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再生医療が進歩 インスリンを生成するβ細胞の作成に成功
2014年02月18日
カテゴリー:1型糖尿病 2014年  医療の進歩 


 カリフォルニア大学グラッドストーン研究所のシェン ディン博士ら研究チームは、皮膚細胞を再プログラムすることで、β細胞の前駆細胞を作成するのに成功した。その細胞を移植した糖尿病マウスの血糖値が下がることも確認した。
β細胞を再生 1型糖尿病の根本的な治療法に
 1型糖尿病は、主に自己免疫によって起こる病気で、血糖値を下げるインスリンを出す膵臓のβ細胞が破壊されることで発病する。糖尿病患者の9割以上を占める2型糖尿病とは原因も治療の考え方も異なる。

 1型糖尿病は、インスリンが発見される以前は致死的な疾患だったが、現在ではインスリン療法と血糖コントロールによって治療が行われている。

 ただし、生涯にわたり毎日数回のインスリン自己注射やポンプによるインスリン投与を続ける必要があり、膵臓移植や膵島移植を受ける以外に根本的な治療法はない。

 膵島移植は、他人の膵臓からの膵島(ランゲルハンス島)を移植する治療法だが、ドナーの不足が深刻な問題となっており、また、移植後も免疫抑制剤が必要となるため、免疫抑制剤による副作用が起こるおそれがある。

 失われたβ細胞を再生・置換できれば、1型糖尿病の根本的な治療法となる可能性がある。

 カリフォルニア大学グラッドストーン研究所のシェン ディン氏ら研究チームは、皮膚細胞を再プログラムすることで、β細胞の前駆細胞を作成するのに成功した。

 β細胞は一度成熟してしまうとそれ以上分裂することがなく、多くの細胞を作ることが難しい。そのため研究チームは、幹細胞からβ細胞に分化する途中の段階にある前駆細胞を利用して研究を行った。

 マウスから採取した皮膚細胞の一種である「繊維芽細胞」を、さまざまな物質を含んだカクテル剤で培養し、初期の胚にみられる「内胚葉細胞」に似た細胞へと変化させるプログラムを行った。

 その結果、初期膵臓様細胞(PPLC)に変化させるのに成功した。実験の目的は、PPLCをβ細胞へと成長させ、インスリンを分泌させることで、PPLCが培養皿上で目的の反応を示すことを確かめた。

 次に、PPLCを糖尿病のマウスに移植する実験を行ったところ、移植後1週間でマウスの血糖値が正常近くまで下がった。移植の8週間後には、PPLCは機能性のあるβ細胞へと成長し、インスリンを分泌していることを確認した。

 「再生医療の目的は、機能性のある細胞を作り出すことだ。インスリンを分泌するβ細胞を作ろうという試みは過去にも行われているが、成熟した細胞を大量に作るのは難しかった。我々は、細胞を再プログラミングすることで、インスリンを作り出すβ細胞を作ることに成功した」と、ディン氏は話す。

 「失われたβ細胞を再生するするめの技術開発の重要な手がかりになる。今回の成果は、動物実験によるものだが、近い将来にヒトでも実現されることを期待する」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校糖尿病センターのマッテヤ ヘブロック氏は述べている。

Scientists Reprogram Skin Cells into Insulin-Producing Pancreas Cells(グラッドストーン研究所 2014年2月6日)
Small Molecules Facilitate the Reprogramming of Mouse Fibroblasts into Pancreatic Lineages(Cell Stem Cell 2014年2月6日)

[ Terahata ]
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