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2012年06月22日
65歳以上が総人口の23%に 就労は不十分 高齢社会白書
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政府は「2012年版高齢社会白書」を公表した。65歳以上の高齢者数は2011年10月現在、過去最多の2,975万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も過去最高の23.3%に上った。
日本人の平均寿命は2010年現在、男性79.64年、女性86.39年。生活環境や食生活の改善、医療技術の進歩などにより、日本人の平均寿命は上昇を続け、65歳以上の高齢者の死亡率は低下が続けている。 社会保障給付費は、2009年度は99兆8,507億円となり、過去最高の水準となった。白書では、「国の成長力を高めていくためには、高齢者が社会参加し活躍できる環境づくりが必要」と指摘している。
日本は23%が65歳以上の高齢者
65歳以上の高齢者人口は、過去最高の2,975万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も23.3%となった。高齢者人口は、「団塊の世代」が65歳以上になる2015年に3,395万人となり、42年には3,878万人でピークを迎えると推計している。
日本人の健康寿命は世界でトップ
65歳以上の高齢者の半数近くの人は、健康状態について何らかの自覚症状を訴えている。日常生活への影響は、「日常生活動作」(起床、衣服着脱、食事、入浴など)、「外出」、「仕事・家事・学業」、「運動(スポーツを含む)」の順に多い。
日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、2010年時点で男性が70.42年、女性が73.62年となった。健康についての高齢者の意識を4ヵ国と比較してみると、60歳以上で「健康である」と考えている人の割合は日本は65.4%で、スウェーデン(68.5%)に次いで高く、米国(61.2%)、韓国(43.2%)、ドイツ(33.5%)よりも高い。
要介護者は増え続けている。第1号被保険者(65歳以上)の要介護者等認定者数は2009年度末で469.6万人であり、2001年度末から181.9万人増加した。60歳以上の高齢者に日常生活における介助の必要度については、日本は「まったく不自由なく過ごせる」と回答した人の割合が約9割で、4ヵ国でもっとも高い割合となっている。
男性1割、女性2割が一人暮らしの高齢者
65歳以上の高齢者のいる世帯は増え続けており、全世帯の42.6%(2,071万世帯)を占める。一人暮らしの高齢者は10年現在で479万人となり、高齢者人口に占める割合は男性11.1%、女性20.3%に上った。
「65歳以降も働きたい」が7割
高齢者の60〜64歳の雇用者数は、2011年は450万人、65歳以上の雇用者は308万人だった。高齢者の就労については、60歳以上の約7割が「65歳以降も働きたい」と希望しているのに対し、65〜69歳の就業率は4割弱にとどまっている。高齢者の現在の就労状況について白書は「高い就業継続意欲が必ずしも実際の就業に結びついていない」と分析。
高齢者雇用対策として、雇用と年金を確実に接続させ、無収入の高齢者世帯が発生しないようにするため、白書には継続雇用を促す法整備などが盛り込まれた。
暮らし向きは「心配ない」が7割
60歳以上の高齢者の暮らし向きについてみると、「心配ない」と感じている人の割合は全体で71.0%であり、年齢階級別にみると、「80歳以上」は約8割と高い割合となっている。
内閣府の調査によると、「年金の給付水準を維持すべきで、社会保障費負担が重くなってもやむを得ない」と感じている高齢者は34.4%、「負担増をなるべく抑えるために給付水準を引き下げるのがよい」が12.6%という結果になった。
在宅医療の達成目標、新医療計画に記載へ
白書では、高齢社会対策の実施状況として2012年度の施策内容も盛り込んだ。在宅医療に関する達成目標や医療連携体制を、各都道府県が策定する13年度からの医療計画に記載することとし、計画的に在宅医療を推進していく方針を示した。このほか、住み慣れた地域で在宅を基本とした生活の継続を目指す「地域包括ケアシステム」の構築の整備など。
高齢社会白書(内閣府)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所