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2012年06月04日

【健康寿命】 男性70.42歳、女性73.62歳 厚労省が目標設定

 厚生労働省は、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる期間を「健康寿命」と定めて、はじめて推計を行った。2010年の健康寿命は男女ともに、平均寿命に比べていずれも10年ほど短いことがあきらかになった。
健康格差の縮小をめざす 糖尿病の目標値も設定
 「健康寿命」は、健康寿命は世界保健機関(WHO)が2000年に打ち出した概念。介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、日常生活を健康的に送ることのできる期間のことで、厚生労働省は、全国22万世帯余りの健康状態などを調査したうえで、初めて推計した。

 それによると、2010年の健康寿命は平均で、男性が70.42歳(平均寿命79.55歳)、女性が73.62歳(同86.30歳)で、平均寿命より男性は9年余り、女性は12年余り短いことがわかった。

 都道府県別で健康寿命が最も長かったのは、男性が愛知県で71.74歳、女性が静岡県で75.32歳で、いずれも東海地方だった。最も短いのは男性が青森県で68.95歳、女性が滋賀県で72.37歳。格差は男性2.79歳、女性2.95歳。

 日本人の平均寿命は女性は世界1位、男性も世界4位で、日本は世界でトップクラスの長寿国となっている。社会の高齢化が加速する中、厚労省は「健康に長生きすること」を重視し、13〜22年度の国民の健康づくり計画案に「健康寿命を延ばす」とする目標を盛り込む。

 次期健康づくり計画案では、平均寿命の増加分を健康寿命が上回ることでこの差を縮小し、高齢者の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減もめざしている。食生活の改善や適度な運動ができる環境の整備など、健康寿命を延ばすための対策を検討する。計画は6月中旬にも部会で正式決定される見通し。

 健康寿命の目標実現のため、生活習慣病予防では、がん、脳卒中、心臓病の三大死因の死亡率低下や糖尿病に関する目標値を盛り込んだ。糖尿病では、糖尿病腎症による年間新規透析導入患者を2010年の1万6,271人から1万5,000人に、HbA1cが8.4%(NGSP値)以上のコントロール不良の患者の割合を1.20%から1.0%にそれぞれ減らす。

【次期健康づくり計画案 健康寿命と健康格差の目標】

項目現状目標
(1)健康寿命の延伸
(日常生活に制限のない期間の平均の延伸)
男性 70.42年
女性 73.62年
(2010年)
平均寿命の増加分を上回る健康寿命であること
(2022年度)
(2)健康格差の縮小
(日常生活に制限のない期間の平均の都道府県格差の縮小)
男性 2.79年
女性 2.95年
(2010年)
都道府県格差を縮小すること
(2022年度)

【糖尿病】

項目現状目標
(1)合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少 1万6,271人
(2010年)
1万5,000人
(2022年度)
(2)治療継続者の割合の増加 63.7%
(2010年)
75%
(2022年度)
(3)血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少(HbA1cがJDS値8.0%(NGSP値8.4%)以上の者の割合の減少) 1.20%
(2009年度)
1.0%
(2022年度)
(4)糖尿病有病者の増加の抑制 890万人
(2007年)
1000万人
(2022年度)
(5)メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少(再掲) 1,400万人
(2008年度)
2008年度と比べて25%減少
(2015年度)
(6)特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上 特定健康診査の実施率 41.3%
特定保健指導の実施率 12.3%
(2009年度)
2013年度から開始する第二期医療費適正化計画に合わせて設定
(2017年度)

第34回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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