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2012年08月28日
仕事のストレスで女性の糖尿病リスクは2倍に
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期間中に男性の10.3%、女性の6.9%が糖尿病を発症した。仕事がうまくいっている人とそうでない人とを比べたところ、もっとも仕事がうまくいっていない女性では、糖尿病を発症した割合は2倍以上に増えていた。男性では有意差はみられなかった。
「女性と男性では、職場のストレスに対する身体的・社会的な反応が異なる」と論文の主著者であるPeter Smith氏は指摘する。
多くの女性が心理的・社会的なストレスにさらされている。研究者は、ストレスにさらされた女性の糖尿病リスクが高くなる原因は、ストレスに反応して神経系や免疫系機能がかく乱されるからだと説明している。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、これらのバランスと心身の状態は深く関係している。ストレスや緊張を感じている場合、交感神経の活動が強くなりすぎて、心身は疲弊してしまう。
また、ストレスを感じた時にコルチゾールというホルモンが分泌される。コルチゾールには、代謝活動や免疫系を活性化させる役割があるが、過剰に分泌されると食欲を高め、食後の満腹感を感じづらくさせる。
さらに、研究者は過度なストレスにされされた女性は生活スタイルが乱れがちになり、過食や拒食といった摂食障害や飲酒などが増え、体のエネルギー代謝に異常が起こりやすくなると説明している。
糖尿病の発症にもっとも影響したのは肥満だったが、仕事のストレスによる影響は、喫煙や飲酒、運動不足などの生活習慣によるものを上回っていたという。
カナダのオンタリオでは、糖尿病の有病率は1995年から2005年にかけてほぼ2倍に増加している。「仕事のストレスの影響は、男性よりも女性でより深刻であることが示された。糖尿病の増加を抑えるために、ストレスをかかえる女性に効果的な社会的支援を施す必要があるかもしれない」と研究者は話す。
Work environment may put women at risk of diabetes(仕事と医療の研究所)
糖尿病とともに生きる―ストレス(米国糖尿病学会)
関連情報
ストレス対策と心豊かな食事が体重増加を防ぐ(糖尿病NET)
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