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2012年09月04日

体内時計の乱れ 血液検査で簡単に知る方法を開発

 睡眠や体温、血圧などの変動のリズムを整える体内時計が、生活の多様化やストレスなどが原因で乱れる人が増えている。理化学研究所の研究者らを中心としたグループが、体内時刻を簡単に測定できる手法を開発した。
 体内時計の異常は、不眠などの睡眠障害やうつ病、メタボリック・シンドローム、骨粗しょう症など、さまざまな病気と関連している。体内時計を調整できるようになれば、これらの病気の予防・改善につながると期待されている。

 ヒトの生体で24時間周期を刻む“体内時計”の時刻を、採取した血液から簡単に知る方法を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの粕川雄也氏らの研究チームが開発した。

 体には“社会生活の時計”と異なる“体内時計”が備わっており、睡眠や体温、血圧などの変動のリズムを整えている。社会生活の時計は1日24時間だが、体内時計は少し周期が長く、24時間数十分を1周期としているという。

 通常は、太陽の光を浴びることなどで体内時計のずれがリセットされ、社会生活の時計と合うが、不規則な生活などによって体内時計が乱れ、その状態が続くと、高血圧や糖尿病などの病気や体調不良につながる。

 体内時計の異常は、不眠などの睡眠障害やうつ病、高血圧症、過食に伴うメタボリック・シンドローム、骨粗しょう症など、さまざまな病気と関連している。体内時計の異常が慢性疾患の原因となったりそれらを進行させたりする可能性があるという。

 健康の維持には、体内時計をうまく調整することが大切だが、働きかたの多様化やストレス過多などにより、時差ぼけや睡眠障害のような体内時計の異常(リズム障害)をもつ人は増えている。体内時計が指す時刻は健康な人でも5〜6時間のズレ幅で個人差があり、仕事の時間帯が固定してない人はその幅が10〜12時間になる。

 体内時計を知るためには、従来の方法では、1、2時間おきに1日以上採血して物質の増減の周期を調べる必要があった。研究チームは、特定の物質を指標に体内時刻を推定する「分子時刻表」を作成した。これにより、血液の連続計測を行わなくても、1回の採血だけで簡単に、体内時刻を正しく知ることができるようになるという。

 研究チームは、協力者3人に温度や明るさが一定の室内で36時間過ごしてもらい、2時間おきに採血した。1日周期で変化する複数のアミノ酸やホルモンなどの代謝産物を測定分析して、24時間の周期で増減する58種類の物質を特定した。

 分子時刻表をもとに、1日の任意の時刻に採取した血液から正しく「体内時刻」を推定できるかどうかも検証した。強制的に外環境と体内時計をずらした6人の血中物質を測定したところ、メラトニンやコルチゾールの量を測定する従来法と、ほとんど同じ結果が得られた。

 体内時刻を考えて特定の時刻に特定の治療を施すと、最適な効果が得られる可能性がある。体内時刻の要素を加味した「時間治療」は、副作用が少なく効果的な治療に結びつくと期待されている。

ヒトの血液から簡単に「体内時刻」を調べる手法を確立(理化学研究所 2012年8月28日)

体内時計の不調で糖尿病 生活リズムがインスリン分泌にも影響(糖尿病NET)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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