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2012年06月20日
HbA1c認知向上運動を東京で開催 糖尿病の治療と予防は検査からはじまる
日時:2012年6月2日(土)
場所:東京ミッドタウン ガレリア「アトリウム」

2012年4月からHbA1cの表記が国際標準化され、従来日本において使用されてきたJDS値から国際的に使用されているNGSP値に変更されたことから、いっそうの認知向上が求められている。当日は、糖尿病専門医による糖尿病の予防や治療方法などについてのトークセッションや糖尿病○×クイズが行われ、イベント会場ではHbA1c値がその場でわかる無料測定など認知度向上のための企画ブースが展示された。
日本糖尿病協会の清野裕理事長(関西電力病院 院長)は、国内外の糖尿病患者増加の危機的な現状について説明し、ステージイベントを開始した。清野理事長は、「現在の世界の糖尿病有病数は3億7000万人。2030年には5億人を超え増加すると予測されていますが、実際にはもっと多く10億人ぐらいに増えるのではないかと思う。日本を含むアジア地域は特に糖尿病が多く、急速に経済が発展し生活様式が欧米化した影響が大きい」と説明。
糖尿病患者の中で、血糖値のコントロールがうまくできず、足に傷ができ皮膚などが失われたり(潰瘍)、足が黒く変色して悪臭がしたり(壊疽)する糖尿病足病変にかかる人が増えている。糖尿病を原因とする足病変を治療し、予防する医療的な「フットケア」は注目されている。
「世界で糖尿病の足病変により足を失う人は年間100万人に上ります。日本は医療が発達しているので、足の切断率自体はアジアでは少ないのですが、足の大切断率はベトナムやモンゴルよりも高い。日本人に適した予防と治療の解明が必要とされています」と清野理事長は説明。
「糖尿病は、自覚症状があらわれるときはかなり進行しており、初期の段階では症状がないことが特徴となる病気です。健康診断などで糖尿病を指摘されても、糖尿病の治療を継続している患者は4割程度しかいないとの調査結果がある。若い世代ほど糖尿病治療の継続率が低い傾向があります」と注意を呼びかけた。
同協会の稲垣暢也理事(京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学 教授)は、「早期受診や特定健診などを通じて、特にHbA1c値を意識し、血糖コントロールに努めることが大切」と、とくにHbA1c値の把握の重要性を強調した。
「糖尿病の治療で大切なことは、日々の血糖を上手にコントロールすることで、その指標として重要なのがHbA1cです。血液中のHbA1cの量を調べると、過去の1〜2ヵ月間の血糖値の平均を知ることができます。HbA1cが6.9%(NGSP値)を超えると合併症になる危険性がより高まることがわかっています。HbA1cを6.9%未満に保つことが血糖コントロールの指標です」と述べた。
南條理事は、イスに座ったまま家庭内で気軽に行えるチェア・エクササイズ形式の運動プログラム「スワロビクス」を紹介。ひざや腰に障害のある患者や、屋外での運動が苦手な高齢の患者でも、椅子に座ってできる健康体操を軽快な動きで実演した。「糖尿病の疑いが少しでもあれば、主治医などからメディカルチェックを受けた上で、楽しい気分で無理のない適度な運動を続けることが重要です」と説明した。
ステージイベントの前後で、HbA1cの無料測定が実施された。約260人が参加し、自己のHbA1c値が適正かどうか、会場の展示ボードの解説などで確認した。
(社)日本糖尿病協会
ヘモグロビン・エー・ワン・シー(HbA1c)認知向上運動(サノフィ・アベンティス)
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