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2011年06月21日
「テレビを消して、もっと体を動かそう」 テレビの長時間視聴で糖尿病リスク
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テレビの視聴が生活の一部となっているという人は多いが、そうした習慣を変える潮時かもしれない。テレビの視聴時間は2型糖尿病や心疾患、早死の危険性と関連がある――米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の研究チームによる過去40年にわたる研究で、こんなことがあきらかになった。「米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association)」に6月15日付で発表された。
「シンプルなことだが、テレビを視聴する時間を減らせば、体を動かさないで過ごす時間も減り、身体活動レベルの増加が促される。テレビを見る時間を減らすことで、2型糖尿病、心疾患、早死の危険を大きく減らせる」とハーバード公衆衛生大学院のFrank Hu教授(臨床栄養学)は話す。
米国人ではテレビの視聴時間は平均5時間未満と報告された。テレビの長時間の視聴が身体活動の低下や不健康な食事につながるとする研究論文も発表されている。
研究チームは、1970〜2011年に発表された論文をメタ解析した。その中には米国、欧州、オーストラリアで行われた8件の大規模な前向きコホート研究法が含まれていた。テレビの視聴時間と2型糖尿病、心疾患などとの関連を調べた。
すると、1日のテレビ視聴時間が2時間増えると、2型糖尿病と心疾患の危険が増加することが分かった。視聴時間が3時間を越えると、死亡の危険が増加した。
テレビの視聴時間が1日あたり2時間増えると、2型糖尿病の発症リスクが20%、致死性および非致死性の心臓病リスクが15%、何らかの原因によるで早死のリスクが13%、それぞれ高くなることが分かった。糖尿病と心臓病のリスクは視聴時間に比例して高まるが、早死リスクは視聴時間が1日3時間以上になると一気に増える傾向がみられたという。
1日のテレビ視聴時間が2時間増えると、2型糖尿病の発症リスクは20%、致死性および非致死性の心疾患のリスクが15%、何らかの原因によるで早死のリスクが13%、それぞれ高くなっていた。
研究者らは米国の発症数から計算し、10万人における1年当たりの新規発症数をはじきだした。テレビの視聴時間が1日2時間増えるごとに、2型糖尿病では176人、致死性心疾患では38人、全原因死亡では104人、それぞれ発症に影響するという。
米国では成人の2型糖尿病が急増している。テレビの視聴時間が長いと、不健康な食事、身体活動の低下につながり、これらは肥満の増加や2型糖尿病と心疾患の両方の危険因子となる。
「テレビを長時間見るライフスタイルの定着は、2型糖尿病と心疾患にとって深刻な危険因子となることは明白だ」と論文主著者のAnders Grontved氏は話す。
「今後は、インターネットやパソコン、ゲームなどのメディアにまで範囲を拡大し、エネルギーの摂取と消費のバランスや、慢性疾患の危険性に対する影響を調べた方が良いだろう」としている。
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