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2012年09月03日
糖尿病の人は運動を続ければ長生きできる
欧州で行われている大規模な研究で、適度な運動や身体活動を続けている糖尿病患者では死亡率が大きく減少することが確かめられた。
運動をしている糖尿病患者 全原因死の38%が減少
適度に運動している糖尿病患者は、運動をしていない患者に比べ、死亡リスクが大幅に低くなることが、欧州の大規模前向きコホート研究であきらかになった。
糖尿病の治療を受けている人が運動を続けると、実際に死亡リスクが低下するかを調べた研究は実は多くない。そこで研究者らは、糖尿病患者において、運動の身体活動との死亡の関係を調べる大規模前向きコホート研究を実施した。
研究では、欧州の10ヵ国で進行中のEPIC研究(がんと栄養に関する欧州前向き研究)に参加した糖尿病患者5,859人を対象に分析した。
運動と身体活動の量は「ケンブリッジ身体活動インデックス」という指標を用いて推定した。就業時間の活動、通勤やサイクリングなどの日常での活動、週末のガーデニングなどの運動やスポーツに費やした時間を自己申告により推計した。活動量によって患者を4群(少ない、やや少ない、やや多い、多い)に分けた。
取り組んだ運動は、ウォーキング、サイクリング、ガーデニング、スポーツ、家事、日曜大工など多彩だったが、それぞれ行った時間と頻度を調べた。活動の強度はMETs(身体活動の強度を表す単位)を用いて評価した。
その結果、運動に取り組むことで死亡リスクは低下することがあきらかになった。全死因による死亡リスクは、運動量が“少ない”群に比べ、“やや少ない”群が0.69倍、“やや多い”群は0.62倍、“多い”群は0.74倍になった。
同様に、心血管病のよる死亡は“やや少ない”群が0.65倍、“やや多い”群は0.51倍、“多い”群は0.62倍となり、やはり運動をしている群で低下していた。
この研究は米国内科学会が発行する医学誌「Archives of Internal Medicine」に発表された。
運動は多くの利益をもたらす
運動や身体活動には多くのメリットがある。
- 血糖コントロールが改善する
- 血圧が下がる
- 血中の脂質コントロールが改善する
- インスリンや飲み薬が減る
- 減量や適正体重の維持に成功
- 運動の効果は糖尿病以外の病気にも及ぶ
- 睡眠も改善する
- ストレスや不安、うつを軽減できる
- 運動により骨や筋肉は強くなる
- 体がより柔軟になる
運動を行うことで、(1)カロリー消費量が増え、(2)インスリンの効きもよくなる。2つの働きで血糖値は下がる。
運動を続けることで心臓のポンプは強くなり、動きはゆっくりになる。
運動により善玉のHDLコレステロールは増え、悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪は下がる。これらの変化により、心臓や血管は健康になる。
運動により血糖値は下がり、体重も減る。これらが相乗的に効き、インスリンや飲み薬の量を減らせることが多い。
運動はカロリーを燃焼させる。肥満のある人でも、運動を続ければ体重を減らせる。活発に動けば、適正な体重を維持できる。
運動により心臓病や脳卒中、がん、骨量の低下を防げる
運動を続ければ、睡眠の質が改善し、1日をよりエネルギッシュに過ごせるようになる。
運動にはストレス解消の効果もある。毎日体を動かせば、それだけストレスは減る
ウォーキングのような体重負荷を使う運動は、骨や筋肉を強くする。缶詰程度の重量負荷をかけたウェイトトレーニングでも、毎日続ければ効果はある。
運動を続けると、体がしなやかになり、より運動を行いやすくなる。
Physical Activity and Mortality in Individuals With Diabetes Mellitus: A Prospective Study and Meta-analysis
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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