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2012年06月19日
ミトコンドリア遺伝子変異 糖尿病発症の可能性 筑波大など
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生命活動に必要なエネルギーを細胞内で合成しているミトコンドリアの遺伝子に変異があると、糖尿病になりやすいことを、筑波大学の林純一教授や千葉県がんセンターなどが動物実験で突き止めた。6月11日付の米科学アカデミー紀要に掲載された。
抗酸化剤が糖尿病予防に役立つ
細胞内の小器官であるミトコンドリアは、呼吸で取り入れた酸素を使って生命活動のエネルギー源となるATPを合成する役割を担う重要な器官で、細胞核とは別に独自のDNA(mtDNA)をもっている。
ミトコンドリアは、糖尿病やメタボリックシンドロームなどにも深い関わりがあると考えられている。ミトコンドリアは運動不足などが原因で減る。糖尿病患者の細胞には、健康な人よりもミトコンドリアの量が少ないというデータもある。
蛍光タンパク質を使ったイメージング技術の発達により、ミトコンドリアを「生きたまま」観察できるようになった。その結果、ミトコンドリアがどのようにエネルギー代謝に関わり、体内でどのような役割をしているかなど、あきらかになったことが多い。
研究グループは、ミトコンドリアDNAの突然変異により活性酸素を過剰生産するタイプと、変異はしているが活性酸素の過剰生産しないタイプのモデルマウスを作製。この2種類のモデルマウスを同じ条件下で生育し、野生型マウスと比較し、生命活動にどのような影響があらわれるかを調べた。
ミトコンドリアの呼吸能力を低下させ活性酸素が生じるような変異を起こすると、エネルギー産生効率が低下する。実験は、活性酸素を過剰生産するタイプでのみ糖尿病とリンパ腫が発症するという結果になった。
抗酸化剤を投与すると、活性酸素の発生と糖尿病やリンパ腫の発症が抑制されることも確かめた。研究チームは「人間の症例でも、抗酸化剤の投与が予防に役立つのではないか」と期待している。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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