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2013年11月15日
ストレスが糖尿病治療を難しくする ストレスをコントロールする方法
インスリン療法を行っている人は頻回の注射と血糖自己測定も必要だ。生活のさまざまな面で制限が設けられる。このことにストレスを感じ、疲労感がたまっててしまう人は少なくない。
ストレスを感じると、コルチゾールやアドレナリンなどのホルモンの分泌が増える。これらホルモンは血糖値を上昇させる作用がある。ストレスはインスリン抵抗性を引き起こすホルモンの分泌も増やす。インスリン抵抗性は、インスリンに対する感受性が低下した状態だ。
ストレスがたまると、それだけで血糖コントロールが難しくなるだけではない。ストレスのために薬の飲み忘れたり、食べ過ぎに注意しなければならない食品をつい食べすぎてしまうこともある。
ストレスが慢性化すると、うつ病の発症が増え、さらに糖尿病が悪化するという悪循環におちいるおそれもある。うつ病をもっている高齢の女性では、2型糖尿病やインスリン抵抗性の頻度が2倍に上昇するという研究も発表された(Am J Public Health. 2013; 103: e34-43)。
ストレスと糖尿病の負のスパイラルは、糖尿病の治療を難しくする。早い時期から、ストレスに対処することが必要だ。
ストレスをうまく処理できなくなると、そのストレスがさらに増幅するおそれがある。ストレスを緩和するために、さまざまな対応策が必要となる。ストレスに対処する行動を「ストレスコーピング」という。
ストレスコーピングの種類としては、「ストレスに対して自分自身ならびに周囲の人の協力を得て解決する方法」、「ストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらうことによって発散する方法」がある。
・ 自分の時間をみつける
「ストレスをコントロールする良い方法のひとつは、“自分の時間”を上手にみつけることです」と、ファレンコフ氏は話す。ファレンコフ氏は自身が1型糖尿病で、30年間を糖尿病とともに生きてきた。
自分の時間をもつことで、リラックスやリフレッシュができるようになり、気持ちを新たにしてリブートすることが可能になる。例えば温浴、読書、散歩、音楽鑑賞、大好きなテレビ番組を見る、ラジオを聴く、友人に電話をする、瞑想するなど、自分が楽しめる時間をもつことが大切だ。
仕事中の休憩時間、眠る前、起きたときなど、長い時間をとらなくても、15分程度でもかまわない。ただし、毎日続ける事が必要だという。
・ ありのままを受容し、プラス面に目を向ける
「自分が糖尿病であることや、治療がうまくいかないことを受け入れられないことが、ストレスの原因となっている場合もあります」と、ファレンコフ氏は説明する。
本来はこうあるべきだという理想の状況や、他人との比較で自分の現状を考えた場合、自分の状況がそれらに及ばないと感じると強いストレスが生じがちだ。ストレス対処方法として大切なのは、ありのままの現状を受容し、その上で現状のプラス面に目を向けることだという。
「じっくり考えてみれば、現状には“それほど悪くない”という面もあるはすです。糖尿病の医療は進歩を続けています。治療を続けられていること自体が、プラスとして考えられるはずです」(ファレンコフ氏)。
・ 相談できる友人や知人をもつ
自分でストレスに対処するよりも、他人に相談して援助を求める方が効果的な場合もある。友人や知人の相談相手がいない場合は、患者さん同士が集まった支援グループの集会に出て、同じ経験をもつ者同士で話し合う方法がある。
患者さん同士で話すことで、同じ問題を抱えているのは、自分ひとりではないことに気づくことができる。問題の対処法について、他の人のやり方を知ることで、ヒントを学ぶことも可能だ。日頃から社会活動を充実させて、人間関係を広げておくことが大切だ。
・ 主治医や専門家に相談する
自分で対応しきれない大きな問題を抱えた時には、自分ひとりで解決するにはかなりの時間と労力を要することになる。結果として心身の不調を招くことになりかねない。
そのような時には、信頼できる人や専門家に相談することが必要となる。「よく眠れない」、「イライラすることが多くなってきた」、「憂うつ感が強くなってきた」というのは、こころの不調としてのストレスのサインのひとつだ。
そうしたサインが出ている場合は、症状を詳しく主治医に話したり、早めに心療内科や精神科を訪れよう。主治医に相談しづらい場合には、療養指導士や医療スタッフなど相談しやすい人に相談する方法もある。
How Stress Affects Diabetes(米国糖尿病学会 2013年7月15日)
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