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2012年06月22日

塩分とりすぎで高血圧 減塩すれば血管ダメージを抑えられる

キーワード
糖尿病合併症
 塩分摂取量が多い食事が続くと、血管が受けるダメージが増し、高血圧症の発症率も上昇することが、オランダでの大規模研究であきらかになった。「高血圧の予防・対策として塩分を減らすことが大切」と研究者は注意を呼びかけている。


 研究は、大規模観察研究「PREVEND」に参加したオランダのグローニンゲン市の一般住民5,556人を対象に行われた。研究者は、降圧薬を服用していない被験者を対象に、24時間蓄尿による尿中のナトリウム濃度を調べた。

 さらに、高血圧と関連の深い検査として、尿中アルブミン値と血中尿酸値を調べた。尿中アルブミンが検出されるのは、腎臓に集まる毛細血管がダメージを受け、腎臓の機能が低下するため。また、血中尿酸値の高い状態では血管に炎症が起こりやすくなり、血管への負担が増える。つまりこれらの値は、血管のダメージ度を測る数値でもある。

 6.4年間(中央値)の観察期間中に、高血圧症と診断を受けたのは合計878人だった。1日のナトリウムの摂取量が最小の約2,200mg(塩分摂取量に換算すると5.6g)のグループに比べると、最大の約6,200mg(同15.7g)では、高血圧になる可能性が21%上昇していた。

 また、食塩摂取量が多いと、高血圧症を発症する割合は、尿中アルブミンが高いグループで1.86倍に上昇していたのに対し、尿酸値が高いグループでは1.32倍に上昇していた。

 塩分摂取量が多いと、血管が受けるダメージが増し、高血圧症の発症率が上昇することがあきらかになった。

 「高血圧の危険性を最小にとどめるために、食事の塩分摂取量をなるべく減らすことを、米国心臓学会では勧めている。今回の研究は、このガイドラインが適正であることを裏付ける結果になった」とハーバード大学ブリガムアンドウィメンズ病院のJohn Forman氏は話す。

 この研究は米国心臓学会(AHA)が発行する医学誌「Circulation」に発表された。

高血圧を予防・改善するための食事(米国心臓学会のガイドライン)

  • 栄養価の低い食品を大量に食べるよりも、栄養価の高い食品を少量とった方が、体には良いのです。体が必要とするカロリーは、年齢や身体活動レベルにより変化します。自分にどれだけカロリーが必要か、かかりつけの医師や管理栄養士に相談しましょう。

  • いろいろな食品から、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素をバランスよくとり、カロリーは抑えましょう。

  • 野菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれます。野菜を十分にとると、血圧や体重のコントロールに役立ちます。牛乳や乳製品は低脂肪のものを選びましょう。

  • 未精製の全粒粉を毎日とると、血中コレステロールが抑えられます。全粒粉には食物繊維が多く含まれ、満腹感も得られやすいので、積極的にとりましょう。

  • 魚を週に2回以上食べましょう。サケ、マス、ニシンなどの魚には、冠動脈疾患の危険性を低下させる不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)が含まれます。

  • 加工食品は、飽和脂肪酸やコレステロール、ナトリウム(塩分)が多く含まれるものがあるので要注意です。食品の栄養表示ラベルを見ましょう。

  • 食品やお茶に食塩や砂糖を加えるのは、なるべく控えましょう。

  • 1日の塩分摂取量は4g(ナトリウム1,500mg)未満を目標にしましょう。

  • お酒はほどほどに。1日に女性は1杯、男性は2杯を目安にしましょう。

  • 外食をするときは食べる量を確かめ、食べすぎないようにしましょう。

Too much salt may damage blood vessels and lead to high blood pressure(米国心臓学会 2012年6月18日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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