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2011年06月23日
2型糖尿病のゲノム構造異常を発見 14倍以上の発症リスク 東北大
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東北大学大学院医学系研究科の片桐秀樹教授(代謝疾患学)、岡芳知教授(分子代謝病態学)の研究グループは、2型糖尿病の患者で高頻度に認められるゲノム(全遺伝情報)構造の異常を発見したと発表した。この異常により糖尿病の発症リスクは14倍以上になるという。2型糖尿病の病態にもとづいた治療法の選択や、新たな治療法の開発につながる成果。
研究チームは、35歳未満の2型糖尿病を発症した日本人100人と、糖尿病の診断歴がなく、家族にも患者がいない対照者100人に対して、「ゲノムコピー数多型」の解析を行った。ゲノムコピー数多型は、大きな構造変化をともなう新たな種類の遺伝子多型として、遺伝子情報の研究で注目されている。
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その結果、第4染色体の一部領域で、遺伝子コピー数が減少する異常が13人から発見された。このゲノム構造異常をもつ人では、糖尿病発症リスクは14倍以上になった。
2型糖尿病にこれほど選択性が高く高頻度に認められるDNAマーカーは他にみられないという。これまでの研究では、発症リスクが最大でも1.4倍程度の一塩基遺伝子多型がみつかっている。
このゲノム構造の異常を検査する方法を確立すれば、2型糖尿病患者や血縁者も含めた発症・病態・予後の予測マーカーになる可能性がある。
2型糖尿病の発症には、生活習慣因子に加え、遺伝因子が大きく関わっており、「糖尿病体質」の解明が予防・治療に大きな役割をはたすと考えられている。例えば、遺伝的に2型糖尿病を発症する危険性が高い人を検査で発見できれば、発症前からの生活習慣を改善することで、糖尿病を予防できるようになる。
個人の遺伝情報に応じた発症予防や適切な治療を行う「オーダーメイド医療」の実現に向けた研究は、世界中で活発に行われている。今回の研究は、DNAチップ研究所の江見充博士との共同で行われた。少量の生体組織から大量の遺伝子解析を短時間で行えるDNAチップの開発が、遺伝子研究の進歩を促している。
研究成果は、医学誌「Experimental Diabetes Research」に発表された。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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