ニュース
2014年02月18日
膵β細胞のミトコンドリア機能低下が糖尿病の原因
- キーワード
- 医療の進歩
京都府立医科大学の研究チームは、糖尿病の発症に関与する遺伝子がミトコンドリアの機能低下を引き起こすメカニズムをマウス実験で明らかにした。
糖尿病の原因のひとつは、膵臓のβ細胞の働きが低下し、血糖値を下げるインスリンが出なくなること。年をとると発症しやすくなり、インスリンを出すためのエネルギーを作る「ミトコンドリア」の機能低下が関わっていることが知られているが、詳しいメカニズムは良く分かっていなかった。 研究チームは、細胞を老化させる遺伝子「p53」に着目。糖尿病にしたマウスのβ細胞を観察した。 今回の研究の成果は、主に次の3点――(1)膵β細胞において老化因子p53はマイトファジーを抑制する、(2)糖尿病の膵β細胞では細胞質に老化因子p53が増加する、(3)糖尿病においてマイトファジーは膵臟β細胞のインスリン分泌能を改善する。
マイトファジーによるミトコンドリアの機能維持が新たな治療標的となる可能性
細胞内小器官のひとつである「ミトコンドリア」は生体活動に不可欠なエネルギー産生を担い、β細胞のインスリン分泌においても重要な役割を果たしている。
このミトコンドリアの機能を維持するため、機能不全に陥ったミトコンドリアをオートファジーで分解処理する「マイトファジー」というメカニズムが働いている。
研究チームは過去の研究で、がんの抑制や老化に関係する遺伝子「p53」が過剰に増加し、マイトファジーを抑制し、ミトコンドリアの機能低下を引き起こしていることを発見した。
今回の研究では、糖尿病モデルマウスや膵β細胞株を用いた実験で、マイトファジーが減少し、ミトコンドリアのエネルギー産生能が低下し、インスリンが作られなくなることが糖尿病の原因であることを突き止めた。


[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
医療の進歩の関連記事
- 1型糖尿病のインスリンポンプ療法をオンライン診療で 通院頻度が減り仕事や生活への影響も軽減
- PHRアプリ12種掲載!『血糖記録アプリ早見表(2022年版)』公開
- 1型糖尿病を根絶する研究を支援 クラウドファンディングを展開し研究課題を募集 日本IDDMネットワーク
- 低血糖を防ぐ新しい薬を開発中 低血糖を恐れず糖尿病のコントロールを改善
- インスリンを分泌する膵島細胞の増殖に成功 糖尿病を根治する新たな再生治療に期待
- CGM(持続血糖測定)が糖尿病患者の血糖コントロールを改善 多くの患者が使えるようにするべき
- 【新型コロナ】ワクチンは接種から9ヵ月後も有効 3回目接種も必要 「迷わずすぐに接種を」
- 糖尿病の治療薬「SGLT2阻害薬」が心不全の治療にも効果 心不全にはどんな症状がある?
- 血糖値が高いときだけ作用する「スマートインスリン」 週1回注射のインスリンも開発中 糖尿病患者の負担を軽減
- 【新型コロナ】モデルナのワクチンの接種1ヵ月後調査 87%がワクチン接種に満足「身近な人にも接種を勧める」