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2011年11月08日

糖尿病と脳卒中 糖尿病は脳梗塞の発症リスクを上昇させる JPHC研究

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糖尿病合併症
 糖尿病の人が血糖コントロール不良の状態が続くと、大血管と微小血管の障害が引き起こされやすくなる。動脈硬化も進展し、脳梗塞の発症にもつながる。糖尿病がラクナ梗塞発症、塞栓性脳梗塞、アテローム性脳梗塞の危険因子となることが、「多目的コホート(JPHC)研究」の大規模調査であきらかになった。
血糖コントロール不良の状態が続くと血管障害が
 従来の疫学研究で、糖尿病により脳梗塞の発症と死亡リスクが上昇することが示されているが、脳梗塞を病型別に調べ、糖尿病との関連を詳細に分析した大規模な疫学研究は少ない。

 脳梗塞には、脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、脳や首の太い血管が動脈硬化になり血栓で詰まる「アテロ―ム性脳梗塞」、心臓にできた血栓が流れてきて脳の太い血管が詰まる「塞栓性脳梗塞」の3タイプがある。日本人の脳梗塞の特徴として、アテロ―ム性脳梗塞が少なく、ラクナ脳梗塞が多いことが挙げられる。

 日本人を対象に糖尿病と脳梗塞の病型別の関連を検討したJPHC研究により、糖尿病は微小血管障害としてのラクナ梗塞発症につながるとともに、大血管障害として塞栓性脳梗塞、アテローム性脳梗塞の危険因子になることが初めて示された。
糖尿病群で脳梗塞の発症リスクが増加
 JPHC研究のチームは、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の9保健所管内に在住し、循環器病やがんと診断されていない40〜69歳の男女約3.6万人を対象に調査した。研究開始時とその5年後の調査で、空腹時(最後の食事から8時間以上経過)あるいは随時血糖の結果から、血糖正常群、境界群、糖尿病群の3群に分類した。

 血糖正常群は空腹時血糖値100mg/dL未満、随時血糖値140mg/dL未満、境界群は空腹時血糖値100〜125mg/dL、随時血糖値140〜199mg/dL、糖尿病群は空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、あるいは糖尿病治療中の者とそれぞれ定義した。

 2004年までの平均12年間を追跡し、全脳卒中と病型別脳卒中発症のハザード比を検討した。年齢、空腹有無、肥満度、最大血圧値、降圧剤服薬有無、血清総コレステロール値、HDL-コレステロール値、中性脂肪値、喫煙、飲酒、地域を調整し解析した。

 追跡期間中に、526人の脳梗塞(ラクナ脳梗塞 259人、アテロ―ム血栓性脳梗塞 91人、塞栓性脳梗塞 140人)が確認された。男女ともに血糖正常群に比べ、糖尿病群において、全脳卒中と脳梗塞の発症リスクが高く、全脳卒中と脳梗塞発症に対する年齢、他の交絡因子を調整したハザード比は、男性でそれぞれ1.64(1.21-2.23)と2.22(1.58-3.11)、女性で2.19(1.53-3.12)と3.63(2.41-5.48)だった(多変量調整ハザード比)。
ラクナ梗塞、塞栓性脳梗塞、アテロ―ム性脳梗塞の発症リスクが増加

 脳梗塞の病型別にみた場合、男女とも糖尿病群において、ラクナ脳梗塞や塞栓性脳梗塞の発症リスクが高く、正常群に比べ糖尿病群では男性でそれぞれ2.04(95%CI:1.21-3.44)と2.85(1.59-5.08)、女性で3.85(2.22-6.70)と4.24(1.89-9.48)だった。

 アテロ―ム性脳梗塞については、男性で1.94(0.88-4.28)、女性で4.64(1.76-12.2)と、男性においては統計的に有意差はみられなかった。しかし、男女を合わせた解析を行ったところ、多変量調整ハザード比(95%CI)は、全脳梗塞で2.65(2.04-3.44)、ラクナ脳梗塞で2.65(1.82-3.87)、アテロ―ム性脳梗塞で2.58(1.41-4.72)、塞栓性脳梗塞で3.32(2.02-5.14)となり、糖尿病群で上昇した。これらの関連は空腹時と非空腹時で分けて分析しても同じ傾向を示した。

 この研究は米国脳卒中学会(ASA)が発行する医学誌「Stroke」に発表された。

Diabetes mellitus and risk of stroke and its subtypes among Japanese: the Japan public health center study
Stroke. 2011 Sep;42(9):2611-4. Epub 2011 Aug 11.

多目的コホート研究(JPHC Study)(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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