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2011年04月01日

「痛くない」血糖測定センサーの開発 目の涙液から測定

 米国のメイヨークリニックやアリゾナ州立大学などの研究者が、目の涙液で測定する新型の血糖測定センサーの開発を進めていると発表した。近い将来に、指先などからの穿刺を必要としない血糖自己測定が実現する可能性がある。
血糖自己測定は効果的な治療法
「指先の穿刺は痛い」という患者も
 糖尿病のもたらす脅威は米国でも深刻で、糖尿病有病数は2300万人以上に上り、米国人の死因の第5位になっている。糖尿病は、心臓病、失明、腎不全、下肢切断などを引き起こす深刻な病気だが、適切な治療を続けていればこれらの合併症を予防できる。そのために、患者が自分で血糖値を測定する血糖自己測定(SMBG)が有用だ。

 家庭で日常の血糖値を知ることができると、自分の血糖値の変動や治療の効果が分かる。インスリン療法を行っている患者では、インスリン注射量を決められた範囲内で調整することができるなど、より良い血糖コントロールを目指すことができる。

 現在、治療に使われている血糖測定器は精度が高く、正しく使用すると正確な測定値を得られる。器機の改良が重ねられ、測定に必要な血液量がより少なくなり、測定時間も短くなっている。また、より簡便に使用できるよう工夫されている。

 しかし、血糖コントロールがなかなか改善しないという糖尿病患者も多い。メイヨークリニックの研究者らは「血糖自己測定では自分で指先などを穿刺し採血しなければならない。必要な血液量を少なくするなど改善がされているが、1日に数回穿刺しなければならないのが苦痛だという患者もいる」と指摘する。

 開発が進められている新しいセンサーは、目の涙液をもとに血糖レベルを測定するもので、血液を検査するのと同等の精度を得られるという。

 「新技術の開発では、目の隅を軽くタッチするだけで簡単に測定できる仕組みが考えられている。穿刺の痛みを嫌がる患者でも血糖測定を行いやすくなる」とアリゾナ州立大学生物医療・バイオ設計研究学部のJeffrey T. LaBelle氏は話す。

 LaBelle氏はメイヨークリニックのCurtiss B. Cook氏(内分泌学)やDharmendra Patel氏(外科眼科学)らの研究チームのリーダーになっている。センサーの開発の初期研究について医学誌「Journal of Diabetes Science and Technology」に昨年発表した。

 現在、米アリゾナ州の非営利団体BioAccelの資金提供を得て研究を進めている。今後は血液検査結果との相関を調べたり、目を強くこするなど過度の刺激を与えないようなセンサーを開発することを課題としているという。

New Device Holds Promise of Making Blood Glucose Testing Easier for Patients with Diabetes(メイヨークリニック、2011年3月15日)
A Disposable Tear Glucose Biosensor.Part 2: System Integration and Model Validation
Journal of Diabetes Science and Technology, Volume 4, Issue 2, March 2010

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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