必要です」と、アブネル教授は述べている。
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